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6 魔物
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この世界に来てはじめて夜を過ごし、朝を迎えた。一睡もできなかった。
本を枕に硬い床に藁を敷いただけの上というのもある。夜空に浮かんでいるのが月かわからないが、明かりは天井から漏れてくる仄かな光のみで自分の手が見えないほど暗いというのも不安をかきたてる。
ただそんなもの些末な問題だと思うほどの眠れない一番の原因は、魔物の存在だった。
薄暗い中、神殿の外から聞こえる獣のような鳴き声。最初はなんの声かわからずに、壁伝いに手探りで扉まで歩いて外をそっと覗いた。
そこには夥しいほどの生物が飛び交っていたのだ。一目で蝙蝠や鳥の類ではないとわかる。大きさが違う、それと月夜に浮かび上がる蜥蜴が羽をつけたような歪な姿は、幼い頃恐竜図鑑で見たような翼竜に似ている。これが魔物だと直感的にそう思った。
どこから現れるのかわからないが、何かを探しているように旋回している。そのうちの一匹が扉の隙間から見る俺を目ざとく見つめ威嚇してきた。その声が他の魔物にも伝播し、煩いほどの鳴き声が響く。
そのうち、俺に向かって恐ろしいスピードで降下してきた。
やられる! と思った俺の目の前で、透明な壁に当たったかのように魔物は弾かれた。
結界を張ったと言っていたことを思い出したが、それにしても怖い。
違う魔物が口を開けて火を噴いてきたのには、本当に驚いて腰を抜かした。
急いで扉を閉めて、這って隅までくると、膝を抱え、ぶるぶる震えながら耳を塞ぐ。
一晩中、魔物は鳴きやまなかった。
いつの間にか、朝が訪れ、魔物の声は聞こえなくなっていた。
本当に大変な世界に来たのだと痛感した瞬間だった。
こんな夜をこれから過ごすのかと思うと、正直生きていける気がしない。
着替えた服も着心地が悪く、パンも本当にパンなのかと思うほど硬く、果物に至っては萎びていて瑞々しさのかけらもない。
早くも挫折しかけて、俺は使えない蝋燭を壁に叩きつけた。
本を枕に硬い床に藁を敷いただけの上というのもある。夜空に浮かんでいるのが月かわからないが、明かりは天井から漏れてくる仄かな光のみで自分の手が見えないほど暗いというのも不安をかきたてる。
ただそんなもの些末な問題だと思うほどの眠れない一番の原因は、魔物の存在だった。
薄暗い中、神殿の外から聞こえる獣のような鳴き声。最初はなんの声かわからずに、壁伝いに手探りで扉まで歩いて外をそっと覗いた。
そこには夥しいほどの生物が飛び交っていたのだ。一目で蝙蝠や鳥の類ではないとわかる。大きさが違う、それと月夜に浮かび上がる蜥蜴が羽をつけたような歪な姿は、幼い頃恐竜図鑑で見たような翼竜に似ている。これが魔物だと直感的にそう思った。
どこから現れるのかわからないが、何かを探しているように旋回している。そのうちの一匹が扉の隙間から見る俺を目ざとく見つめ威嚇してきた。その声が他の魔物にも伝播し、煩いほどの鳴き声が響く。
そのうち、俺に向かって恐ろしいスピードで降下してきた。
やられる! と思った俺の目の前で、透明な壁に当たったかのように魔物は弾かれた。
結界を張ったと言っていたことを思い出したが、それにしても怖い。
違う魔物が口を開けて火を噴いてきたのには、本当に驚いて腰を抜かした。
急いで扉を閉めて、這って隅までくると、膝を抱え、ぶるぶる震えながら耳を塞ぐ。
一晩中、魔物は鳴きやまなかった。
いつの間にか、朝が訪れ、魔物の声は聞こえなくなっていた。
本当に大変な世界に来たのだと痛感した瞬間だった。
こんな夜をこれから過ごすのかと思うと、正直生きていける気がしない。
着替えた服も着心地が悪く、パンも本当にパンなのかと思うほど硬く、果物に至っては萎びていて瑞々しさのかけらもない。
早くも挫折しかけて、俺は使えない蝋燭を壁に叩きつけた。
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