拗らせリアコネクト

山吹レイ

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「あ……頭が痛い……」
 呟いた俺は、ゆっくりと目を開けて、眩しさに何度も瞬く。眠気を感じつつも目を擦り、欠伸をしてから、時間を確認する。朝の六時。道理で眠いはずだ。
 室内を見回すと、小さなテーブルに飲み食いした跡が残されている。
 そう言えば、隣人の健斗と飲んで……色々と話をして、そのまま寝てしまったのだ。
 テーブルを挟んだ向かい側に、健斗が呑気に眠っている。
 痛む頭を撫でながら起き上がり、襲ってきた尿意にふらつく足で慌ててトイレに駆け込んだ。
 昨夜健斗と話した内容が途切れ途切れに蘇ってくる。
 主に健斗に対する要求だ。酔っていたとはいえ、普段の生活態度のダメ出しや、暗い性格がどうのこうのとか、顔の半分を覆う前髪が鬱陶しいとか、しまいにはどうでもいいことまで絡んでいったような気がする。
 完全に絡み酒で、正直、申し訳ない気分だ。たが……記憶に残っている昨夜の健斗は、困っている様子ではあったが、怒ることなく時折深く頷いて本当に黙って聞いていていた。ふとした時に笑ってもいたように思える。
 関わりたくないと思っていたが、こうして一緒に酒を飲んでみると意外にも悪い奴ではなさそうだ。
 トイレから出て、すぐさまテーブルの上の殻をゴミ袋に入れていく。
「起きろ」
 健斗にも声をかけるが、奴はアルミ缶をへこませる音も歩き回って片付ける物音にも起きる気配はなく、呑気にすやすやと気持ちよさそうに眠っている。
 もう一度今度は大きい声で「起きろ!」と言ってみる。安らかな寝息は揺らぐことはなかった。
 体を揺すってみても「うーん」と唸り声を上げただけでは目は閉じたままだ。
 健斗の額をぺしっと軽く叩いて、起きる気配がないのを見て諦め、俺は顔を洗い歯を磨く。次に昨夜炊いたご飯をレンジで温め、味噌汁も温めなおした。朝食にちょうどいい。
 玉子焼きを作り、ソーセージを輪切りにしたものとキャベツをさっと炒めて、一緒に皿につける。
 その時になって、健斗がもぞもぞと起き上がった。鼻をくんくんさせて匂いを嗅ぎながら、大きく欠伸し、髪を乱暴にかく。
「起きたか」
 声をかけると、健斗は一瞬動きを止め、俺を凝視した。
 それから、不安げに周囲を見回し、やっとこの状況を飲み込んだ。
「あ、あ、あの……俺」
「声かけても全然起きなかった。ついでだからメシ食ってけ」
 俺はテーブルの上に二人分の食事を並べていく。湯気が立つご飯を目の前に、健斗の腹がぐーと鳴る。俺は思わず声を出して笑ってしまった。
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