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第二部
Ⅹ
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デスクに座る俺は、昨日の水族館デートの余韻がまだ心に残っていた。
「舟形先輩、おはようございます!」
明るく挨拶しながら、早速昨日の話を切り出す。
「実は昨日、水族館に行ってきたんです。ペンギンがちょこちょこ歩くのとか、イルカのジャンプとか……すごく感動しました」
話しながら思わず目を輝かせる。
舟形先輩は微笑みながら聞いているが、話の端々に出てくる「課長」の名前に、ふと耳を澄ます。
「……白鷹課長と一緒に行ったのか?」
「はい! 課長……、迅さんと一緒だったんです。迅さん、イルカショーのときに手を握ってくれたり、大きいペンギンのぬいぐるみも買ってくれたりして……本当に優しくて、なんていうか……すごく嬉しかったです」
舟形先輩は少し苦笑い。
「なるほど……直樹、お前、ちょっと惚気てるな?」
「えっ、いや、違います! 水族館の話ですよ、お魚やイルカの話ですって……」
必死に言い訳するが、頬が赤くなるのを舟形先輩は見逃さない。
「……まぁ、お前が楽しそうならいいんだけどさ」
舟形先輩はにやりと笑う。
俺は照れながらも、自然に昨日の思い出を語り続ける。
「ペンギンのぬいぐるみ、家に帰ってからもずっと抱っこしてて……本当に幸せで……」
舟形先輩は心の中で思う。
「……直樹、デートの話をお魚の話に混ぜつつ、完全に惚気てるぞ……。本当に楽しかったんだろうな。……白鷹課長、大変そうだ」
俺は何気なく楽しそうに話しただけなのに、知らず知らずのうちに、周囲にラブラブオーラを振りまいていたみたいだった。
資料に目を通しながら、頭の中には昨日の水族館デートの光景がちらつく。
「ペンギンのぬいぐるみ……抱っこしたいなぁ……」
ふと微笑んで、手元の書類に目を戻すが、また心がふわりと浮つく。
イルカショーで手を握られた瞬間、ソファで見守られながら話したこと――
「お前、本当に無自覚に可愛いな……」
あの声が頭の中でくるくる回る。
直樹は思わず机に手を置いたまま小さくため息。
「……迅さん、ほんと、優しいな……」
口に出すわけではないけれど、心の奥でじんわりと温かさが広がる。
舟形先輩が隣で作業をしているのを意識しつつも、視線の端には昨日のデートの余韻が残る。
「ああ、俺、こんなに幸せでいいのかな……」
胸の奥がきゅんと締め付けられるような感覚に、思わず肩を小さく揺らす。
目の前の仕事に集中しようと努力するのだが、ふと手元にあるペンを握り直しながら、心は迅さんの笑顔と手の温もりを思い返していた。
「今日も、帰ったら迅さんに会える……」
そう思うだけで、頬は自然と赤みを帯び、仕事に向かう背中に小さな力が入る。
その時、隣の舟形先輩がちらりと俺を見て言う。
「おい、直樹。お前、まだ夢見てるのか?ちゃんと仕事しないと、俺、白鷹課長に告げ口しちゃうぞ」
「えっ、そ、そんなこと……!」
慌てて書類に目を戻す。
しかし、舟形先輩の視線は真剣だ。
「お前がデレデレしてるのは可愛いけど、仕事中は集中しろ」
直樹はハッと我に返り、ペンを握り直す。
「……はい! すみません、舟形先輩!」
心の中で、ちょっと悔しいけど、背筋が伸びる思い。
しばらくは、舟形先輩にチェックされながら資料整理やメールの返信、プレゼン資料の修正に集中。
「ああ、やっぱり舟形先輩の言う通りだ……ちゃんとやらなきゃ……」
机に向かって集中すると、デートの余韻はまだ胸に残るけれど、手元の仕事に自然と気持ちが入っていく。
ふと、昨日のキーホルダーやぬいぐるみのことを思い出し、微笑みつつも、ペンを走らせ、パソコンの画面を確認。
「よし……今日も頑張ろう」
甘く温かい余韻と、仕事をやり切る小さな決意が混ざる昼下がりだった。
家のドアを開けると、迅さんの笑顔が目に飛び込む。
「おかえり、直樹。今日も一日お疲れ」
「ただいまです、迅さん……!」
俺は脱ぎかけのコートもそこそこに、リビングに飛び込み、ぺたんとソファに腰を下ろす。
「今日、ちゃんと仕事頑張ったんです……舟形先輩に『白鷹課長に直樹が仕事サボってるって告げ口するぞー』って言われて、ハッとして」
思わず手を握りながら、嬉しそうに報告する。
「それで、資料の整理もプレゼンの修正も全部終わらせてきました……!」
顔を赤くして、ちょっと得意げな笑みを浮かべる。
迅さんはその様子を見て、自然に手を伸ばして直樹の頭を撫でる。
「……よくやったな、直樹」
その声に、直樹は胸がぎゅっと熱くなる。
「迅さん……褒めてくれるんですか……?」
「当然だろ。頑張ったお前をちゃんと褒めないでどうする」
直樹はぬいぐるみを抱きしめたまま、思わずソファにもたれかかる。
「迅さん……俺、今日、すごく幸せです……」
迅さんは笑いながら、直樹の手をそっと握る。
「……お前、今日も可愛いな。無自覚に惚れさせやがって」
俺は顔を赤くしながらも、ぬいぐるみを抱きしめ、安心したように体を預ける。
「えへへ……迅さんに褒めてもらえて、やっぱり嬉しいです……」
そのままソファに座ったまま、二人で静かに、甘く温かい時間を共有した。
迅さんが作ってくれた夕ごはんを食べて、
お風呂を済ませて、俺はソファに座り、ぬいぐるみを抱きしめる。
今日一日の頑張りとデートの余韻を思い返していた。
「迅さん……今日も、美味しいごはんと、いっぱい褒めてくれて……ありがとうございます……」
小さな声でつぶやくと、迅さんはすぐに隣に座り、そっと肩に手を回す。
「お前、本当に無自覚に可愛いな……」
俺は顔を真っ赤にしながらも、安心したようにぺたりと身を寄せる。
「褒めてもらえると、なんだか……嬉しすぎて……」
ぬいぐるみを抱きしめたまま、少し照れた笑みを浮かべる。
迅さんは優しく頭を撫でながら、ささやく。
「……お前がこんなに一生懸命で、頑張って、甘えてくるから……たまらないんだ」
俺はその言葉に胸がぎゅっと温かくなり、思わず顔を上げてちらりと見つめる。
「課長……俺、今日、すごく幸せでした……」
「そうか……なら、今夜はこのままゆっくり休め」
迅さんは俺の肩を抱き寄せ、二人でソファに沈み込むようにして座る。
俺はぬいぐるみを抱えたまま、少しずつまどろみながら、迅さんの温もりに包まれ、口付けをされる。
「……迅さん……ずっと、こうしていてくれますか……」
「……ああ、ずっとだ」
迅さんの声に、胸はぽかぽかと温かく、自然と安心の笑みがこぼれる。
夜の静かなリビングには、甘く穏やかな時間だけが流れていった。
「舟形先輩、おはようございます!」
明るく挨拶しながら、早速昨日の話を切り出す。
「実は昨日、水族館に行ってきたんです。ペンギンがちょこちょこ歩くのとか、イルカのジャンプとか……すごく感動しました」
話しながら思わず目を輝かせる。
舟形先輩は微笑みながら聞いているが、話の端々に出てくる「課長」の名前に、ふと耳を澄ます。
「……白鷹課長と一緒に行ったのか?」
「はい! 課長……、迅さんと一緒だったんです。迅さん、イルカショーのときに手を握ってくれたり、大きいペンギンのぬいぐるみも買ってくれたりして……本当に優しくて、なんていうか……すごく嬉しかったです」
舟形先輩は少し苦笑い。
「なるほど……直樹、お前、ちょっと惚気てるな?」
「えっ、いや、違います! 水族館の話ですよ、お魚やイルカの話ですって……」
必死に言い訳するが、頬が赤くなるのを舟形先輩は見逃さない。
「……まぁ、お前が楽しそうならいいんだけどさ」
舟形先輩はにやりと笑う。
俺は照れながらも、自然に昨日の思い出を語り続ける。
「ペンギンのぬいぐるみ、家に帰ってからもずっと抱っこしてて……本当に幸せで……」
舟形先輩は心の中で思う。
「……直樹、デートの話をお魚の話に混ぜつつ、完全に惚気てるぞ……。本当に楽しかったんだろうな。……白鷹課長、大変そうだ」
俺は何気なく楽しそうに話しただけなのに、知らず知らずのうちに、周囲にラブラブオーラを振りまいていたみたいだった。
資料に目を通しながら、頭の中には昨日の水族館デートの光景がちらつく。
「ペンギンのぬいぐるみ……抱っこしたいなぁ……」
ふと微笑んで、手元の書類に目を戻すが、また心がふわりと浮つく。
イルカショーで手を握られた瞬間、ソファで見守られながら話したこと――
「お前、本当に無自覚に可愛いな……」
あの声が頭の中でくるくる回る。
直樹は思わず机に手を置いたまま小さくため息。
「……迅さん、ほんと、優しいな……」
口に出すわけではないけれど、心の奥でじんわりと温かさが広がる。
舟形先輩が隣で作業をしているのを意識しつつも、視線の端には昨日のデートの余韻が残る。
「ああ、俺、こんなに幸せでいいのかな……」
胸の奥がきゅんと締め付けられるような感覚に、思わず肩を小さく揺らす。
目の前の仕事に集中しようと努力するのだが、ふと手元にあるペンを握り直しながら、心は迅さんの笑顔と手の温もりを思い返していた。
「今日も、帰ったら迅さんに会える……」
そう思うだけで、頬は自然と赤みを帯び、仕事に向かう背中に小さな力が入る。
その時、隣の舟形先輩がちらりと俺を見て言う。
「おい、直樹。お前、まだ夢見てるのか?ちゃんと仕事しないと、俺、白鷹課長に告げ口しちゃうぞ」
「えっ、そ、そんなこと……!」
慌てて書類に目を戻す。
しかし、舟形先輩の視線は真剣だ。
「お前がデレデレしてるのは可愛いけど、仕事中は集中しろ」
直樹はハッと我に返り、ペンを握り直す。
「……はい! すみません、舟形先輩!」
心の中で、ちょっと悔しいけど、背筋が伸びる思い。
しばらくは、舟形先輩にチェックされながら資料整理やメールの返信、プレゼン資料の修正に集中。
「ああ、やっぱり舟形先輩の言う通りだ……ちゃんとやらなきゃ……」
机に向かって集中すると、デートの余韻はまだ胸に残るけれど、手元の仕事に自然と気持ちが入っていく。
ふと、昨日のキーホルダーやぬいぐるみのことを思い出し、微笑みつつも、ペンを走らせ、パソコンの画面を確認。
「よし……今日も頑張ろう」
甘く温かい余韻と、仕事をやり切る小さな決意が混ざる昼下がりだった。
家のドアを開けると、迅さんの笑顔が目に飛び込む。
「おかえり、直樹。今日も一日お疲れ」
「ただいまです、迅さん……!」
俺は脱ぎかけのコートもそこそこに、リビングに飛び込み、ぺたんとソファに腰を下ろす。
「今日、ちゃんと仕事頑張ったんです……舟形先輩に『白鷹課長に直樹が仕事サボってるって告げ口するぞー』って言われて、ハッとして」
思わず手を握りながら、嬉しそうに報告する。
「それで、資料の整理もプレゼンの修正も全部終わらせてきました……!」
顔を赤くして、ちょっと得意げな笑みを浮かべる。
迅さんはその様子を見て、自然に手を伸ばして直樹の頭を撫でる。
「……よくやったな、直樹」
その声に、直樹は胸がぎゅっと熱くなる。
「迅さん……褒めてくれるんですか……?」
「当然だろ。頑張ったお前をちゃんと褒めないでどうする」
直樹はぬいぐるみを抱きしめたまま、思わずソファにもたれかかる。
「迅さん……俺、今日、すごく幸せです……」
迅さんは笑いながら、直樹の手をそっと握る。
「……お前、今日も可愛いな。無自覚に惚れさせやがって」
俺は顔を赤くしながらも、ぬいぐるみを抱きしめ、安心したように体を預ける。
「えへへ……迅さんに褒めてもらえて、やっぱり嬉しいです……」
そのままソファに座ったまま、二人で静かに、甘く温かい時間を共有した。
迅さんが作ってくれた夕ごはんを食べて、
お風呂を済ませて、俺はソファに座り、ぬいぐるみを抱きしめる。
今日一日の頑張りとデートの余韻を思い返していた。
「迅さん……今日も、美味しいごはんと、いっぱい褒めてくれて……ありがとうございます……」
小さな声でつぶやくと、迅さんはすぐに隣に座り、そっと肩に手を回す。
「お前、本当に無自覚に可愛いな……」
俺は顔を真っ赤にしながらも、安心したようにぺたりと身を寄せる。
「褒めてもらえると、なんだか……嬉しすぎて……」
ぬいぐるみを抱きしめたまま、少し照れた笑みを浮かべる。
迅さんは優しく頭を撫でながら、ささやく。
「……お前がこんなに一生懸命で、頑張って、甘えてくるから……たまらないんだ」
俺はその言葉に胸がぎゅっと温かくなり、思わず顔を上げてちらりと見つめる。
「課長……俺、今日、すごく幸せでした……」
「そうか……なら、今夜はこのままゆっくり休め」
迅さんは俺の肩を抱き寄せ、二人でソファに沈み込むようにして座る。
俺はぬいぐるみを抱えたまま、少しずつまどろみながら、迅さんの温もりに包まれ、口付けをされる。
「……迅さん……ずっと、こうしていてくれますか……」
「……ああ、ずっとだ」
迅さんの声に、胸はぽかぽかと温かく、自然と安心の笑みがこぼれる。
夜の静かなリビングには、甘く穏やかな時間だけが流れていった。
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