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19.ゼファとお勉強
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ゼファールが帰ってきて、しばらくはお祭り騒ぎだった魔王城も普段の落ちつきを取り戻していた。
祝勝会の翌日から、リュカの勉強は本格的に始まった。
魔王城の最も静かな階層にある、広く重厚なゼファールの執務室。
そこに朝から、ゼファールとカリオンとリュカの三人がそろうことになった。
実は、魔王であるゼファールは本来はものすごく仕事ができるし、側近のカリオンも天才官僚と言われていて、仕事が鬼速い。
「――リュカ殿の勉強ですが、ここで行うのが最も効率的でしょう」
カリオンは冷静に説明する。
「私は執務をしつつ指導ができます。
リュカ殿はすぐに質問できる。
そして陛下も……その……リュカ殿と一緒で落ち着かれるでしょうし」
ゼファールは少しだけ照れた顔でそっぽを向く。
リュカは不満顔。
「おれ、別にゼファがいなくても平気なのに」
尻尾が左右にぱたぱたしていて、言ってることと矛盾しているので、カリオンがボソリと言う。
「……今、尻尾が寂しいと訴えておりました」
「う、うるせぇ!!」
真っ赤になるリュカに、ゼファールはにやりと笑う。
「なら決まりだ。リュカは毎日、ここで学べ」
ということで、始まった魔王の執務室での、静かで騒がしい三人生活。
午前中は事務仕事の時間のはずなのに。
カリオンの書類を走るペンの音がカリカリと響く一方で、
リュカは机にかじりついて文字の練習や歴史の読み物。
そしてゼファールは
――全然仕事が進んでない!
理由は簡単。
視界の端にリュカが座っているから。
「……ゼファ、こっち見すぎ。集中しろよ」
リュカが指摘する。
ゼファールは咳払いをするだけで、すぐまた視線が流れる。
(……耳が揺れた)
(今の舌を出す動きは何だ)
(尻尾が……尻尾がもふもふしてて……かわいい)
そんな感じで、全力で、全然気にしてないふりをしてるけど、明らかに仕事が進んでない。
カリオンは見かねて言う。
「……陛下。ご執務を」
「している」
「視線が五割リュカ殿の方を向いております」
カリオンの言葉にリュカは、ちょっと恥ずかしい……とかんじているが、尻尾はぶんぶんと動いていて、嬉しいというのがわかる。
ゼファールは机に肘を突き、呆れたように笑う。
「……うるさい。見たくて見ているんじゃない。
自然と目に入るんだ」
カリオンは相変わらず、冷静に言う。
「それを見ていると言うんですよ」
また別の日。
リュカが読む文字に詰まると、カリオンが丁寧に説明する。
それでもリュカがわからないでいるときは、ゼファールがふいに口を出す。
「そこは、こう読む。意味は……こういうことだ」
「ゼファ、なんで知ってんだよ」
「魔王だからな」
ドヤ顔のゼファールに、リュカは舌打ちしながらも、こっそり尻尾がゆれている。
カリオンは思う。
(……これは、勉強の効率が上がっているのか下がっているのか……)
またある日、リュカがノートに向かいながら、眉を寄せていると、ゼファールが後ろから覗き込んだ。
「ここだろ、分かってないの」
囁くような声で言いながら、ゼファールの手がリュカの肩に置かれる。
近い!
近すぎる!
リュカは真っ赤になっている。
「な、なんだよ! 離れろよ!」
「嫌だ」
ゼファールは即答。
尻尾がゼファールの腰に巻きつこうとして、慌ててほどく。
カリオンは書類をおき、静かに言う。
「……陛下。本当に、ご執務が進みません」
「黙れ」
「はい」
カリオンもいい加減、慣れてきたのかもしれない。、
また別なある日、勉強に疲れたリュカが机に突っ伏して寝てしまう。
カリオンとゼファールは同時に動きを止めた。
ゼファールが小さく笑う。
「……よく頑張ってるな」
カリオンは穏やかに書類をまとめながら、
「リュカ殿は吸収が早い。それに、素質があります」
ゼファールはぼそっと言う。
「……俺のそばにいるからだ」
カリオンは聞かなかったふりをしたが、
耳は赤くなっていた。
ゼファールは立ち上がり、そっとリュカの頭を撫でる。
すると寝ながら尻尾がふわっと揺れた。
ゼファは微笑んだ。
「……安心して寝てるのか」
カリオンは仕事を続けるふりをしつつ、その光景を横目で暖かく見ていた。
祝勝会の翌日から、リュカの勉強は本格的に始まった。
魔王城の最も静かな階層にある、広く重厚なゼファールの執務室。
そこに朝から、ゼファールとカリオンとリュカの三人がそろうことになった。
実は、魔王であるゼファールは本来はものすごく仕事ができるし、側近のカリオンも天才官僚と言われていて、仕事が鬼速い。
「――リュカ殿の勉強ですが、ここで行うのが最も効率的でしょう」
カリオンは冷静に説明する。
「私は執務をしつつ指導ができます。
リュカ殿はすぐに質問できる。
そして陛下も……その……リュカ殿と一緒で落ち着かれるでしょうし」
ゼファールは少しだけ照れた顔でそっぽを向く。
リュカは不満顔。
「おれ、別にゼファがいなくても平気なのに」
尻尾が左右にぱたぱたしていて、言ってることと矛盾しているので、カリオンがボソリと言う。
「……今、尻尾が寂しいと訴えておりました」
「う、うるせぇ!!」
真っ赤になるリュカに、ゼファールはにやりと笑う。
「なら決まりだ。リュカは毎日、ここで学べ」
ということで、始まった魔王の執務室での、静かで騒がしい三人生活。
午前中は事務仕事の時間のはずなのに。
カリオンの書類を走るペンの音がカリカリと響く一方で、
リュカは机にかじりついて文字の練習や歴史の読み物。
そしてゼファールは
――全然仕事が進んでない!
理由は簡単。
視界の端にリュカが座っているから。
「……ゼファ、こっち見すぎ。集中しろよ」
リュカが指摘する。
ゼファールは咳払いをするだけで、すぐまた視線が流れる。
(……耳が揺れた)
(今の舌を出す動きは何だ)
(尻尾が……尻尾がもふもふしてて……かわいい)
そんな感じで、全力で、全然気にしてないふりをしてるけど、明らかに仕事が進んでない。
カリオンは見かねて言う。
「……陛下。ご執務を」
「している」
「視線が五割リュカ殿の方を向いております」
カリオンの言葉にリュカは、ちょっと恥ずかしい……とかんじているが、尻尾はぶんぶんと動いていて、嬉しいというのがわかる。
ゼファールは机に肘を突き、呆れたように笑う。
「……うるさい。見たくて見ているんじゃない。
自然と目に入るんだ」
カリオンは相変わらず、冷静に言う。
「それを見ていると言うんですよ」
また別の日。
リュカが読む文字に詰まると、カリオンが丁寧に説明する。
それでもリュカがわからないでいるときは、ゼファールがふいに口を出す。
「そこは、こう読む。意味は……こういうことだ」
「ゼファ、なんで知ってんだよ」
「魔王だからな」
ドヤ顔のゼファールに、リュカは舌打ちしながらも、こっそり尻尾がゆれている。
カリオンは思う。
(……これは、勉強の効率が上がっているのか下がっているのか……)
またある日、リュカがノートに向かいながら、眉を寄せていると、ゼファールが後ろから覗き込んだ。
「ここだろ、分かってないの」
囁くような声で言いながら、ゼファールの手がリュカの肩に置かれる。
近い!
近すぎる!
リュカは真っ赤になっている。
「な、なんだよ! 離れろよ!」
「嫌だ」
ゼファールは即答。
尻尾がゼファールの腰に巻きつこうとして、慌ててほどく。
カリオンは書類をおき、静かに言う。
「……陛下。本当に、ご執務が進みません」
「黙れ」
「はい」
カリオンもいい加減、慣れてきたのかもしれない。、
また別なある日、勉強に疲れたリュカが机に突っ伏して寝てしまう。
カリオンとゼファールは同時に動きを止めた。
ゼファールが小さく笑う。
「……よく頑張ってるな」
カリオンは穏やかに書類をまとめながら、
「リュカ殿は吸収が早い。それに、素質があります」
ゼファールはぼそっと言う。
「……俺のそばにいるからだ」
カリオンは聞かなかったふりをしたが、
耳は赤くなっていた。
ゼファールは立ち上がり、そっとリュカの頭を撫でる。
すると寝ながら尻尾がふわっと揺れた。
ゼファは微笑んだ。
「……安心して寝てるのか」
カリオンは仕事を続けるふりをしつつ、その光景を横目で暖かく見ていた。
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