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1.衝撃
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彼がほんの僅かにだが冷静さを取り戻した時、ようやく周囲の状況が見え始めた。
彼女の体から吐き出された大量の血、床の上に転がっている血まみれの包丁。
部屋は荒らされていて、引き出しは開きっぱなしになっており彼女を殺した犯人は強盗目的だった可能性がその状況から推察できる。
「誰が……誰がこんな事を……!」
絞り出した声、眉間のしわ、それだけで十分に伝わるだろう。
彼の中に生まれた憎悪を。
カタン……
その時だった。
静まり返っていた部屋の中に物音が響いた。
もちろん彼の耳にもその物音は届き、渦巻いていた混乱の中に小さくない波紋が広がった。
自分の心音が高鳴り全身の血流がスピードを上げて流れていくのを感じながら、彼はゆっくりと彼女の亡骸を再び床に寝かせる。
(犯人はまだ部屋の中にいる)
物音一つでその可能性にたどり着いた時、彼の口元は緩んでいた。
ゆっくりと静かに立ち上がった彼は物音のした場所を確認する。
そこは隣の部屋、ドアは開かれたままで中の様子がうかがえる。
その部屋は寝室で、大きめのベッドが一つと煌びやかな化粧台があり、やはり荒らされていた。
物音の発生源は寝室の一番奥、両開きのルーバー付き折れ戸が目を引く大きなクローゼット。
彼はそこに犯人が今も潜伏していると確信していた。
彼の心拍数はさらに上昇、そこにいる誰かに対する恐怖心は確かにあったが、それよりも犯人がまだここにいてくれたことに対する喜びの方が大きかった。
何故ならこれは千載一遇のチャンスだからだ。
彼女を殺した犯人に自らの手で鉄槌を下す事が出来る。
彼に取りついた憎悪は彼自身を突き動かすには十分過ぎた。
(つぐみの命を奪った奴は生かしておけない。僕が必ず仇をとってあげるからね)
華奢な体格の彼がこのまま丸腰で戦うなんて選択肢はなく、周りを見渡して武器になりそうなものを探す。
ぐるりと見渡して寝室の入口に立てかけたままになっていたゴルフバッグに目がとまる。
そこからゴルフクラブを一本引き抜きニヤリと笑えば、本当に何かに取りつかれてしまったかのような不気味さが滲み出していた。
全身血にまみれ、武器を手にした男の姿は皮肉にも犯人と誤解されてもおかしくはない。
そんなことは全く気にも留めず、彼は足音を殺しゆっくりとクローゼットへと近付いていった。
彼女の体から吐き出された大量の血、床の上に転がっている血まみれの包丁。
部屋は荒らされていて、引き出しは開きっぱなしになっており彼女を殺した犯人は強盗目的だった可能性がその状況から推察できる。
「誰が……誰がこんな事を……!」
絞り出した声、眉間のしわ、それだけで十分に伝わるだろう。
彼の中に生まれた憎悪を。
カタン……
その時だった。
静まり返っていた部屋の中に物音が響いた。
もちろん彼の耳にもその物音は届き、渦巻いていた混乱の中に小さくない波紋が広がった。
自分の心音が高鳴り全身の血流がスピードを上げて流れていくのを感じながら、彼はゆっくりと彼女の亡骸を再び床に寝かせる。
(犯人はまだ部屋の中にいる)
物音一つでその可能性にたどり着いた時、彼の口元は緩んでいた。
ゆっくりと静かに立ち上がった彼は物音のした場所を確認する。
そこは隣の部屋、ドアは開かれたままで中の様子がうかがえる。
その部屋は寝室で、大きめのベッドが一つと煌びやかな化粧台があり、やはり荒らされていた。
物音の発生源は寝室の一番奥、両開きのルーバー付き折れ戸が目を引く大きなクローゼット。
彼はそこに犯人が今も潜伏していると確信していた。
彼の心拍数はさらに上昇、そこにいる誰かに対する恐怖心は確かにあったが、それよりも犯人がまだここにいてくれたことに対する喜びの方が大きかった。
何故ならこれは千載一遇のチャンスだからだ。
彼女を殺した犯人に自らの手で鉄槌を下す事が出来る。
彼に取りついた憎悪は彼自身を突き動かすには十分過ぎた。
(つぐみの命を奪った奴は生かしておけない。僕が必ず仇をとってあげるからね)
華奢な体格の彼がこのまま丸腰で戦うなんて選択肢はなく、周りを見渡して武器になりそうなものを探す。
ぐるりと見渡して寝室の入口に立てかけたままになっていたゴルフバッグに目がとまる。
そこからゴルフクラブを一本引き抜きニヤリと笑えば、本当に何かに取りつかれてしまったかのような不気味さが滲み出していた。
全身血にまみれ、武器を手にした男の姿は皮肉にも犯人と誤解されてもおかしくはない。
そんなことは全く気にも留めず、彼は足音を殺しゆっくりとクローゼットへと近付いていった。
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