家族に捨てられたけど、もふもふ最強従魔に愛されました

朔夜

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1章

星の祝福と家族の愛

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アイラが生まれた夜、王都アストリアは不思議な静けさに包まれていた。
 深い紺色の空を見上げると、星々がひときわ強く脈打つように輝き、まるで天がひとりの命の誕生を祝福しているかのようだった。
 その光の中心にいたのが──アイラだった。
 産声をあげた瞬間、彼女の小さな胸から淡い金色の光がふわりと広がった。
 温かく、優しく、森の精霊たちが寄り添うような柔らかい光。
 助産師も、母ライラも、父ガルドも、その光に息をのんだ。
「……この子は、星の加護を持っているのね」
 母ライラは、そっとアイラを胸に抱きしめた。
 赤ん坊の体はまだ頼りなく、温かく、しかしどこか神秘的な雰囲気を纏っている。
 父ガルドは、大きな手で彼女の指をそっと握りしめた。
「小さくて……でも強い。ライラ、見ろ。指を握り返してきたぞ」
 その声音は驚きと喜びと、言葉にできない愛情で震えていた。
 あの日、両親の胸に宿った想いは一つ──
 “この子を守りたい”。
 アイラが生まれて10年間、家族は彼女を心から愛した。
母ライラは、朝起きるたびにアイラの髪を梳きながら言った。
「この子はきっと大きな運命に選ばれる。でも……普通の女の子として幸せでいてほしいわ」
父ガルドは、狩りの合間に必ず土産を持ち帰る。
珍しい花や木の実、小さな魔道具まで、アイラの目が輝くものなら何でも。
兄のルーグと姉のミリアは、弟や妹を可愛がるのと同じように、いやそれ以上に、アイラを甘やかした。
「今日もアイラが笑ってるぞ! ほら、かくれんぼしよう!」
「アイラは本当に可愛いわね。ねえ、もう一度髪を結ばせて?」
 アイラは笑った。
 家族が大好きで、大切で、この幸せが永遠に続くものだと信じていた。
 しかし──彼女の胸奥に宿る“星の力”は、年々強くなっていった。
 自然と光を引き寄せ、森の生き物たちが彼女の足元に集まることもあった。
 小鳥が肩に降り、花弁がアイラの周りを舞う。
 村人たちは「祝福された子だ」と微笑む者もいたが、陰で恐れを抱く者もいた。
 10歳になる年。
 “魔力測定の日”が近づくにつれ、家族はどこか不安げな表情を見せることが増えた。
「大丈夫よ、アイラ。あなたはあなた。結果なんて気にしなくていいの」
 母ライラはそう言うが、声にはかすかな震えがあった。
 父ガルドも、何かを考えるように夜空を見上げる日が増えた。
 アイラは胸の奥に小さな不安を抱えながらも、
家族から注がれる温かい愛情だけは、確かに感じていた。
──だが、まだ誰も知らなかった。
この優しい日々が、魔力測定の日を境に、
ゆっくりと崩れ始めることを。
そしてアイラの運命が、あの星降りの夜に選び取られた存在たち──
フェンリル、ウィングキャット、シャドーベア
“三体の従魔”と交わる未来へ導かれていくことを。
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