家族に捨てられたけど、もふもふ最強従魔に愛されました

朔夜

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3章

魔力測定

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大きな破裂音が冒険者ギルドに響き渡った。
 魔力測定器が光を上げて破壊された直後──
 アイラは両手を胸の前でぎゅっと握りしめ、身体を小さく震わせていた。
(また……壊しちゃった……どうしよう……
 これでまた、“化け物”って……)
 その肩を、すっと包んだ腕があった。
「怖がるな、アイラ。もう誰もお前を傷つけはしない」
 銀髪の青年──人型になったフェンリルが、
優しい声音で耳元に息を落とすように囁く。
 その声だけで、胸のざわつきが少し消えていく。
「大丈夫だよアイラ! 壊したっていいじゃん!」
 白髪でふわふわの少年──ウィングキャットが、
にこーっと笑ってアイラの手を握った。
「……こわれた、だけ。……アイラ、悪くない」
 黒髪の寡黙な青年──シャドーベアも、
不器用にフォローしてくれる。
 三人が体で庇うように囲んでくれるその温かさに、
アイラの目尻に涙が浮かんだ。

「ひっ、ひぇっ!? き、昨日新品に交換したばかりなのに……!?」
「こ、こんな魔力量……人類であり得るの……?」
 受付嬢は崩れ落ちそうになりながらつぶやく。
 周囲の冒険者たちもざわめいた。
「え、あの子……測定器爆破したぞ……?」
「魔力量測定不能ってことか?」
「公爵家の娘って聞いたけど……まさかそんな……」
 アイラは身を縮める。
(やっぱり……怖がられてる……
 また“異物”だって思われる……)
 その瞬間、フェンリルがアイラの頬に手を添え、
くいっと顔を自分へ向けた。
「気にするな、アイラ。
 お前は“特別なだけ”だ。恐れる要素などない」
 低い声が心の奥までそっと触れるようだった。
「そうそう! すごいのは悪いことじゃないよ!」
「……むしろ誇れ」
 二人の従魔も同時に言う。

「そ、そんなに魔力が高いなら……特例で、登録はできます……!」
 受付嬢は震えながらも勇気を振り絞って言った。
「ただし……危険度が高すぎて、あなたのランクは……
 EでもDでもなく……特級扱いになります……!」
「と、特級……!?」
 ギルドがざわめく。
 アイラの目は驚きでまん丸になったが、
横でフェンリルが穏やかに微笑む。
「ふむ、当然だ。アイラは世界でただ一人の存在だからな」
 ウィングキャットは胸を張り、
「うちのアイラはすごいんだよ!」
と誇らしげ。
 シャドーベアは短く、
「……ふつう。アイラ、最強」
と言った。
 その言葉に、アイラの胸はあたたかく満たされていく。
(追放された私でも……
 ここでは……“いていい”んだ……)

こうしてアイラは正式に冒険者となり、
新しい世界への扉が静かに開いた。
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