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銀鳴鳥の囀る朝に。
登場人物紹介& 。
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【登場人物紹介】
アイル・ラスター
享年26才。細身の騎士。
その背丈や体格からヴィリアム王子の身代わりを務める。
魔術の才能は無く、剣技に長けていた。
友人は少ないが、他の騎士たちからは清廉な騎士として慕われていた。
銀鳴鳥を飼育していたが、頑張って言葉を覚えさせても上手く覚えることはなく苦戦していた。
いつも王子がもう少しお馬鹿ではなければ……と枕に顔を埋めながら弱音を吐いていたが、もう一つの聞かれたくない想いのほうをばっちり覚えられていた。
酒は強く、どれだけ飲んでも酔うことはない。
グラディウス・レイジ
26才。大柄の魔導騎士。
美貌の持ち主。恋多く、女も男もいける両刀だが必ず抱く方。
十代前半の騎士見習いの頃からアイルと友人で、全く性格も性質も異なるのに仲が良かった。
同室だった従騎士時代は部屋の掃除などはアイルがしてくれていたので、そこそこ綺麗な部屋だった。
現在、部屋はなかなかの腐海となっており、恋人ですら部屋に入れることはない。
魔導に長けており、特に炎魔法に長けている。
固有魔法は自分の刻を速めることができる時空系魔法。
発動時には周りが止まって見える為、神速の剣技と称賛された。
同期の騎士たちからは憧憬の目で見られていたが、魔法を使って少々ズルをしていた自覚があったので、決して固有魔法を人に明かすことはなかった。
親友の恋愛対象が女性だと思い込んでいたので、男性でも対象になると知った時、箍が外れてしまった。
酒は弱くはないが量を飲むと記憶が飛ぶ。アイルと飲むと大抵気が緩んで深酒をしてしまう。
お読みいただきありがとうございました。
普段明るい希望で終わる話ばかりを書いていたのですが、ふと「馬鹿な王子のやらかしのせいで身代わりに斬首刑になる影武者の騎士が、死ぬ前にやりたいこととして、ずっと好きだった同期の騎士に抱かれに行く短編BL」というのが脳裏に浮かび、この物語を書き綴っておりました。
この物語はハピエン(ただし作者の概念による)と思って書いておりましたが、いかがでしたでしょうか。
それでは、最後にもうひとつだけ人物(鳥?)紹介のおまけを付けて、物語を閉じたいと思います。
願わくば、最後までこの物語を見届けていただきますようお願い申し上げます。
【魔鳥紹介】
銀鳴鳥
金鳴鳥は人の願いを叶え、銀鳴鳥は人に希望を授け、銅鳴鳥は人に絶望を与える。
そう伝承に残る、魔石を餌とする魔鳥。
人の言葉を覚えることができる。
実はこの三種の魔鳥はいずれも一つの鳥であることは知られていない。
人から蔑ろにされ傷つけられると羽の色が汚い銅色となり、人に害をもたらす魔鳥となる。
大切に大切に育てられた銀鳴鳥は金鳴鳥となり、人の願いを増幅して叶える魔鳥となる。
ただし、銀糸の羽を金糸に変えるほどの強い願いは、未だ観測されていない。
『金鳴鳥の囀る朝に。』
ゴトンと、首が落ちる音がした。
自分の首ではない。目の前にごろりと転がるそれは……王子の首。
「え……?」
何が、何が起きたのだろうか?
目の前で起きた事が理解できないでいた、王子の顔をした青年騎士は、その悲痛に歪む王子の首を齎した壮年の男を仰ぎ見る。
壮年の男はどうやら隻眼の様だった。男は汚れたマントを翻して剣を一閃する。
ガコンと自分の首が嵌められていた処刑具が解体される。
「やっとこの時空に“飛ぶ”事ができたな」
隻眼の男は感慨深そうに呟く。
「ピィ!! はやく! はやくその虫唾が走る魔導具を壊しなさい!」
「言われなくともわかっているよ。クソ鳥が」
「ピィ!!! こんなにも麗しく美しい私に向かってなんたる暴言!」
「耳元で喚くな! ちっ同一空間に同じ存在が二つ。概念が崩壊しそうだ。まぁ、良い。やっとだ、やっと」
美しい金糸の鳥の言葉に男は眩暈を堪えるように頭を抑えると、何が起きたか理解できていない青年の腕に塡められた呪具を解除する。
その解除呪文は固有のもので、言葉を知らない者には解除できないはず。
その男の年を重ねても衰えない美貌は昔に会った覚えもなく、解けるように自身の姿に戻った青年は男を見上げるのみだった。
会ったことはない。なのに、なぜか彼を思い出す。
「あなたは、いったい……?」
「なぁに。亡霊だよ。諦めきれずに足掻いた者の末路だ。ここは俺が抑える。行け。すぐそこにお前を連れ出す者がいる」
「え……?」
「そうです。主様。あなたは生きなさい。でなければ、確実に嘆き悲しむ人がいるのですから!」
愛しいあの子にそっくりな、けれども纏う輝きが異なる黄金の鳥が、男の肩上からパサリと一度翼を羽ばたかせる。
「アイル!!」
その時、逃げ惑う民衆の中から、一人の青年が断頭台に登ってきた。
惚けたままの青年騎士を抱き寄せると、男と対峙するように向き合う。
「グラディウス……? 君も……広場に……」
「誰だ貴様は!!」
「てめぇに名乗る義理はねぇ。本当に大切な物なら、奪われるな。守りきれ」
男は古いマントの下から、一本の剣を青年たちの前に突き立てる。
何十年と使い古されたその剣は、不思議とどこか見覚えのある形をしていた。
その時、王たちを守っていた騎士団長が男に斬りかかる。
だが、壮年の男にとって……昔あれほど叶わないと思っていた男は敵にはなりえなかった。
何十年も、何百回も。
繰り返した先に自分は立っている。
「行け!」
「生きなさい! あぁ、心細く待っている可愛くて綺麗な鳥はきちんと回収してくださいよ! あと美味しい魔石もいっぱい食べさせてくださいね!!」
「おいクソ鳥、締まらねぇから黙ってくれねぇか」
「なんですか全く! 主様とは比べ物にならないほど粗野な男にこれほど尽くしている私に! 感謝すれこそ文句を言うなどと万死に値しますよ! ピィ!!」
酷い顔をしていたグラディウスと呼ばれた青年は、壮年の男の残した剣を引き抜き、もう一人の青年の手を引いて立ち去る。
救い出された青年だけは、壮年の男たちを気にしてちらちらと振り返っていた。
生きてさえいれば。
彼が生き残る未来さえあれば。
――どれほど絶望に彩られた未来にだって、希望は残る。
目の前には騎士団長。そうして、取り囲み始めた騎士たち。
「さぁて、国盗りの大立ち回りをもう一度繰り返そうか? 相棒」
「まったく、あなたの相棒になったつもりはないのですけれど? 金鳴鳥として、あなたの焦がれるほどの強き望みを叶えましょう」
ぱさりと金鳴鳥が翼を羽ばたかせると、男を包む願いの力が強くなる。
壮年の男は、ニッと凶悪な笑みを浮かべると、剣を翻す。
金鳴鳥の囀る朝に、永劫の時の果て。
男の願いは叶えられた。
『金鳴鳥の囀る朝に。』
―続く―
アイル・ラスター
享年26才。細身の騎士。
その背丈や体格からヴィリアム王子の身代わりを務める。
魔術の才能は無く、剣技に長けていた。
友人は少ないが、他の騎士たちからは清廉な騎士として慕われていた。
銀鳴鳥を飼育していたが、頑張って言葉を覚えさせても上手く覚えることはなく苦戦していた。
いつも王子がもう少しお馬鹿ではなければ……と枕に顔を埋めながら弱音を吐いていたが、もう一つの聞かれたくない想いのほうをばっちり覚えられていた。
酒は強く、どれだけ飲んでも酔うことはない。
グラディウス・レイジ
26才。大柄の魔導騎士。
美貌の持ち主。恋多く、女も男もいける両刀だが必ず抱く方。
十代前半の騎士見習いの頃からアイルと友人で、全く性格も性質も異なるのに仲が良かった。
同室だった従騎士時代は部屋の掃除などはアイルがしてくれていたので、そこそこ綺麗な部屋だった。
現在、部屋はなかなかの腐海となっており、恋人ですら部屋に入れることはない。
魔導に長けており、特に炎魔法に長けている。
固有魔法は自分の刻を速めることができる時空系魔法。
発動時には周りが止まって見える為、神速の剣技と称賛された。
同期の騎士たちからは憧憬の目で見られていたが、魔法を使って少々ズルをしていた自覚があったので、決して固有魔法を人に明かすことはなかった。
親友の恋愛対象が女性だと思い込んでいたので、男性でも対象になると知った時、箍が外れてしまった。
酒は弱くはないが量を飲むと記憶が飛ぶ。アイルと飲むと大抵気が緩んで深酒をしてしまう。
お読みいただきありがとうございました。
普段明るい希望で終わる話ばかりを書いていたのですが、ふと「馬鹿な王子のやらかしのせいで身代わりに斬首刑になる影武者の騎士が、死ぬ前にやりたいこととして、ずっと好きだった同期の騎士に抱かれに行く短編BL」というのが脳裏に浮かび、この物語を書き綴っておりました。
この物語はハピエン(ただし作者の概念による)と思って書いておりましたが、いかがでしたでしょうか。
それでは、最後にもうひとつだけ人物(鳥?)紹介のおまけを付けて、物語を閉じたいと思います。
願わくば、最後までこの物語を見届けていただきますようお願い申し上げます。
【魔鳥紹介】
銀鳴鳥
金鳴鳥は人の願いを叶え、銀鳴鳥は人に希望を授け、銅鳴鳥は人に絶望を与える。
そう伝承に残る、魔石を餌とする魔鳥。
人の言葉を覚えることができる。
実はこの三種の魔鳥はいずれも一つの鳥であることは知られていない。
人から蔑ろにされ傷つけられると羽の色が汚い銅色となり、人に害をもたらす魔鳥となる。
大切に大切に育てられた銀鳴鳥は金鳴鳥となり、人の願いを増幅して叶える魔鳥となる。
ただし、銀糸の羽を金糸に変えるほどの強い願いは、未だ観測されていない。
『金鳴鳥の囀る朝に。』
ゴトンと、首が落ちる音がした。
自分の首ではない。目の前にごろりと転がるそれは……王子の首。
「え……?」
何が、何が起きたのだろうか?
目の前で起きた事が理解できないでいた、王子の顔をした青年騎士は、その悲痛に歪む王子の首を齎した壮年の男を仰ぎ見る。
壮年の男はどうやら隻眼の様だった。男は汚れたマントを翻して剣を一閃する。
ガコンと自分の首が嵌められていた処刑具が解体される。
「やっとこの時空に“飛ぶ”事ができたな」
隻眼の男は感慨深そうに呟く。
「ピィ!! はやく! はやくその虫唾が走る魔導具を壊しなさい!」
「言われなくともわかっているよ。クソ鳥が」
「ピィ!!! こんなにも麗しく美しい私に向かってなんたる暴言!」
「耳元で喚くな! ちっ同一空間に同じ存在が二つ。概念が崩壊しそうだ。まぁ、良い。やっとだ、やっと」
美しい金糸の鳥の言葉に男は眩暈を堪えるように頭を抑えると、何が起きたか理解できていない青年の腕に塡められた呪具を解除する。
その解除呪文は固有のもので、言葉を知らない者には解除できないはず。
その男の年を重ねても衰えない美貌は昔に会った覚えもなく、解けるように自身の姿に戻った青年は男を見上げるのみだった。
会ったことはない。なのに、なぜか彼を思い出す。
「あなたは、いったい……?」
「なぁに。亡霊だよ。諦めきれずに足掻いた者の末路だ。ここは俺が抑える。行け。すぐそこにお前を連れ出す者がいる」
「え……?」
「そうです。主様。あなたは生きなさい。でなければ、確実に嘆き悲しむ人がいるのですから!」
愛しいあの子にそっくりな、けれども纏う輝きが異なる黄金の鳥が、男の肩上からパサリと一度翼を羽ばたかせる。
「アイル!!」
その時、逃げ惑う民衆の中から、一人の青年が断頭台に登ってきた。
惚けたままの青年騎士を抱き寄せると、男と対峙するように向き合う。
「グラディウス……? 君も……広場に……」
「誰だ貴様は!!」
「てめぇに名乗る義理はねぇ。本当に大切な物なら、奪われるな。守りきれ」
男は古いマントの下から、一本の剣を青年たちの前に突き立てる。
何十年と使い古されたその剣は、不思議とどこか見覚えのある形をしていた。
その時、王たちを守っていた騎士団長が男に斬りかかる。
だが、壮年の男にとって……昔あれほど叶わないと思っていた男は敵にはなりえなかった。
何十年も、何百回も。
繰り返した先に自分は立っている。
「行け!」
「生きなさい! あぁ、心細く待っている可愛くて綺麗な鳥はきちんと回収してくださいよ! あと美味しい魔石もいっぱい食べさせてくださいね!!」
「おいクソ鳥、締まらねぇから黙ってくれねぇか」
「なんですか全く! 主様とは比べ物にならないほど粗野な男にこれほど尽くしている私に! 感謝すれこそ文句を言うなどと万死に値しますよ! ピィ!!」
酷い顔をしていたグラディウスと呼ばれた青年は、壮年の男の残した剣を引き抜き、もう一人の青年の手を引いて立ち去る。
救い出された青年だけは、壮年の男たちを気にしてちらちらと振り返っていた。
生きてさえいれば。
彼が生き残る未来さえあれば。
――どれほど絶望に彩られた未来にだって、希望は残る。
目の前には騎士団長。そうして、取り囲み始めた騎士たち。
「さぁて、国盗りの大立ち回りをもう一度繰り返そうか? 相棒」
「まったく、あなたの相棒になったつもりはないのですけれど? 金鳴鳥として、あなたの焦がれるほどの強き望みを叶えましょう」
ぱさりと金鳴鳥が翼を羽ばたかせると、男を包む願いの力が強くなる。
壮年の男は、ニッと凶悪な笑みを浮かべると、剣を翻す。
金鳴鳥の囀る朝に、永劫の時の果て。
男の願いは叶えられた。
『金鳴鳥の囀る朝に。』
―続く―
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