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31 愛しのお姫様へ ③
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朝の正装をしたままの格好で助けに来てくれた彼の姿は、本当の王子様だった。
ドタドタドタ、ガチャンッーーー
ミハイルの研究室に着くと、今までに無いくらい力強く抱きしめられる。
「あんなに危ないことは、1人でしないで」
ミハイルの声が少し震えていて、私は安心させるように背中に腕をまわした。
「ごめんなさい」
彼の背中をなだめるように何度も撫でる。
「何かあったら絶対に僕を呼んでって水晶を渡した時に言ったよね。もう2度目はないよ」
本気で怒っているミハイルに申し訳無さを感じた。
「ごめんなさい。もう絶対1人で危ないことしないし、すぐにミハイルを呼ぶから」
ミハイルに目を合わせてちゃんと答える。
顎を掴まれると、確かめるように口付けをされた。
「君を失う人生なんて考えられないんだ」
ミハイルは真剣に私を見つめる。
彼の顔が再び近づくと私は目を閉じた。
******
今日のことがあったので、私達は早退してそのまま着替えることもせずに家のソファーでミハイルに抱きかかえられている。
新婚旅行の時のような触れ合いの近さに、どこか嬉しい気持ちでいた。
「ミハイル・・・帰って来て本当に大丈夫だったの?」
「ああ、あとはネルクに丸投げしてるから怒られるだろうね」
「ええ・・・式典とか抜け出してきたの?」
「必要な所はちゃんといたよ。あとは無駄に時間が過ぎるのを待つだけだった」
(本当に大丈夫なのかな・・・?)
「怖かったよね、マール」
「今日は本当に助けてくれてありがとう。貴方が来てくれていなかったら、私・・・」
「僕が必ず迎えに行くって言ったでしょ。水晶を使ってくれていたらもっと早くに君を守れたのに」
守ってくれた魔力で輝く指を眺めていると、またそこに唇が落とされる。
「ごめんなさい。あの、王宮の方は大丈夫なのかな?」
「ああ、もう二度とアイツらは王宮に入れないようにしといたから、マールはこれからも安心して過ごしてね」
「うん・・・」
私の暗くなった表情を覗き込む。
「ごめんね。アイツらとは同じ所属だったし、マールには近づかないようにあの試合に負けた後から逆恨みに燃えるアイツらをずっと牽制していたんだ。だけど・・・こんな時を狙われるなんてね・・・本当に許せないな」
抱きしめる力が強くなったので、彼の怒りを収めるように髪を優しく撫でる。
「あの・・・試合の後ってことは元のミハイルがそうしてたの?」
「そうだね、昔アイツらに囲まれていた君を助けられなかっただろう。だからせめてもの償いでね。今日やっと返せたかな」
元のミハイルが昔のことを気にしていたと思わず驚いたが、目の前の彼に感謝を込めて微笑む。
「ミハイル、ありがとう」
ミハイルは満足そうに微笑むと、目を瞑った顔が目と鼻の先で止まる。
「ミハ、イル・・・」
「この私にご褒美をください、姫」
(私から、するのは、初めて・・・)
王子様の姿をしている彼の顔に、緊張する手を添えるとゆっくりと柔らかい唇に触れる。後ろから離れられないように支えられているので、長い口付けが続く。
やっと出来るようになった呼吸をしながら唇を重ねていると、幸せそうに彼の口角が上がり、私の気持ちも同じように満たされる。
(この気持ちは・・・きっと)
ドタドタドタ、ガチャンッーーー
ミハイルの研究室に着くと、今までに無いくらい力強く抱きしめられる。
「あんなに危ないことは、1人でしないで」
ミハイルの声が少し震えていて、私は安心させるように背中に腕をまわした。
「ごめんなさい」
彼の背中をなだめるように何度も撫でる。
「何かあったら絶対に僕を呼んでって水晶を渡した時に言ったよね。もう2度目はないよ」
本気で怒っているミハイルに申し訳無さを感じた。
「ごめんなさい。もう絶対1人で危ないことしないし、すぐにミハイルを呼ぶから」
ミハイルに目を合わせてちゃんと答える。
顎を掴まれると、確かめるように口付けをされた。
「君を失う人生なんて考えられないんだ」
ミハイルは真剣に私を見つめる。
彼の顔が再び近づくと私は目を閉じた。
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今日のことがあったので、私達は早退してそのまま着替えることもせずに家のソファーでミハイルに抱きかかえられている。
新婚旅行の時のような触れ合いの近さに、どこか嬉しい気持ちでいた。
「ミハイル・・・帰って来て本当に大丈夫だったの?」
「ああ、あとはネルクに丸投げしてるから怒られるだろうね」
「ええ・・・式典とか抜け出してきたの?」
「必要な所はちゃんといたよ。あとは無駄に時間が過ぎるのを待つだけだった」
(本当に大丈夫なのかな・・・?)
「怖かったよね、マール」
「今日は本当に助けてくれてありがとう。貴方が来てくれていなかったら、私・・・」
「僕が必ず迎えに行くって言ったでしょ。水晶を使ってくれていたらもっと早くに君を守れたのに」
守ってくれた魔力で輝く指を眺めていると、またそこに唇が落とされる。
「ごめんなさい。あの、王宮の方は大丈夫なのかな?」
「ああ、もう二度とアイツらは王宮に入れないようにしといたから、マールはこれからも安心して過ごしてね」
「うん・・・」
私の暗くなった表情を覗き込む。
「ごめんね。アイツらとは同じ所属だったし、マールには近づかないようにあの試合に負けた後から逆恨みに燃えるアイツらをずっと牽制していたんだ。だけど・・・こんな時を狙われるなんてね・・・本当に許せないな」
抱きしめる力が強くなったので、彼の怒りを収めるように髪を優しく撫でる。
「あの・・・試合の後ってことは元のミハイルがそうしてたの?」
「そうだね、昔アイツらに囲まれていた君を助けられなかっただろう。だからせめてもの償いでね。今日やっと返せたかな」
元のミハイルが昔のことを気にしていたと思わず驚いたが、目の前の彼に感謝を込めて微笑む。
「ミハイル、ありがとう」
ミハイルは満足そうに微笑むと、目を瞑った顔が目と鼻の先で止まる。
「ミハ、イル・・・」
「この私にご褒美をください、姫」
(私から、するのは、初めて・・・)
王子様の姿をしている彼の顔に、緊張する手を添えるとゆっくりと柔らかい唇に触れる。後ろから離れられないように支えられているので、長い口付けが続く。
やっと出来るようになった呼吸をしながら唇を重ねていると、幸せそうに彼の口角が上がり、私の気持ちも同じように満たされる。
(この気持ちは・・・きっと)
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