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七話
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「記憶の持ち主はあの少女だな」
ツバサが言った目の前には、みすぼらしい服装にボサボサの髪型の少女がいた。
しかも、よく見ると痣がいくつもあり、誰かに殴られたりしたのだろう。
それを見て、ふと気がついたことを口にしてみた。
「そういえば、僕達は記憶の住人に見られないのかな」
「そうだな。だが、自分の記憶や近い人の記憶の中に自分達が行ったら気づかれる」
「む、難しい………」
「さて、お前もここでこの少女を見て、学ぶといい」
「学ぶって?」
「いろんなモノを見て、何かを感じ取れ」
そう言われても、ぴんとこなかった。何かを学べと言われても、何かを感じ取れと言われても、この可哀想な子を見てどうすれば良いのだろうか。
「感じ取る……ね」
『お…腹……空い、た……』
何も発しなかった少女がいきなり今にも死にそうな、消えそうな声でそう言った。
少女の目の前に僕達はいる。けど、その少女は記憶の住人で僕達は見えないのだ。
でも、誰もいないことを知ってながらも少女は助けを求めた。
『誰、か……助け……て……』
「ねぇ、ツバサ。この子助けられないの?」
お腹空いた、助けて、それは僕だってそうだった。いつも空腹感に襲われたし、心の奥底で助けてほしいと何度も思ったことか。
「無理だ。記憶の中に僕達はいるのだぞ?これは持ち主の記憶であり経験だ。もう過去の事、過去を変えるなど不可能なことだ」
「そうだよね………」
少しだけ残念がる様に言うと、ツバサは腕組みをしながら喋りだした。
「…………いらない記憶というものは、脳がいらないと判断したのと同様と言ったが。正確に言うと違う」
「へ?」
「いらない記憶は、本人が心からいらないと思ったモノなんだ」
「本人が………?」
目を見開きながら、ツバサの方へと向いた。先程と変わらない表情で突っ立っている。
「心からいらないと本人が思った、願った記憶はいらない記憶へと分担される。忘れ去られた記憶は本人が知らずのうちに忘れているものだからな。まぁ要は正当防衛、自分を守る為の行動だな」
「…なら、いらない記憶には幸が多いのなんて存在しないんじゃない?」
「いやもしも……だが、幸せな子が、その幸せが一瞬で崩れ去ったら、その子はどうなると思う?」
「幸せな子は、幸せだったから、いきなりきた不幸に精神が耐えられない…?」
「ご名等だ。その子はまだ普通の子で、そこから大きな不幸が来たら、人によって違うかもしれないが、まだ耐えられる」
ツバサの言っていることが、あまりよくわかってなかった。
ちゃんと聞けばわかるだろうが、今の僕には少女を助ける方法はないかと思い、そんな余裕なんてないからだ。
「簡単に例えると水車を考えてみろ。水車は水の量を一定に保っている。だがもしも、いきなり一定数を超えたら、水車は壊れてしまう。だから、慣れさせとくのが肝心だな」
「それじゃあ、僕に記憶の体験をしてもらうってそういうこと?」
「まぁ、そうだ。水車も水車で徐々に慣れさせていけば、水の量が多くても壊れないからな。お前も壊れないようにって事だ」
わかりやすく例えてくれたせいか、何となくだがわかってきた。
ツバサはもしかしたら、てれ恥ずかしいだけでほんとう優しいのかもしれない。
『ね、ぇ………助け、て…』
少女はいつの間にか、近くを通りかかった女の人の足を掴んでいた。
その力は弱々しく、誰でも簡単に振り払えるものだろう。だが、その女の人は違った。
「あら、大丈夫?……って、大丈夫な訳ないわよね。家にいらっしゃい」
ツバサが言った目の前には、みすぼらしい服装にボサボサの髪型の少女がいた。
しかも、よく見ると痣がいくつもあり、誰かに殴られたりしたのだろう。
それを見て、ふと気がついたことを口にしてみた。
「そういえば、僕達は記憶の住人に見られないのかな」
「そうだな。だが、自分の記憶や近い人の記憶の中に自分達が行ったら気づかれる」
「む、難しい………」
「さて、お前もここでこの少女を見て、学ぶといい」
「学ぶって?」
「いろんなモノを見て、何かを感じ取れ」
そう言われても、ぴんとこなかった。何かを学べと言われても、何かを感じ取れと言われても、この可哀想な子を見てどうすれば良いのだろうか。
「感じ取る……ね」
『お…腹……空い、た……』
何も発しなかった少女がいきなり今にも死にそうな、消えそうな声でそう言った。
少女の目の前に僕達はいる。けど、その少女は記憶の住人で僕達は見えないのだ。
でも、誰もいないことを知ってながらも少女は助けを求めた。
『誰、か……助け……て……』
「ねぇ、ツバサ。この子助けられないの?」
お腹空いた、助けて、それは僕だってそうだった。いつも空腹感に襲われたし、心の奥底で助けてほしいと何度も思ったことか。
「無理だ。記憶の中に僕達はいるのだぞ?これは持ち主の記憶であり経験だ。もう過去の事、過去を変えるなど不可能なことだ」
「そうだよね………」
少しだけ残念がる様に言うと、ツバサは腕組みをしながら喋りだした。
「…………いらない記憶というものは、脳がいらないと判断したのと同様と言ったが。正確に言うと違う」
「へ?」
「いらない記憶は、本人が心からいらないと思ったモノなんだ」
「本人が………?」
目を見開きながら、ツバサの方へと向いた。先程と変わらない表情で突っ立っている。
「心からいらないと本人が思った、願った記憶はいらない記憶へと分担される。忘れ去られた記憶は本人が知らずのうちに忘れているものだからな。まぁ要は正当防衛、自分を守る為の行動だな」
「…なら、いらない記憶には幸が多いのなんて存在しないんじゃない?」
「いやもしも……だが、幸せな子が、その幸せが一瞬で崩れ去ったら、その子はどうなると思う?」
「幸せな子は、幸せだったから、いきなりきた不幸に精神が耐えられない…?」
「ご名等だ。その子はまだ普通の子で、そこから大きな不幸が来たら、人によって違うかもしれないが、まだ耐えられる」
ツバサの言っていることが、あまりよくわかってなかった。
ちゃんと聞けばわかるだろうが、今の僕には少女を助ける方法はないかと思い、そんな余裕なんてないからだ。
「簡単に例えると水車を考えてみろ。水車は水の量を一定に保っている。だがもしも、いきなり一定数を超えたら、水車は壊れてしまう。だから、慣れさせとくのが肝心だな」
「それじゃあ、僕に記憶の体験をしてもらうってそういうこと?」
「まぁ、そうだ。水車も水車で徐々に慣れさせていけば、水の量が多くても壊れないからな。お前も壊れないようにって事だ」
わかりやすく例えてくれたせいか、何となくだがわかってきた。
ツバサはもしかしたら、てれ恥ずかしいだけでほんとう優しいのかもしれない。
『ね、ぇ………助け、て…』
少女はいつの間にか、近くを通りかかった女の人の足を掴んでいた。
その力は弱々しく、誰でも簡単に振り払えるものだろう。だが、その女の人は違った。
「あら、大丈夫?……って、大丈夫な訳ないわよね。家にいらっしゃい」
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