人魚は僕に笑顔を運ぶ

夢葵佳/yukika

文字の大きさ
2 / 5

好きな理由が知りたい

しおりを挟む
自称元人魚-アクリちゃんと
暮らすようになって数日が経った。

「そういえば君は
 僕のどこを好きになったの?」

僕はなんとなく聞いてみた。

アクリちゃんは僕に彼女がいるから
引き下がってくれた。

でもその彼女がもういないと知ったら
諦めずに猛アタックしてくるだろう。

正直、僕は姫華以外を愛する気はない。

だからなるべく嫌いになってほしい。

「優しい所かな…」

「ほら結構前に虐められていた
 亀を助けた事あったよね?」

「その亀、私の友達でさ、
 聞いたんだよね~」

「あー…確かにそんな事あったね~」

でも確かのその後って…

もしかして知らない?

よし、ならその後の事を話そう。

これで幻滅するはずだ。

「実はその後、逆に虐められたんだよね」

「知ってる」

「…ふあっ!?」

知ってるの!?嘘だろ!?

「何で知ってて好きになったの…?」

「それは…」


ゴーンゴーン…


「…あ、もうこんな時間!
 今から晩御飯作るね」

「わーい!私、真琴くん料理大好き!」

「ふふっ、ありがとう!」

僕は冷蔵庫を開けた。

しかし冷蔵庫には
ほとんど食材が残ってなかった。

しまった…買い出し行くの忘れてた…

「買い出し行ってくるね」

僕は財布とエコバッグを
入れた鞄を持って玄関に向かった。

「私も手伝う!」

「え…いいよ、一人で。
 二人ぶんだからそんなに多くないし」

「い~や~だ!手伝いたい~!」

アクリちゃんは玄関前で駄々をこねた。

「…わかったよ」

僕はアクリちゃんと一緒にお店に向かい、
晩御飯に必要な食材と
アクリちゃんが欲しがった
お菓子をいくつか買ってあげた。

アクリちゃんて、もしかして子供…?

「ニャー…」

「「ん?」」

その帰り道、僕達は
木から降りれなくなった猫を見かけた。

僕は持っていたエコバッグをその場に置き、
慌てて木に登って猫の元に向かい、
震えている猫を捕まえた。






そこまでは良かったんだけど
下を見た途端、僕はある事を思い出す。





自分が





高い所が苦手である事に。




「どうしよう…動けない…」



どうして僕はいつもこうなんだろう。

困ってる人や動物がいたら
後先考えずに行動してしまい、
いつも失敗してしまう。

そして毎回、
姫華にフォローしてもらっていた。

…だけどそんな姫華はもういない。

自分一人でなんとかしなくてはいけない。

でも怖くて動けない…



「真琴くん!今助けるよ!」


「ア…アクリちゃ…」

僕はアクリちゃんがいる下を見た。

「え?」

そこには丸太を抱えた
アクリちゃんがいた。

僕も猫も
鳩が豆鉄砲を食らったような顔していた。

え?なんで丸太持ってるの?

その丸太で何する気なの??

そんな事を考えていると
アクリちゃんは丸太を木に叩き付けた。

何度も何度も

え!?まさか落として助けるつもり!?

危ないし何でそんな助けかたしか
思いつかなかっ…

「うわっ!」

僕は猫を掴んだまま落下し、
アクリちゃんはそんな僕達を
スライディングキャッチで受け止めた。

アクリちゃんはドヤ顔を決めていた。

「何ドヤってるの…」

「いや、つい…思った以上に
 上手くキャッチ出来たから…」

確かにナイスキャッチだったけどさ…

「アクリちゃん、危ないでしょ」

僕は掴んでいた猫を放し、
アクリちゃんに注意した。

「アハハ…ごめんね~、
 私、木登りした事ないし、
 早く助けなきゃって思って
 プチパニック状態になって…」

「そしたら近くにあった丸太に
 視界に入ってこれでいける!
 って思っちゃってさ」

「途中で冷静になったけど…」

「もう…でも、ありがとう」

「どういたしまして」

僕はエコバッグを拾い、
二人で家に帰った。

「ねえ」

「ん?」

「どうしてアクリちゃんは
 僕の情けない所を知ってるのに
 どうして僕の事が好きなの?」

僕は歩きながら
さっきの話しの続きをした。

「え…」

「僕は確かに優しいかもしれない…」

「でも助けようとして後先考えずに
 行動して失敗しちゃうんだよ…」

「さっきみたいに」

「情けないでしょ…」

「私は情けないとは思わないよ」

「…え?」

「だって真っ先に助けたようとするなんて
 凄く素敵な人だと思うし!」

ー情けない?何言ってるの?

ーこれはあなたの良さじゃない

「それに後先考えずに
 行動するのは私もよくやるから」

「だからもし、失敗して真琴くんが
 ピンチになったら私が助けるよ!」

ー困ったら私が助けてあげるわよ

「やり方は強引になるかもしれないけど…」

「だから自分の事を
 情けないなんて言わないで」

ーだから自分を否定しないで

「そのままの優しい君でいてね」

ー私が支えるから

「…っ、ありがとう…」

僕は泣きそうになった。

アクリちゃんが姫華と
似たような事を言ったから…

アクリちゃんが姫華が重なって見えて…

泣いちゃダメだ…

泣いたって姫華にはもう会えない…

僕が泣いたら天国の姫華が悲しむから…

ふわっ

「え…」

アクリちゃんは優しく僕を抱き締めた。

「大丈夫だよ」

「泣いてもいいんだよ」

「悲しい気持ちは閉じ込めないで」

「悲しい時は泣いちゃえばいいんだよ」

「泣いてる姿を見られたくないなら
 私が隠してあげるから」

「思い切り泣いて」

「そしたらきっと次は幸せに
 笑えるようになってるはずたから」

「…っ」

アクリちゃんにそう言われ、
僕の目からポロポロと涙が溢れた。

僕は姫華を悲しませたくなくて
姫華のぶんも笑顔で生きたかった。

だから悲しみを押し殺そうと思っていた。





でも…



「う…」



心は


「わあぁぁぁぁ…っ」



ずっと苦しかったんだ。


僕はアクリちゃんに思い切り泣き付いた。

アクリちゃんはそんな僕を優しく撫でた。

ありがとう…アクリちゃん…

そして姫華、ごめんね…

でも次は無理をしないから。

ちゃんと君のぶんも
幸せに笑って生きるから。

そのために今だけは泣く事を許して







💧To be continued…💧





しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

愛人を選んだ夫を捨てたら、元婚約者の公爵に捕まりました

由香
恋愛
伯爵夫人リュシエンヌは、夫が公然と愛人を囲う結婚生活を送っていた。 尽くしても感謝されず、妻としての役割だけを求められる日々。 けれど彼女は、泣きわめくことも縋ることもなく、静かに離婚を選ぶ。 そうして“捨てられた妻”になったはずの彼女の前に現れたのは、かつて婚約していた元婚約者――冷静沈着で有能な公爵セドリックだった。 再会とともに始まるのは、彼女の価値を正しく理解し、決して手放さない男による溺愛の日々。 一方、彼女を失った元夫は、妻が担っていたすべてを失い、社会的にも転落していく。 “尽くすだけの妻”から、“選ばれ、守られる女性”へ。 静かに離婚しただけなのに、 なぜか元婚約者の公爵に捕まりました。

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

バッドエンド予定の悪役令嬢が溺愛ルートを選んでみたら、お兄様に愛されすぎて脇役から主役になりました

美咲アリス
恋愛
目が覚めたら公爵令嬢だった!?貴族に生まれ変わったのはいいけれど、美形兄に殺されるバッドエンドの悪役令嬢なんて絶対困る!!死にたくないなら冷酷非道な兄のヴィクトルと仲良くしなきゃいけないのにヴィクトルは氷のように冷たい男で⋯⋯。「どうしたらいいの?」果たして私の運命は?

王妃そっちのけの王様は二人目の側室を娶る

家紋武範
恋愛
王妃は自分の人生を憂いていた。国王が王子の時代、彼が六歳、自分は五歳で婚約したものの、顔合わせする度に喧嘩。 しかし王妃はひそかに彼を愛していたのだ。 仲が最悪のまま二人は結婚し、結婚生活が始まるが当然国王は王妃の部屋に来ることはない。 そればかりか国王は側室を持ち、さらに二人目の側室を王宮に迎え入れたのだった。

完結 辺境伯様に嫁いで半年、完全に忘れられているようです   

ヴァンドール
恋愛
実家でも忘れられた存在で 嫁いだ辺境伯様にも離れに追いやられ、それすら 忘れ去られて早、半年が過ぎました。

冤罪で辺境に幽閉された第4王子

satomi
恋愛
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。 「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。 辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。

夫と息子に邪険にされたので王太子妃の座を譲ります~死に戻ってから溺愛されても今更遅い

青の雀
恋愛
夫婦喧嘩の末に置き去りにされた妻は、旦那が若い愛人とイチャついている間に盗賊に襲われ、命を落とした。 神様の温情により、10日間だけこの世に戻った妻と護衛の騎士は、その10日間の間に心残りを処分する。それは、娘の行く末と……もし、来世があるならば、今度は政略といえども夫以外の人の妻になるということ。 もう二度と夫と出会いたくない彼女は、彼女を蔑ろにしてきた息子とも縁を切ることを決意する。 生まれかわった妻は、新しい人生を強く生きることを決意。 過去世と同じ轍を踏みたくない……

処理中です...