人魚は僕に笑顔を運ぶ

夢葵佳/yukika

文字の大きさ
5 / 5

もう失いたくない・後編

しおりを挟む
「はあはあっ…」

僕はあれから街中を
走り回ってアクリちゃんを探した。

だけど見つからなかった…。

もしかしてもう…

そんな事を考えて僕は首を横に振った。

大丈夫…きっとまだ間に合う…

僕は自分にそう言い聞かせた。

だけどもう時間はない…

僕は時計を見て時間を確認した。

僕とアクリちゃんが
出会った時間まであと三十分。

時間に余裕があるように見えるが、
薬を飲んだ後にしばらく
僕を探した事を考えれば、
やはり時間はあまり残されていない。

「あと探してないのは海辺だよね…」

お願い!間に合って!

そう願いながら僕は
急いで海辺に向かった。

「はあ…はあ…」

海辺に辿り着いた僕は
その周辺を探した。

そして海を眺めながら
少しづつ足元から消えていく
アクリちゃんを見つけた。

「アクリちゃん!」

「…っ!?真琴くん、どうして…?」

振り返って驚くアクリちゃんを
強く抱きしめた。そして…

「好きだよ…」

「え?」

「僕はアクリちゃんが好き」

「え…何言ってるの…?
 真琴くんには…彼女が…」

アクリちゃんは困惑していた。

「アクリちゃん、知ってるんでしょ?
 もうその彼女が亡くなっているって」

「なんで…」

「部屋に日記が忘れてあったから
 見ちゃったんだ…ごめんね」

「そ…うなんだ…」

「でも良かったよ、
 だって知らないままだったら
 僕は二度も大切な人を
 失う事になってたんだから…」

「え…本当に私の事が好きなの…?
 彼女さんの事は…?」

「もちろん、姫華の事も好きだよ…
 でも君の事も好きなんだ…
 だから失いたくない。
 僕と付き合ってくれますか?」

「もちろん…」

アクリちゃんは
涙を流しながら微笑んだ。

消えかかっていたアクリちゃん体が
少しづつ元に戻っていく。

「月が綺麗ですね」

僕はふと空を見上げ、
夜空の月を眺めながらそう言うと、

「私にとって月はずっと綺麗でしたよ」

アクリちゃんはそう返した。

僕らは微笑みながら
お互いを見つめ合い、そして…

海に反射して輝く光の元で
キスを交わしたのだった。







*Happy End*





しおりを挟む
感想 0

この作品の感想を投稿する

あなたにおすすめの小説

愛人を選んだ夫を捨てたら、元婚約者の公爵に捕まりました

由香
恋愛
伯爵夫人リュシエンヌは、夫が公然と愛人を囲う結婚生活を送っていた。 尽くしても感謝されず、妻としての役割だけを求められる日々。 けれど彼女は、泣きわめくことも縋ることもなく、静かに離婚を選ぶ。 そうして“捨てられた妻”になったはずの彼女の前に現れたのは、かつて婚約していた元婚約者――冷静沈着で有能な公爵セドリックだった。 再会とともに始まるのは、彼女の価値を正しく理解し、決して手放さない男による溺愛の日々。 一方、彼女を失った元夫は、妻が担っていたすべてを失い、社会的にも転落していく。 “尽くすだけの妻”から、“選ばれ、守られる女性”へ。 静かに離婚しただけなのに、 なぜか元婚約者の公爵に捕まりました。

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

バッドエンド予定の悪役令嬢が溺愛ルートを選んでみたら、お兄様に愛されすぎて脇役から主役になりました

美咲アリス
恋愛
目が覚めたら公爵令嬢だった!?貴族に生まれ変わったのはいいけれど、美形兄に殺されるバッドエンドの悪役令嬢なんて絶対困る!!死にたくないなら冷酷非道な兄のヴィクトルと仲良くしなきゃいけないのにヴィクトルは氷のように冷たい男で⋯⋯。「どうしたらいいの?」果たして私の運命は?

王妃そっちのけの王様は二人目の側室を娶る

家紋武範
恋愛
王妃は自分の人生を憂いていた。国王が王子の時代、彼が六歳、自分は五歳で婚約したものの、顔合わせする度に喧嘩。 しかし王妃はひそかに彼を愛していたのだ。 仲が最悪のまま二人は結婚し、結婚生活が始まるが当然国王は王妃の部屋に来ることはない。 そればかりか国王は側室を持ち、さらに二人目の側室を王宮に迎え入れたのだった。

完結 辺境伯様に嫁いで半年、完全に忘れられているようです   

ヴァンドール
恋愛
実家でも忘れられた存在で 嫁いだ辺境伯様にも離れに追いやられ、それすら 忘れ去られて早、半年が過ぎました。

冤罪で辺境に幽閉された第4王子

satomi
恋愛
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。 「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。 辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。

愛された側妃と、愛されなかった正妃

編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。 夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。 連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。 正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。 ※カクヨムさんにも掲載中 ※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります ※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。

処理中です...