人魚は愛する人の笑顔を夢見る

夢葵佳/yukika

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優しい君が好き

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真琴くんと同居してから数日が経った。

真琴くんが少しだけ笑顔を取り戻した。

だけどまだまだだ。

どうしたらいいんだろう…

真琴くんの笑顔を取り戻しかったけど
人間になって真琴くんに
近付いた後の事を考えていなかったから…

「そういえば君は
 僕のどこを好きになったの?」

「え…」

真琴くんにそんな事を聞かれた。

好きな所か…

「優しい所かな…」

「ほら結構前に虐められていた
 亀を助けた事あったよね?」

「その亀、私の友達でさ、
 聞いたんだよね~」

「あー…確かにそんな事あったね~」

真琴くんはそう言った後、
少し何かを考え再び口を開いた。

「…実はその後、逆に虐められたんだよね」

「知ってる」

「…ふあっ!?」

真琴くんは驚いていた。

え、なんで驚いてるの…?

「何で知ってて好きになったの…?」

「それは…」


ゴーンゴーン…


「…あ、もうこんな時間!
 今から晩御飯作るね!」

「わーい!私、真琴くん料理大好き!」

「ふふっ、ありがとう!」

真琴くんは冷蔵庫を開けた。

しかし冷蔵庫には
ほとんど食材が残ってなかったらしく、
買い物に行くために
真琴くんは財布とエコバッグを
入れた鞄を持って玄関に向かった。

「私も手伝う!」

「え…いいよ、一人で。
 二人ぶんだからそんなに多くないし」

「い~や~だ!手伝いたい~!」

なるべく真琴くんと一緒にいたかった
私はそんなわがままを言った。

「…わかったよ」

真琴くんはしぶしぶ私を
買い物に連れて行き、
晩御飯に必要な食材と
私が欲しがったお菓子をいくつか買った。

人間のお菓子って美味しいよね~

「ニャー…」

「「ん?」」

その帰り道、私達は
木から降りれなくなった猫を見かけた。

真琴くんは持っていた
エコバッグをその場に置き、
慌てて木に登って猫の元に向かい、
震えている猫を捕まえた。

だけど真琴くんは
その場から動かなくなった。

どうしたんだろう…?

なんか顔色悪そうだし、
震えて…あっ、もしかして高所恐怖症!?

どうしよう…助けなきゃ…

えっと…えっと…

私はキョロキョロを見渡した。

そこには丸太が落ちていた。

プチパニックになっていた私はそれを見て何故かいける!と思ってしまった。

「真琴くん!今助けるよ!」

私は丸太を抱え、
それをを木に叩き付けた。

何度も何度も。

途中で私は何やってるんだろうかって
思ったけど私はそのまま叩き付けた。

「うわっ!」

真琴くんは猫を掴んだまま落下した。

私はそんな真琴くん達を受け止めた。

思った以上に上手く受け止められた私は
無意識のうちにドヤ顔を決めていらしく、
真琴くんにツッコまれた。

「アクリちゃん、危ないでしょ」

真琴くんは掴んでいた猫を放し、
私に注意した。

「アハハ…ごめんね~、
 私、木登りした事ないし、
 早く助けなきゃって思って
 プチパニック状態になって…」

「そしたら近くにあった丸太に
 視界に入ってこれでいける!
 って思っちゃってさ」

「途中で冷静になったけど…」

「もう…でも、ありがとう」

「どういたしまして」

真琴くんはエコバッグを拾い、
私達で家に帰った。

「ねえ」

「ん?」

「どうしてアクリちゃんは
 僕の情けない所を知ってるのに
 どうして僕の事が好きなの?」

「え…」

「僕は確かに優しいかもしれない…」

「でも助けようとして後先考えずに
 行動して失敗しちゃうんだよ…」

「さっきみたいに」

「情けないでしょ…」

「私は情けないとは思わないよ」

「…え?」

「だって真っ先に助けたようとするなんて
 凄く素敵な人だと思うし!」

「それに後先考えずに
 行動するのは私もよくやるから…」

「だからもし、失敗して真琴くんが
 ピンチになったら私が助けるよ!」

「やり方は強引になるかもしれないけど…」

「だから自分の事を
 情けないなんて言わないで」

「そのままの優しい君でいてね」

私は真琴くんにそう伝えた。

「…っ、ありがとう…」

真琴くんは泣きそうになっていた。

どうしたんだろう…

あっ、もしかして姫華ちゃんの事を
思い出しちゃったのかな…

ふわっ

「え…」

私は優しく真琴くんを抱き締めた。

「大丈夫だよ」

「泣いてもいいんだよ」

「悲しい気持ちは閉じ込めないで」

「悲しい時は泣いちゃえばいいんだよ」

「泣いてる姿を見られたくないなら
 私が隠してあげるから」

「思い切り泣いて」

「そしたらきっと次は幸せに
 笑えるようになってるはずたから」

「…っ」

真琴くんの目からポロポロと涙が溢れ、
そのまま私に思い切り泣き付いた。

私はそんな真琴くんを優しく撫でた。

これで君の笑顔をもう少し取り戻せたかな…

真琴くん、無理をしないでね。

君が笑顔になるまで支えるから。





💧To be continued…💧





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