上 下
5 / 5

最期の思い出作り

しおりを挟む
真琴くんと
暮らすようになってから
もうすぐ3ヶ月になる。

真琴くんはあれから
すっかり笑顔を取り戻していた。

正直、思い残す事なんてなかったけど
折角だし、最期の思い出作りしようかな…

私は最期の思い出作りをするため、
私が消える前日に行われる夏祭りに
真琴くんを誘って行くことにした。

そしてその当日…

「真琴くん!これ、似合う?」

私は浴衣を身に纏い、
くるりと真琴くんの前で一回転した。

「うん、似合ってるよ」

「本当!?嬉しい~♪」

私は跳び跳ねて喜んだ。

「そうだ!真琴くん、これプレゼント!」

私は男性用の浴衣を真琴くんに渡した。

これは浴衣デートみたいな事がしたくて
こっそり用意していたものだ。

まあ、付き合う気は無いけど…

最期くらい良いよね…?

「え…これ、どうしたの?」

「実は自分の買うときに
 こっそり一緒に買ったんだ~♪」

「真琴くん、浴衣は
 子供の時以来だって言ってたから」

「ありがとう」

真琴くんは早速浴衣に着替えた。

「どうかな?」

浴衣を見た時から似合うと思っていたけど
私の想像以上に似合っていた。

「うん、凄く似合ってるよ!」

「ふふっ、ありがとう」

そして私達は祭りが
行われる会場に向かった。

「わ~!いろんなお店がある~!」

私は周りを見渡して
楽しそうにぴょんぴょんと跳び跳ねた。

「ねえ!あっち行ってみようよ!」

「アクリちゃん、待って!」

真琴くんは私の手を握った。

「あ、ごめん…」

結構、人いるのに走っていったら
はぐれちゃうよね…

危ない…危ない…

「手を繋いでいこう?」

「うん…」

私達はいろんな屋台を回り、
ほぼ全ての屋台を制覇した。

それにしても射的全部命中って
真琴くん凄いな~…

「そろそろ帰ろっか」

「そうだね、あっ!」

私はあるものを見つけて走り出した。

「おじさん、これくださ~い!」

私はそれを購入した。
 
「どうしたの?」

「真琴くん、今までありがとう!
 これお礼のプレゼント!」

私は真琴くんにハンカチを渡した。

「え、あ…ありがとう…」

真琴くんは少し困惑していた。

「じゃあ、帰ろっか!」

「うん、そうだね!」

僕達は家に帰った。

その後、私はこっそり部屋の
片付けを始めた。

見送りの時に
行き先とか聞かれたら困るから。

「これでいいよね…」

私は鞄に荷物を全て詰め込んだ。

正直、消えるだけだから
荷物なんていらないけど、
持っていかないと怪しまれるし…。

そして私は手紙を書いて
それを机に置き、部屋を出た。















この時の私は気付かなかった…















荷物を全ての鞄に詰め込んだと思っていた…















だけど私は大切なものを入れ忘れていた…



 











幼い頃から書き続けていた日記を…












💧end💧






しおりを挟む

この作品の感想を投稿する


処理中です...