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season 2
02
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「よろしくお願いしまぁす!」
「よろしくお願いします」
1人目は、明るい雰囲気の女の人。
名前は岡田 真紀さん。大学2年生。
来年から就活が始まるから、それまでのバイトさん。
「どうしてここのお店に応募してくださったんですか?」
「えっとぉ、それはぁ…」
「………」
うーん…間延びしてる声がどうも苦手だな…て思っちゃダメなのはわかってるけど…苦手だな…。
そして多分、この人…。
「店長さんがかっこいいからです!」
「…えーっと」
ほらぁ!確実に京輔さん狙い!
数日前に3人ほど面接したんだけど、そのうちの2人が女性で、2人とも京輔さん狙いだった。
でもその2人はそう言う感情は出さないように必死で、でも目は狙ってますって目をしてて。
京輔さんもそれに気づいて不採用にしたんだけど。
今回もかぁ…こう、なんでこういう女性ばっかり来るのかなぁ…。
「えっとですね、ここのお店はそう言う感情を持つ方の採用はしていません」
「えぇー」
「それに、僕は結婚してますので」
「それでもぉ、奥さんにバレなければ大丈夫じゃないですかぁ?」
「………」
うん…その奥さんが隣にいるんですよね…。
あれですか、私は目に入っていませんか、そうですか、わかりました。
「あの」
「え?え、誰?」
「(誰って…!)初めまして、ここのお店の従業員の荻原 梨恵と申します」
「え…、?」
「この人の、妻です」
「っ!!」
なにその、「なんでいるの!」的な驚きよう。
いや、最初からいましたが?!
この人、ほんとに私より年上なんだろうか…?
「旦那に色目をお使いになりたいようですが、それを抜きにしてここのお店で働きたいとお思いですか?」
「っ、それは」
「では、本当にこの人目当てだけでご応募いただいたのですか?」
「っ…、」
「…店長」
「うん。申し訳ないけど、そういう方はお引き取り願ってるので、今日は無かったことにさせて下さい」
「…はい」
「ご応募、ありがとうございました」
「…失礼しましたぁ」
意気消沈して帰っていく岡田さん。
ほんと、嫌んなるわ…というか、京輔さん、前よりモテてない?なんで?
「はぁー…」
「はぁー…」
2人して同時にため息が出た。
そりゃため息も出るよ。なんなのよ、ほんと。
「ねぇ、京輔さん…」
「なぁに?」
「京輔さん、最近モテすぎじゃない?」
「え…?嫉妬?嫉妬してくれてる?!」
「いや、そう言う話じゃなくて…」
「やばい嬉しい!梨恵からの嫉妬…やばい梨恵大好き!」
「…はいはい」
こう、ギャップがすごいのよ、京輔さん。
他人と話してる時と私と話してる時の温度差っていうの?
他人と話してる時はビジネスモードになってて、私と話してる時はずっと甘えてる感じで。
ほんともぉー…どれだけ私のこと好きなのよ…嬉しいけど!
そりゃ、私だって嫉妬するよ。
モテる人が旦那さんで誇らしいとも思うけど、それと同時に嫉妬もする。
あと、少し不安になる。
年齢的にも精神的にも、私はまだまだ子供だし、そんな私にいつか飽きて大人な女性に行っちゃうんじゃないかとか思わなくもないし…。
「梨恵ー好きほんと好き大好き結婚してよかったぁ…ふふっ、ずっと大好き」
「うん…ありがとう…、」
あー恥ずかしい!
てか、正行さんも悦子さんもそんな影から見守らないで!助けて!!
結局、1人目の採用はなかった。
さて、次の面接の人!
15分後、2人目の面接の人がきた。
「初めまして、よろしくお願いします」
「よろしくお願いします」
今度の人は誠実そうな男性。
名前は、坂本 慎平さん。年は21歳で専門学校に通ってるらしい。
ここの面接の前に、飲食店で5年間働いてたとのこと。
「どうしてこのお店で働きたいと思ったんですか?」
「将来、自分の店を持ちたいと思ってるんです」
「はい」
「それで、たまたまここのお店の前を通った時に、僕の理想そのもののお店だったので、働いてみたいと思い、応募させていただきました」
「そうですか」
かなりの好印象だな。
数日前に面接した残りの1人は男性で、悪くはなかったんだけどどこか女性を軽視してる節があった。
その時も、京輔さんと一緒に私もいたんだけど、私が質問するとちょっと小馬鹿にしたような反応で、返しも舐めてるような返しだった。
いや、うん。多分、私が若いのもいけないんだと思うけど。その人30代半ばで、とても自分に自信があるような人だったから。
勿論、今回はごめんなさいした。
「将来、お店を持ちたいとのことですが、今はどういったことを学んでるんですか?」
「調理師の学校に通っています」
「はい」
「そこで、全ての料理について学んだり、実際に作ったりしてます」
「すごいですね」
「そうでもないです。わからないこともあるし、出来ないこともありますから」
「…ここに来る前は、5年ほど飲食店で働いてたんですよね?」
「はい」
「なぜ辞めたのでしょうか?」
「…あまり良い印象を持たれないかと思いますが…下っ端扱いのまま、自分がやりたかったことが出来なくて、そんな中次のところを探してたら、こちらのお店を見つけました」
「そうなんですね。じゃあ、もしここで働けるとしたら、メニュー提案とかしたいのですが、助けていただけますか?」
「もちろんです!」
「わかりました。ありがとうございます」
そうして、面接は終わった。
うん、かなり好印象だと思う。
今までで、1番真面目に受け答えしてくれたし、何より調理師学校に通ってるのもポイントが高い。
将来、自分のお店を持ちたいと思ってるから、きっと長くは働いてもらいないかもしれないけど、でもその夢に少しでも手助けできるなら、働いてもらいたい。
「だよね。うん、彼にしようか」
「これでやっと1人だね」
「そうだね…はぁ…やっと1人か…。出来ればホールの子も採用したかったなぁ…」
「まだ募集かけてるから、大丈夫だと思うよ?」
「そうだね。あぁー…梨恵ー…ぎゅってしてー」
「ふふ。はいはい」
面接は、される方もする方も緊張するし、責任感もある。
だから気が張るんだよね。
毎回ではないけど、京輔さんはこうやって甘えてくることが多い。嬉しいからいいけど。
それから数日後、坂本さんに採用の連絡したら、とても喜んでいたらしい。
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