14 / 26
season 2
06
しおりを挟む◇◆◇
そして、次の休みの日。
久しぶりに京輔さんとデートです。
朝一緒に起きて、朝ごはん食べて、少しゆっくりしてから出かける準備。
今日は電車移動だから、京輔さんも少しはゆっくり出来るかな?
「準備終わった?」
「うん」
「はぅっ…!!」
「え?京輔さん?」
「かわいい…ほんとかわいい好き。かわいいかわいすぎて外歩きたくない。閉じ込めたい。大好き」
「わかったから!早く行こう!」
もうっ!ほんと!もうっ!!!!
外に出て、勿論手を繋いで歩く。
最寄りの駅まではバスで行くから、バス停までゆっくり歩いて、その間も京輔さんはずっと「かわいい大好き」を連呼してた。
「梨恵、こっちきて」
「あ、うん」
最寄りの駅に着いて、電車に乗ったら世間も休日なだけあって、お昼の時間帯だけど電車の中は人だらけ。
出入り口付近に立って、他の人に押されないように京輔さんが守ってくれて、それだけできゅんとくる。かっこいい。
「苦しくない?大丈夫?」
「うん」
「流石、休日だね」
「そうだね……、」
「…ん?どした?」
「ううん。なんでもない」
「そ?」
「うん」
きゅんて来ちゃって、なんだかもっと近づきたくなって京輔さんの上着をぎゅってしてた。
上を向いたら優しい目で私のこと見てて、それにさらにきゅんてした。ほんとにかっこよすぎる、京輔さん。
「映画の時間は…12:30があるからそれでいい?」
「うん。ちょうどよかったね?」
「だね」
映画館もすごい人。
最近話題の映画がやってて、それを観る人でごった返してた。
私が観たい映画は、昔上映してた映画のリメイクで、そこまで人は多くない。
だからスムーズに入ることが出来た。
「飲み物買ってくるね」って言って売店に向かった京輔さんを近くで待つことになって、パンフレット売ってるかな?と考えながら待ってたら、声をかけられて。
「あれ?神崎さん?」
「……?」
旧姓で呼ぶ人なんか私の周りにいなくて、最初私のことだとは気づかなかった。
声のする方を見たら、高校の同級生がそこにいた。
「あ…織田さん…」
「えー!久しぶりじゃん!!」
「あ、うん…」
「相変わらず1人で観に来たの?」
「ぁ…いや、」
織田さん。私が最も苦手な人。
高校の時は1年の時にクラスが一緒で、私と違って今の言葉で言うと陽キャな人。
馬が合わないと言うか、何と言うか…。
人のこと気にしないデリカシーが若干ない人。
本人は悪気があって言ってるわけじゃないらしく、周りからはそれがいいと言う人と、私みたいに苦手な人で別れてた。
「えー、寂しくない?1人って」
「いや…、」
「相変わらず暗いねー、神崎さんって」
「………」
どうしたものか…。
あー…京輔さん早く来てくれないかなぁ…。
ほんと、この子苦手なんだよなぁ…。
「梨恵?どした?」
「あ…京輔さん」
どう対応したものかと悩んでたら、飲み物を買い終わった京輔さんがきた。
よかった…すごく安心する。
「え、誰?」
「…?そちらこそ、どちらさんですか?」
「京輔さん、あの…えっと、高校の同級生…」
「へぇ。初めまして、妻がお世話になってます」
「妻…?」
「あ、うん。結婚、したの」
「…まじで?!うっそ!信じらんない!」
「………」
ですよねぇー。私も信じらんないです。
誰よりも男っ気がなかった私が誰よりも先に結婚するなんて。
「えー!旦那さんめっちゃイケメンじゃん!ずるーい!」
「………」
「えー、どこで出会ったんですかぁ?」
「………」
ほんと、この子デリカシーないなぁ…。
京輔さんもめちゃくちゃ苦笑いしてるじゃん…。
どうやって切り抜けようかなぁ。
「君には関係ないですよね?」
「え?」
「僕と梨恵が出会ったきっかけなんて」
「…は?」
「もう時間ないので、失礼しますね。梨恵、行こう?」
「あっ、うん。織田さん、バイバイ」
「え、ちょっと?!」
京輔さんすごい。簡単に切り抜けられた。
そしてまたきゅんってした。かっこいい…。
「京輔さん、ありがとう」
「全然?デートの邪魔されたくないし」
「ふふ。うん」
きゅんってしたのと同時に、京輔さんに限っては浮気とか絶対にないなって確信が持てた。
映画も観終わって、時間は14:45分。
お腹はポップコーン食べたからあまり空いてないし、夕飯までには時間がある。
だからやっぱりぷらぷらすることにした。
「あ、これかわいい」
「なに?」
「このブレスレット」
「あ、ほんとだかわいい。しかもペア!買お!」
「え?ちょ、ええ?!」
紐状で交互に縫い合わせてあって、結んである部分に赤と青の留め具がされてて、紐の色が黒と白。
シンプルで、ずっとつけていられそうなもので、京輔さんも気に入ったらしい。
「あ、梨恵梨恵」
「え?なに?」
「マフラーも売ってる。お揃いのやつ」
「ええ?」
「これも買おう!一緒に!」って言われて、それも手に取って会計に向かう京輔さんに呆気に取られながら着いていく。
こういう時の行動力、本当にすごい。
レジに行ったら店員さんに「カップルでいいですね~」とか言われてめちゃくちゃ恥ずかしかった。
京輔さんは「えへへ~」とか言いながら照れ笑いしてて、なんかちょっとムカッてなった。
「はい、腕出して」
「………」
「へへ。お揃い!」
「…うん」
なんか…うん。京輔さんが嬉しそうだからいいや。
その笑顔見れるだけでしあわせだから。
夕飯は、ハンバーグで有名なお店に行って、お互いに違うの注文して食べ比べして、「今度お店でもハンバーグ出してみるかぁ」とか、「昼にハンバーガー出してみる?」なんて話しながら、頭の中では結局お店のことばっかなんだよなぁ、私たちなんて思ったり。
楽しかったな、すごく。
0
あなたにおすすめの小説
繰り返す夜と嘘 〜【実録】既婚の僕と後輩の彼女、あの夜のキスから始まった13年の秘密〜
まさき
恋愛
結婚して半年の僕と、同じ職場の彼女。
出会った頃は、ただの先輩と新入社員だった。
互いに意識しながらも、
数年間、距離を保ち続けた。
ただ見つめるだけの関係。
けれど――
ある夏の夜。
納涼会の帰り道。
僕が彼女の手を握った瞬間、
すべてが変わった。
これは恋でも、友情でもない。
けれど理性では止められない、
名前のない関係。
13年続いた秘密。
誓約書。
そして、5年の沈黙。
これは――
実際にあった「夜」の記録。
【完結】退職を伝えたら、無愛想な上司に囲われました〜逃げられると思ったのが間違いでした〜
来栖れいな
恋愛
逃げたかったのは、
疲れきった日々と、叶うはずのない憧れ――のはずだった。
無愛想で冷静な上司・東條崇雅。
その背中に、ただ静かに憧れを抱きながら、
仕事の重圧と、自分の想いの行き場に限界を感じて、私は退職を申し出た。
けれど――
そこから、彼の態度は変わり始めた。
苦手な仕事から外され、
負担を減らされ、
静かに、けれど確実に囲い込まれていく私。
「辞めるのは認めない」
そんな言葉すらないのに、
無言の圧力と、不器用な優しさが、私を縛りつけていく。
これは愛?
それともただの執着?
じれじれと、甘く、不器用に。
二人の距離は、静かに、でも確かに近づいていく――。
無愛想な上司に、心ごと囲い込まれる、じれじれ溺愛・執着オフィスラブ。
※この物語はフィクションです。
登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。
雪の日に
藤谷 郁
恋愛
私には許嫁がいる。
親同士の約束で、生まれる前から決まっていた結婚相手。
大学卒業を控えた冬。
私は彼に会うため、雪の金沢へと旅立つ――
※作品の初出は2014年(平成26年)。鉄道・駅などの描写は当時のものです。
今さらやり直しは出来ません
mock
恋愛
3年付き合った斉藤翔平からプロポーズを受けれるかもと心弾ませた小泉彩だったが、当日仕事でどうしても行けないと断りのメールが入り意気消沈してしまう。
落胆しつつ帰る道中、送り主である彼が見知らぬ女性と歩く姿を目撃し、いてもたってもいられず後を追うと二人はさっきまで自身が待っていたホテルへと入っていく。
そんなある日、夢に出てきた高木健人との再会を果たした彩の運命は少しずつ変わっていき……
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる