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season 2
07
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京輔さんと久しぶりにしたデートは、思ってた以上に楽しかった。
まぁ…同級生に会ったのは予想外だったけど。その時の京輔さんかっこよかったから…うん。
それから、次の休みはお義母さんとお買い物に行った。
京輔さんは本当に車出して荷物持ちと化してた。
それからさらに数日。
いつものように楽しくお仕事してたら、呼んでもない人がやってきた。
「梨恵ちゃん!」
「え、はい?」
「梨恵ちゃんにお客さんなんだけど…」
「え?」
血相を変えた顔して悦子さんがバックヤードに入ってきて、私にお客さんだと。え、誰?
「梨恵にお客さん?」
「あ、京輔くん!そうなのよ!」
「どんな人?」
「女の人なんだけどね、キツイ言葉で「梨恵いないの?!」って言ってるのよ」
「……あー」
それ聞いただけで誰だかわかった。
多分…というか絶対に姉の茉莉絵だ。
いまさら何しにきたの…?
「梨恵」
「うん…?」
「俺も一緒に行く」
「…うん」
京輔さんと共にお店に出たら、いまだに怒鳴ってる声が聞こえてきた。
よくないけどよかったのは、お客さんがいないこと。
「…お姉ちゃん」
「梨恵!早く出てきなさいよね!」
「…何しにきたの?」
「何その態度!ムカつくわね!」
「………、」
いや、ムカつくのこっちなんだけど。
私たち、もう関係ないんだよ。あの時に終わったんだよ。本当にいまさらなんなの。
「で、何しにきたの?」
「あんたの旦那、私にくれない?」
「は…?」
「いいじゃない。あんたのものは私のものでしょ?」
「何言ってんの…?」
「友達に彼氏いるって言っちゃってさぁ、あんたの旦那かっこいいからちょうだいよ」
「っ………」
なんなんだ、こいつ…なんなんだこいつ!!
京輔さんはものじゃないし、あげるとかあげないとかじゃないし、そうやって人のもの奪おうとしないでよ…!!
「マジでうぜぇ…」
「っ…京輔さん?」
「あんたなんなの?さっきから」
「っ、あ…ちょうどいるじゃない!」
「…ほんと、信じらんねぇ」
「ねぇ、私にしない?私の方がっ…!」
「うるせぇんだよ、お前」
「っひ、!」
隣にいた京輔さんが、いつもと違う声でいつもと違う態度で姉に掴み掛かった。
姉は、その迫力に怖くなって足がガクガクしてる。
「梨恵がお前になにした?お前に迷惑かけたの?」
「ひっ、やめっ…」
「誰がお前みたいなやつに靡くかよ。ふざけんなよ、マジで」
「ごめっ、なさ…っ!」
「二度と梨恵に近づくなよ」
「はっ、ぃ…」
その後、姉は無理やり外に出されて、京輔さんが「悦子さん塩巻いといて!」って言ってそのまま私の手を掴んでバックヤードに引っ込んだ。
みんなが気を使ってか、バックヤードには私たちだけ。
「梨恵…ごめん…怖かったよね?ごめん」
「だい、じょうぶ…」
「ごめん…」
「京輔さん…大丈夫だから」
「うん…っ」
「ありがとう、かっこよかったよ」
「ほ、ほんと…?俺…怒ると口悪くなるし、血が上ると周り見えなくなるし…」
「大丈夫。大丈夫だから」
「うん…」
あんな京輔さん初めて見たけど、確かに怖いって一瞬思っちゃったけど、でもそれは私を守るための怒りであって、怖さはすぐになくなった。
私多分可笑しいんだ。
どんな京輔さんを見てもかっこいいって思うし、すごく愛おしいって思う。
「京輔さん」
「ん…?」
「大好きですよ」
「っ…!!梨恵ー!!」
「あははっ、くすぐったいよ」
「うぅーっ、好きちょー好き大好き愛してる!!」
「うん。私も』
怒ってても泣いてても笑っててもどんな京輔さんも大好きだし愛おしい。
ほんと、どれだけ私のこと虜にすればいいんだろう、この人は。
やっぱり私のしあわせは、京輔さんの隣にあるんだなって、再確認した。
それからの日々は平和。
平和すぎるぐらい平和。
多絵さんがお休みの日に1人息子の智慧(ちえ)くん連れできてくれたり、修司さんや坂本さんが彼女さん連れてきてくれたり、京輔さんのお兄さんが様子見に来てくれたり。
あと相変わらず朝限定の常連の雄三さんとまったりしたりしたりして、いつも通りの日常。
「今日あったかいねぇ」
「そうだね」
「お花見したいねぇ」
「お弁当作って今度行こうか?」
「いいねぇ。サンドイッチがいいなぁ」
「京輔さんの好きなのいっぱい作ろうね」
「梨恵の好きなのもね?」
「うん」
「梨恵大好きだよ?」
「ふふ。私も大好きだよ?」
「くぅっ…!かわいい!何その首こてんってして言うの!狙ってる!?狙ってるよね?!」
「あはは、なにそれ」
「はぅっ!梨恵かわいすぎてダメ!その笑顔俺以外に見せちゃダメだからね?!」
「はいはい」
家のベランダに置いてるベンチに2人で腰掛けて日向ぼっこ。
気づいたら季節は春になってた。
もうそろそろ結婚して3年目。
私たちは、いまだに仲良しだし、いまだに好き同士で、こらからもずっとそうでありたいと思います。
END
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