35 / 79
07 - 一学年 三学期 春 バレンタイン篇 -
02
しおりを挟む◇◆◇
ホームルームも終わって、大倉と帰る準備中。
珍しく、放課後に大倉が呼び出された。そう、告白だ。
前に、真琴につらくないのかって聞かれた時は、つらくないと答えたけど、今は少しだけつらい。
モテるから仕方ないけど、やっぱ…こう頻繁に呼び出されるのは正直きつい。
仕方ない事だけど…付き合ってるのは俺なのになぁ…とか思っちゃう。
まぁ…付き合ってる事言えないから仕方ないけど。けどやっぱ、つらいな。
「…はぁ」
「すぐ戻るから、待ってて」と言われて、教室で待ってる。
自分の席に座って、外を眺めると、空は春らしい空になってた。
日差しも暖かそうで、お昼は外でご飯食べたりしたら気持ちいいだろうなぁ…なんて。
そう言えば、もうすぐでバレンタインデーだ。
ああ…きっと大倉はいっぱいチョコレート貰うんだろうな。
俺は…あげた方が良いんだろうか。てか、俺から貰っても嬉しいものなのだろうか。それよりも、大倉は甘い物は好きなんだろうか?聞いた事なかったな。
あげるなら、手作りが良いのかな?でも俺、料理なんかした事ないし。
かと言って、お店で買うとなると、きっと他の女の子たちと同じような物になっちゃうし。
「んー…」
もう、直接聞いちゃった方が早いのかな。
でもそれじゃ、あげます!って言ってるようなものだし。
めちゃくちゃ悩む。こんなの初めてだから、どうしたら良いのか分からない。
「んー…」
「ただいま」
「っ!あ、お、おかえり」
「どしたん?」
「いやっ!なんでもない!」
「そ?」
「うん。帰ろ!」
「うん」
結果は聞かないようにしてる。
大倉も聞かれたくないだろうし、俺も聞いたくないし。
それに、結果は一応想像つくし。
「で、何考えてたん?」
「え?!」
「さっき」
「いや…別に」
「別にな顔して唸ってなかったやん」
「ぅ、」
聞いた方が早いかな、とも思ったけど、どうやって聞くよ?
「バレンタインなに欲しい?」って聞く?それとも「チョコっているの?」とか?いやいや、そんな聞き方したら気分悪くさせちゃうだろ。
「こーう」
「……もうすぐ、」
「うん?」
「…もうすぐ、バレンタインデー、じゃん」
「あー…もうそんな時期か」
「あの…大倉は、甘い物、好き?」
「んー。嫌いではないけど、好んでは食べへんかなぁ」
「そっ、か」
ん?んん??
『嫌いではないけど好んで食べない』って、それはもう嫌いなのでは?
ま、まぁいいか。でも結局、好きなのか嫌いなのか分からずじまいだな。いや、多分嫌い寄りではあるんだろうけど。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
8
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる