アネモネ

ぱる@あいけん風ねこ

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09 - 二学年 一学期 夏 -

07

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◇◆◇




「んっ…、は……、まっ、て」
「はぁ…っ、航…こう…、」
「ま、てっ、て…ちょ…」 
「ん、は…っ、」
「ん、ぅ…っ、ぉ、ぼれるっ!」
「ぁうっ、!」
「はぁ、はぁ…はぁっ、あほ!」
「…こう?」
「がっつきすぎ!溺れるわ!」
「…だって、」




無言のまま教室を出て、でも大倉にずっと腕掴まれたままで、そのまま俺の家に来た。
母さんはちょうど 買い物に行ってるらしく、家には誰も居なくて、俺の部屋に入った瞬間、溺れるくらいのキスをされた。
こんな事今までなかったから、心臓がやばい。痛いくらいドクドクしてる。

分かる。分かるよ、大倉。
俺が不安にさせてる事は分かってる。でも、話しよう?ちゃんと。




「大倉」
「…うん」
「大倉、こっち見て」
「…むり、」
「大倉」
「あかん…あかんねん…俺、」




不安にさせてごめん。
大丈夫。俺は絶対に大倉から離れないし、大倉以外を好きだなんて思わないから。
だから、顔見せて、大倉。




「…太史、大好きだよ」
「っ!!」
「ふはっ。こっち見た」
「っこう、航!」
「ごめんな」
「ちがう…航が、悪いんちゃう」
「うん。でもごめん」
「…航、」
「ん?」
「…もっかい、名前呼んで」
「…太史」
「うん」
「たいし、好きだよ」
「うん…俺も。俺も、航大好き」
「うん」




その後、色々話した。
教室で井上に告られた事、俺と大倉が付き合ってる事に気付いてる事、俺は大倉が大好きだって事。
背後から抱きしめる大倉の腕は、ずっと力が入っててちょっと痛かったけど、でもその痛みが安心出来た。




「大倉」
「んー?」
「いい加減離せ」
「いやや」
「おい。母さん来ちゃうから」
「ええやん。どうせバレてるし」
「…え?」
「え?」




え…え…えええええ?!
ば、バレてるの?母さんに俺たちの事バレてるの?!
え、いつ?いつバレた?
いや、確かにこんな頻繁に家に来てたらそりゃバレる…のか?
確かに真琴の時より頻度は高い。高いけど、バレないようにしてたつもりなのに…ええ?




「気付いてなかったん?」
「…全然」
「多分、付き合うた日にはバレてたで」
「…そんな前に?!」
「うん」




嘘だろ、おい…。
付き合った日って…元旦に?なんで?どうして?どうやって?!
隠してた俺…めちゃくちゃ恥ずかしいじゃん!なにそれぇ!!




「うぅー…っ」
「んは。顔真っ赤」
「…なんでお前はそう、普通なんだよ」
「仕方ないやん。航の事大好きやねんから」
「はぁ?」
「俺が多分、態度に出てたんやと思うで?」
「………」




多分、それは嘘だと思う。
大倉は、確かに俺に甘い。甘いけど、その甘いのは俺と2人きりの時が多くて、誰かが居たらそれなりに遠慮してくれてて。
だから多分、俺の態度で気付いたんだと思う。
それを大倉が、自分のせいでバレたって言ってくれたんだと思う。

いやでも、母さんに直接言われたわけじゃないから、まだバレてないと信じたい…。
別に良いんだけど…前にも言ったように、心の準備が必要で、すぐには言えない。




「やばい…母さんに会うの恥ずかしくなって来た…」
「んふ。なんでよ」
「俺絶対に隠し通せる自信ねぇ…」
「んふふ」




だって、今最高に大倉の事好きだから。
その気持ちを隠し通せる自信なんかこれっぽっちもない。



数時間後、買い物から帰って来た母さんが俺の部屋に入って来て、それでも大倉は俺から離れる事なくあっさりと母さんにバレた。
俺と大倉を見た瞬間母さんは「あら、やっぱり!」と何故か嬉しそうな顔してた。なぜ。
そして、「息子がもう1人出来たわぁ~、うふふ」とか言いながらこれまた嬉しそうに大量のから揚げを揚げていた。
抵抗という言葉は母さんの中に存在しないのか。そうなのか。



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