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10 - 二学年 二学期 秋 -
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しおりを挟む「…はぁ……航」
「ん?」
「………」
「…ん?大倉?」
「……相澤、航さん」
「え?」
「好きです」
「大倉…?」
「初めて出会った時は、誰だか分からんで、冷たい事言ってもうたけど」
「………」
「その後、航のことがめちゃくちゃ気になり出して、笠井くんに図書委員の相手誰にするか聞かれて、航の名前出して」
「………」
「それは、航の事が気になったからと、航の事を知りたいと思ったから」
「…知れた?」
「うん。知れた。航はめちゃくちゃ優しくて、可愛くて、意外と本が好きで、周りとはちょっと距離を取るけど、笠井くんとはすごく仲良しで」
「………」
「俺も航と仲良くなりたいって思った」
「………」
突然の、大倉からの告白。
何が始まったんだ?と思ったけど、いつもより真剣な顔してたから、俺もちゃんと聞こうと思った。
「航の読んでる本も知りたいし、航の好きなものは全部知りたいと思った」
「………」
「そう思う時点で、俺は航が好きなんやって気付いて、航に貸す本は、あの本しかないと思った」
大倉から初めて借りた本は『アネモネ』
まさか、花言葉にも掛けてるとは思わなかったけど。
「航を好きやって自覚してからは、どうしたら航は俺に興味持ってくれるんやろって事ばっか考えて」
「………」
「大晦日の日、航の着物姿見たら、耐えられへんくなった」
「………」
「その後着物脱いで楽な格好になった航見て、そのギャップにもやられてもうて」
「は?そうだったの?」
「うん。やから、抑えられんで好きって言うてもうた」
「そうだったのか…」
「でも、振られるやろうなぁって思ってたから、思いの丈を全部言うてやろ思て言うたら、顔真っ赤にした航が居って、むちゃくちゃうれしかってん」
「そ、っか」
「うん。航も俺と同じ気持ちなんやって」
いや、あれはあの状況だったら誰でも顔は赤くなると思う。
ベッドの上で、目の前で、好きって言われたら。
でも…うん。もうその頃には俺も大倉の事好きになってたから。
本当は俺もうれしかったんだ。大倉に好きって言われて。
ただ、突然のことだったからしどろもどろにはなってたけど。
「今日まで色々あったけど」
「うん」
「毎日航が好きって気持ちが更新されてて」
「うん」
「今日も昨日よりもさらに好きで、明日は今日よりさらに好き」
「うん」
「俺多分、てか絶対に航の事離してあげられへん」
「大倉…」
「俺らまだ高2で子供やけど」
「………」
「ずーっと航と一緒に居りたい」
「…うん」
「…相澤 航さん」
「っ、はい」
「いつになるかは分からへんし、一生出来へんかも知れんけど、俺と結婚してください」
「っ……、」
なんだよ、それ。
どんだけカッコいいんだよ、お前。
俺の左手を持って、薬指にシンプルな指輪をはめてくれた。
「ゆび、わ…?」
「うん。父さんの看病してる時に買ってん」
「………っ」
「ちょうど、出会って1年目やったやん」
「、うん」
「ほんまは当日渡したかってんけど、会えへんかったから」
「うんっ」
「はめてから言うのもなんやけど、受け取ってくれる?」
「っ、当たり前だろっ、」
「んふふ。よかった」
「っ大倉」
「うん?」
「ありがとう…すげーうれしい」
「うん」
「あと…すげー好き」
「んふ。うん。俺も。むっちゃ大好き」
俺らは高校生でまだまだ子供で、正直将来の事なんて全然分からないけど、それでも俺はきっどずっと大倉の事が好きで。
大倉も俺の事を好きでいてくれてて。
多分、大倉以外に誰かを好きになれる事は一生ないと思う。
大倉と出会った事は、きっと必然だったんだ。
出会うべくして出会ったんだ。
「航、好きやで」
「ん、俺も好きだよ」
優しく触れた大倉の唇は、とても暖かくて優しくて、俺の心をずっと温めてくれる。
大倉からプロポーズされるサプライズをもらって、俺たちの学園祭は幕を閉じた。
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