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11 - 二学年 二学期 冬 -
01
しおりを挟む季節はすっかり冬にりました。今年の冬はそこまで寒くないみたいで、うれしいです。寒いの嫌い。
「寒いの嫌いなんにマフラーだけなん?」
「手袋嫌い」
「なんで」
「なんか、手がゴワゴワ~ってするから」
「なん、ゴワゴワ~って」
「ゴワゴワ~はゴワゴワ~なんだよ」
「んはっ。意味分からん」
分からんでもいい。とにかくゴワゴワ~ってするんだよ。
学園祭も終わり、次の週から始まったテストも終わり、12月。
ちょっと早いかも知れないけど、もうそろそろ進路の事を考えないとダメな時期になってきた。
3年になってから考えるより、今のうちに少しは決めておいた方がいいって言われたけど、何にも考えてない。
父さんも母さんも、大学行きたいなら行きなさいって言ってくれてるけど、それすらも考えてない。と言うか、考えられない。
今、自分が何したいのか分かってないから。
真琴は大学行くって言ってたな。
まぁ、真琴なら全然大丈夫だと思うけど、そうなったら会えなくなるんだろうなぁ…。
大倉は…どうするんだろ…?
「相澤も最近成績上がってきたな」
「まぁ…真琴と大倉のおかげでね」
「行きたい大学とかないのか?」
「んー…就職もありかなぁ…とか思ってる」
「そっか。まぁ、まだ時間はあるからな、好きなだけ悩め」
「うん」
職員室に日誌返しにきたら、先生に引き留められて。
内容はこの前のテストのこと。
1年の時より成績は上がってて、それはもちろん真琴と大倉のおかげなんだけど、それでも褒められるとやっぱりうれしい。
行きたい大学かぁ…本当に分かんないんだよなぁ…。
ウチは、別に貧乏ってわけではないけど、だからと言って金持ちなわけでもない。本当に普通の家。
姉ちゃんがいるけど、姉ちゃんは大学行ってたけど、高校から付き合ってた彼氏さんとの間に子供が出来て、子育てするのに大学辞めて、今は結婚して隣の県で暮らしてる。
だからじゃないけど、大学まで親に面倒見てもらうのはどうなんだろう…とかも考えちゃって、そうなったら就職でもいいのかなって。
今の時代、大学行ってから就職の方がいいのは分かってはいるんだけど。
「あ、真琴!」
「ん?あ、航ちゃんだー」
「何?委員会?」
「そ。年末に向けての準備とか」
「相変わらず忙しそうだな」
「まぁねぇ」
教室に帰る途中で出会した真琴は、相変わらず忙しそうだ。
でも、なんか楽しそうな顔してる。
「…真琴はさ」
「んー?」
「大学、どこ行くの?」
「S県の大学にしようかなって思ってるよ」
「そっか」
「うん。ここから通えなくはないけど、独り暮らしになるかなぁ」
「…そっかぁ」
真琴は本当にすごいな。
ちゃんと進路決めてて。
そして独り暮らしかぁ…そうなったらやっぱなかなか会えなくなるよなぁ。
「ま、でもまだ1年はあるからゆっくり決めるよ」
「だな」
まだ1年なのか、もう1年なのか。
こう言う話をあまりしないから、ちょっと新鮮で、そしてちょっと寂しくて。
大倉とも、話さないとな…と思いながら話題に出せないでいる。
「航ちゃんは?」
「え?」
「どうするの?」
「んー…悩んでる」
「そっか」
「うん。特にこれと言ってやりたい事もないし、就職もありかなって思ってる」
「就職かぁ…それもいいけど、なんか勿体無い気がするな」
「勿体無い?」
「うん。航ちゃん最近成績いいじゃん」
「それは、お前と大倉のおかげだよ」
「そうだとしても、努力したのは航ちゃんだし、その結果成績上がったんだったら、やっぱそれは航ちゃんの頑張りだよ」
「ん。ありがと」
真琴って本当に飴と鞭の使い方分かってるよな…。
普段はちゃんと勉強!と言いながら、ちゃんと出来たら褒めてくれるし。やっぱ真琴は俺の母さんだ。
少し立ち話して、真琴は生徒会委員の教室に戻って行った。
俺も帰ろう。てか、大倉待たせてるんだった。
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