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11 - 二学年 二学期 冬 -
02
しおりを挟む「っ…、大倉!ごめん遅れた!」
「ん。大丈夫。何かあったん?」
「いや、真琴に会って話し込んでた」
「そっか」
昇降口に来たら、ロッカーに寄りかかってる大倉がいて、一瞬見惚れた。
マフラーを口元まで覆ってて、スラッとした鼻先と、下向いてる目線がやけにドキドキさせる。
ほんと、イケメンっていろんな意味で罪だよな。
大倉にプロポーズされてから、また考えるようになった。
俺が大倉の隣にいていいのかって。
大倉くらいのイケメンで、しかも性格も穏やかで優しい奴なら、俺じゃなくてもいいんじゃないかとか、俺みたいな男よりも女の子と結婚して、子供作って幸せな家庭築いた方がいいんじゃないかって。
そう考えるんだけど、でも結局俺は大倉のことが好きで、俺も大倉を離してやれる自信なんかなくて。なんで俺、男なんだろ…。
「航?」
「っえ?」
「どうした?」
「いや…なんでもない!帰ろう!」
「…?うん」
ダメダメ。考え込むな。
大倉のこと考えて大倉に心配かけさせるとか、バカか俺は。
そうだよ。ちょっとセンチな気分になっちゃっただけ。
大倉と手を繋いで昇降口を出る。
外に出たら、気持ちのいい冬晴れで、空気は冷たいけど繋いだ手から、大倉の暖かい体温が伝わってきて、それだけでしあわせな気持ちになった。大倉効果すごい。
「お邪魔します」
「あら、大倉くんおかえり」
「ただいまです」
「え、母さん俺には?」
「航ちゃんもおかえり」
「…俺ついで?!」
「何拗ねてるのよ」
「別に拗ねてない!」
「はいはい。今日は航ちゃんの好きなハンバーグだから機嫌直しなさい」
「だから!俺は!拗ねてない!」
「はいはい」
「んふっ」
ほんとさ、母さんは俺以上に大倉のこと好きだよな!
いや、うれしいよ?大倉のこと好きなのは。
でもさ、実の息子より大倉贔屓は流石に寂しいぞ!
「拗ねてない…」て言いながら大倉と一緒に部屋に行く。
その間、大倉にずっと「航かわいい。めっちゃかわいい。拗ねてる航かわいい」と連呼されて、すげー恥ずかしかった。
「こーう」
「なに…」
「そんな離れんでよ。俺寂しい」
「……母さんは大倉好きすぎる」
「んふ。俺はうれしいで?」
「俺もそれはうれしいよ!でもさ…」
「亜希子さん、航が最近ずっと笑顔なのうれしいんやって」
「は?」
「中学の時よりしあわせそうでうれしいって」なんて言い出した大倉。
なに、それ。そんなの知らない。
母さんは俺にそんなこと絶対言わないし、俺も聞かないし。
なんだったら、中学の時とあんま俺変わってないと思ってるし。
でも…確かに中学の時はつらかった。でも、真琴が居てくれたからそこまで落ちることもなかった。
でもそっか…心配かけさせてたんだな、俺。
そりゃそうか。突然学校行きたくないとか言ったりしたしな。
「亜希子さん、俺に感謝してるって言ってくれてん」
「………」
「航が笑顔でしあわせそうに学校通えてるのは俺のおかげって」
「…そっか」
「うん。航の笑顔を、俺も作れてるんなら俺はうれしい」
「…うん。大倉が居てくれたから、今めちゃくちゃしあわせだし楽しいよ」
「んふ。ならよかった。俺も同じやし」
「そっか」
「うん」
「こっちきて」って言われて、大倉の元に行ったら腕引っ張られてそのまま大倉の腕の中。
あったかい。安心する。落ち着ける俺の居場所。
「なぁ、大倉」
「んー?」
「…俺、大倉の隣に居ていいんだよな」
「なん、そんな当たり前のこと聞く?」
「聞きたいんだよ」
「俺の隣以外どこに居るんよ?」
「ふふっ。そう言う考え方もあるのか」
「当たり前やろー?俺の隣は航やし、航の隣は俺以外ありえへんやろ?」
「…うん」
あー…好きだ。大倉が大好きだ。
卒業しても、ずっとここに居たい。大倉の隣に、大倉の近くにずっと居たい。
その後は、部屋でまったりしながら色んな話したり、ぎゅーぎゅー抱きしめ合ったり、キスされたり(いまだに恥ずかしい。慣れない)。母さんに呼ばれるまでそうしてた。
そしたら暗い気持ちなんか吹っ飛んで、やっぱ大倉すごいってなった。ほんと、大倉効果すごい。
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