71 / 79
11 - 二学年 二学期 冬 -
07
しおりを挟む◇◆◇
クリスマスも終わり、今日は12月31日。大晦日です。
今年も大倉と一緒に年越しが出来るらしく、朝から浮かれてる。
母さんに、なんかすっごく残念な子って目で見られてるけど気にしない!だって浮かれてるから!
今年は着物着ない。理由は去年大変だったから。
あと、母さんには事前に年越し終わったら大倉が泊まりにくること伝えておいた。
「大倉、お待たせ!」
「ん。大丈夫」
去年同様、若葉公園で待ち合わせして、去年と同じ神社に行くことにした。というか、近場で大きい神社ってあそこしかないんだよな。
「航、ん」
「…うん」
手を差し出されて、躊躇いもなくその手を取ることが出来るようになったのは、クリスマスの時のおかげ。
お互いに初めてのことだったから、手探りでコトに及んだけど、それでもしあわせだった。
心も身体も、大倉と繋がれて、うれしくてしあわせて、好きの気持ちが溢れ出て。
あー、俺本当に大倉のこと大好きなんだなって、これからもずっと一緒にいたいなって、強く思った。
「そういやさ」
「ん?」
「航はいつになったら、俺のこと名前で呼んでくれるん?」
「へ?」
「あと数時間後には1年になるやんかぁ」
「そ、そうだな…」
「いまだに大倉呼びは寂しいんやけどなぁ…?」
「ぅ、」
分かってる。分かってるんだよ。
大倉は俺のこと名前で呼んでくれてるのに、俺はいまだに大倉のままで。
太史って呼びたいけど、なんか今更恥ずかしくね?とか思っちゃって…。
でもそっか…あと数時間後に、俺たち1年になるのか…。
「…1年記念、から…名前呼びにする…つもり」
「えー、つもりなん?絶対ちゃうの?」
「ぅ…、」
「絶対って言って」
「………」
「こーう?」
「……わ、分かった」
「んふふふ。たのしみー」
そんな…そんな嬉しそうな顔されたら、断れねぇじゃねぇか!!
神社に着いたら、そこそこ人がいて、多分同じ学校に通ってる奴もいた。
でも、お互いに知り合いでもないから挨拶はしない。
あと、俺の中学の時の同級生も何人か見かけたけど、無視。俺は気づいたけど相手は気づいてないから、それでいい。
「今年のおみくじは何出るかな」
「去年はお互いに小吉やったからなぁ」
「な。大吉とは言わないけど、去年よりいいといいな」
「やね」
時刻はもうすぐ0時。
参拝も終わって、甘酒もらってちょっとした休憩スペースに座って時間が来るのを待ってる。
おみくじは、後で引く。頼む、去年よりいいのがきてくれますように!!
「寒ない?」
「うん、平気。カイロ持ってきた」
「んはっ。用意周到」
「当たり前。寒いの嫌いだもん」
「そっか。じゃあ、はい」
「え?」
「手、貸して」
「え、うん?」
手を出されたからその手に自分の手を重ねたら、そのままぎゅっとされて、俺のコートのポケットに突っ込んできた。
ちょうど、カイロが入っててあったかい。
「…大倉も、今日は手ぶくろしてないんだな」
「うん。こうして手、繋げるやろ?」
「うん…」
「ただ、冷たくてごめんな?」
「平気。すぐあったくなるし」
「んふふ。せやね」
周りから見えないように、なるべく自然に。
些細なしあわせを噛み締めてた。
どこからとまなく、カウントダウンの掛け声が聞こえてきて、いよいよ年が明ける。
『にー、いーち……』
ゼロの声と共に、境内の鐘が鳴った。
それと同時に、大倉からキスされた。
周りは誰も見てない、気づいてない。
2人だけの、秘密。
「…航、あけましておめでとう」
「ん…おめでとう」
「今年もよろしくな?」
「こちらこそ、今年もよろしく」
目を見合って、ちょっと気恥ずかしくて。でもしあわせで。
最高の年明けになった。
0
あなたにおすすめの小説
死ぬほど嫌いな上司と付き合いました
三宅スズ
BL
社会人3年目の皆川涼介(みながわりょうすけ)25歳。
皆川涼介の上司、瀧本樹(たきもといつき)28歳。
涼介はとにかく樹のことが苦手だし、嫌いだし、話すのも嫌だし、絶対に自分とは釣り合わないと思っていたが‥‥
上司×部下BL
俺の婚約者は小さな王子さま?!
大和 柊霞
BL
「私の婚約者になってくれますか?」
そう言い放ったのはこの国の王子さま?!
同性婚の認められるパミュロン王国で次期国王候補の第1王子アルミスから婚約を求められたのは、公爵家三男のカイルア。公爵家でありながら、長男のように頭脳明晰でもなければ次男のように多才でもないカイルアは自由気ままに生きてかれこれ22年。
今の暮らしは性に合っているし、何不自由ない!人生は穏やかに過ごすべきだ!と思っていたのに、まさか10歳の王子に婚約を申し込まれてしまったのだ。
「年の差12歳なんてありえない!」
初めはそんな事を考えていたカイルアだったがアルミス王子と過ごすうちに少しづつ考えが変わっていき……。
頑張り屋のアルミス王子と、諦め系自由人のカイルアが織り成す救済BL
告白ごっこ
みなみ ゆうき
BL
ある事情から極力目立たず地味にひっそりと学園生活を送っていた瑠衣(るい)。
ある日偶然に自分をターゲットに告白という名の罰ゲームが行われることを知ってしまう。それを実行することになったのは学園の人気者で同級生の昴流(すばる)。
更に1ヶ月以内に昴流が瑠衣を口説き落とし好きだと言わせることが出来るかということを新しい賭けにしようとしている事に憤りを覚えた瑠衣は一計を案じ、自分の方から先に告白をし、その直後に全てを知っていると種明かしをすることで、早々に馬鹿げたゲームに決着をつけてやろうと考える。しかし、この告白が原因で事態は瑠衣の想定とは違った方向に動きだし……。
テンプレの罰ゲーム告白ものです。
表紙イラストは、かさしま様より描いていただきました!
ムーンライトノベルズでも同時公開。
【完結】ハーレムラブコメの主人公が最後に選んだのは友人キャラのオレだった。
或波夏
BL
ハーレムラブコメが大好きな男子高校生、有真 瑛。
自分は、主人公の背中を押す友人キャラになって、特等席で恋模様を見たい!
そんな瑛には、様々なラブコメテンプレ展開に巻き込まれている酒神 昴という友人がいる。
瑛は昴に《友人》として、自分を取り巻く恋愛事情について相談を持ちかけられる。
圧倒的主人公感を持つ昴からの提案に、『友人キャラになれるチャンス』を見出した瑛は、二つ返事で承諾するが、昴には別の思惑があって……
̶ラ̶ブ̶コ̶メ̶の̶主̶人̶公̶×̶友̶人̶キ̶ャ̶ラ̶
【一途な不器用オタク×ラブコメ大好き陽キャ】が織り成す勘違いすれ違いラブ
番外編、牛歩更新です🙇♀️
※物語の特性上、女性キャラクターが数人出てきますが、主CPに挟まることはありません。
少しですが百合要素があります。
☆第1回 青春BLカップ30位、応援ありがとうございました!
第13回BL大賞にエントリーさせていただいています!もし良ければ投票していただけると大変嬉しいです!
義兄が溺愛してきます
ゆう
BL
桜木恋(16)は交通事故に遭う。
その翌日からだ。
義兄である桜木翔(17)が過保護になったのは。
翔は恋に好意を寄せているのだった。
本人はその事を知るよしもない。
その様子を見ていた友人の凛から告白され、戸惑う恋。
成り行きで惚れさせる宣言をした凛と一週間付き合う(仮)になった。
翔は色々と思う所があり、距離を置こうと彼女(偽)をつくる。
すれ違う思いは交わるのか─────。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる