アネモネ

ぱる@あいけん風ねこ

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12 - 二学年 三学期 冬 -

05

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◇◆◇



今年もやって来ました、バレンタインデー。
朝からやっぱり大変なことになってます。もちろん、大倉が。
俺と真琴が学校の最寄駅に着いて改札出た途端、目の前には女子の大群。
その中心には大倉がいた。
相変わらず無愛想なツラして突っ立ってて、やっぱり面白い。
去年同様、駅に着いた連絡したらすぐに気付いてくれて、俺と真琴の元に来てくれた。

周りからは「ほら、あの人」とか「本当だったんだ…すごいショック…」なんて言葉が聞こえて来たけど、なるべく気にしないようにした。

学校着いてからもすごくて、まず下駄箱には入りきらなかったチョコが、袋に入って置かれてた。
丁寧に「大倉くんへ」と書かれた紙が袋に貼ってあって、それを見た大倉はガチでうんざりした顔してた。




「ほんとすごいねで、大倉くん」
「はぁ…」
「うっわ…これめちゃくちゃ高いチョコじゃん」
「…食べる?」
「いや、いい」




置きっぱなしもダメだから、一応袋持って来てて、大倉の教室にお邪魔してから袋の中覗いたら、手作りのとかどこぞのブランドのチョコだとかわんさか入ってる。
これ、一粒500円はするやつだぞ。すげーな。




「どうすんの?これ」
「んー…去年と同じで先生に渡す」
「まじか」
「うん」




学校にチョコ持って来ちゃダメなのは当たり前で、しかも教室中にチョコの匂いさせてたら授業どころじゃなくなるから、去年も大倉は先生に渡してた。
欲しくて貰ってるわけじゃないって言って。
どから先生も怒らないし、なんだったら嬉しそうに貰ってる節がある。いいのか、それで。




「…航は?」
「へ?」
「くれへんの?」
「…欲しい、の?」
「欲しいよ。好きな人から欲しいに決まってる!」
「……放課後な」
「!!絶対な?!絶対やで?!」
「う、うん」




去年は結局、『アネモネ』の続編に当たる『カスミソウ』を渡した。
今年はどうしようか…って悩んだ結果、初めて手作りチョコを作ってみた。
甘いものは好きでもないし嫌いでもないと言ってた大倉に、どんな物を渡せばいいのかすげー迷って、そこまで甘くないチョコ味のシフォンケーキを作ってみた。
もちろん、母さんに教わりながら。
めちゃくちゃニタニタしながら教えてくれたけどね!
ほんと、姉ちゃんとそっくりだよ!
あ、違う。姉ちゃんが母さんにそっくりなんだ。



ちゃんと授業受けて、お昼休みは大倉への告白やらチョコ渡しやらで大倉とは過ごせず、真琴も生徒会が忙しくて一緒に居れなくて、久しぶりに1人で屋上のお気に入りスポットに居た。
2月だからまだちょっと寒いけど、やっぱり居心地がいい場所。

お昼は一緒に過ごせなかったから、放課後は一緒に帰れるようにと、去年同様放課後の告白とかは全て断ってくれたらしい。

そういえば、椎名さんはあのクリスマス以来、音沙汰なしだ。
俺がはっきり「付き合ってる」って言ったから今度こそ諦めたのか…それともまだタイミングを伺ってるのかは分からない。
分からないけど、今のところ平和だからよかった。
今日は、会いに来ると思ってたんだけどな…バレンタインデーだし。
いやまぁ…会いに来られたら来られたで複雑だけど…。

あと、井上はもう俺にちょっかいかけてこなくなった。
諦めてくれたのか、それとも俺と大倉の関係に呆れたのか…あの夏休み後の大倉とのケンカ以来、必要以上に絡んでこない。
普通に話はしたりするけど、本当にそれだけ。




「航、帰ろ」
「あ、おう!」




大倉のクラスのホームルームが終わるのを教室で待ってたら、めちゃくちゃ笑顔の大倉が迎えに来た。
これは…あれだな。めちゃくちゃ期待してるな。
勝手にハードル上げないでください。自信ないんです。
味見はしたし、母さんからも及第点はもらったけど、それでもやっぱり自信はないんです。

だって、今まで料理すらしたことないのに、いきなりお菓子作りだよ?!
あれ大変なんだね!分量間違えると生地膨らまないし、チョコも溶かすの大変だし、混ぜるのに腕疲れるし。
ほんと、世のお菓子職人さんってすごい!て思った。



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