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第三章
38話 出場
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凛達は建物内に入り、会長の姿を探す。
関係者施設がある方面の通路を歩いていると、ミーシェの声が聴こえて来た。
「何で獣医さんがいないのですか!? 早くしないと、うーちゃんが!」
声がする医務室を覗くと、そこでは治療用ベッドに乗せられたバッファローの前で、取り乱すミーシェの姿があった。
「急いで呼びに行っているので、もう暫く待っててください」
「治療魔法使える人が誰もいないなんておかしい! もう、外の病院に連れて行く!」
「無茶です。こんな大きなモンスター、そんなところまで運搬できません」
「それでも行くのっ」
「ですから、もう少し待っていただければ……誰だ!?」
凛達は堂々と医務室の中へと入って来る。
「客か? ここは関係者以外立ち入り禁止です。すぐに出てってください」
職員の人が慌てて追い出そうとするが、凛は無視して治療用ベッドの前へと足を運んだ。
ベッドの上で横たわるバッファローは全身を火傷しており、息も絶え絶えであった。
すぐに治療しなければ、命に関わる程の重症である。
「酷い状態だわ。でも……」
凛は手を翳して、高位の治療魔法を発動させた。
「あ、おい! 部外者が勝手に……」
職員が慌てて止めようとするが、フラム達が間に入って邪魔されないようにする。
治療魔法により、バッファローの焼け爛れていた皮膚が、みるみる再生して行く。
そして、あっという間に綺麗な状態へと戻った。
「はい、お終い。これでもう安心よ。今日のところは安静にしておいた方がいいけど、完全に治したから、すぐに元気に動けるようになるわ」
「あ……ありがとうございます! どなたか存じませんが、本当にありがとう……」
ミーシェは涙を流しながらお礼を言う。
バッファローはミーシェが幼い頃から一緒であったので、調教師と従魔以上に親密な関係であった。
ミーシェから何度もお礼を言っていると、医務室に会長が入って来る。
「容態はどうだ? 大人しく従っておけば、こんなことにはならなかったのにな」
そこで凛達の存在に気付く。
「何で部外者がこんなところにいる? さっさと出てけ」
追い出そうとする会長に、凛は怒りの形相となって言う。
「文句があって来たのよ! さっきの試合、ミーシャちゃんのモンスターを罠にかけて負けさせたでしょ。卑怯なことしてるんじゃないわよ!」
「おいおい、お客さん。言いがかりは困りますよ。賭けで負けたのでしょうけど、そんなことを言っても返金はできませんよ」
会長は急にお客さん対応となって、しらばくれる。
「恍けないで! 貴方達が八百長やってることは知ってるんだからね」
「八百長とは、穏やかではありませんな。何か証拠でも?」
「さっきの試合前、控室で貴方が負けることを強要していたところを見たわ。ここにいる子、全員がね」
「貴方達は知り合いなのでしょう? 目撃証拠なんて、いくらでもでっち上げられますからねぇ。証拠にはなりませんよ」
「なら、罠にかけた証拠がリングに残ってるはずだわ。調べれば、このモンスターにも火薬が付着してるはず。今から兵士立ち合いの下で調べましょ」
「次の試合の準備がありますので、それはできませんね」
「証拠を出させない気? なら通報するしかないわね」
「そんな通報、取り合いませんよ。負けた憂さ晴らしで通報されることは、日常茶飯事ですから」
「ぐぬぬ……」
凛は言い返せず、押し黙る。
兵士が取り合ってくれなければ、八百長や工作を証明することはできなかった。
「もうないようですね。では、私はこれで。ミーシェ、これに懲りたら、少しは新人らしく振る舞うのだな」
会長は勝ち誇った表情で医務室から出て行った。
「……最低」
凛は吐き捨てるように呟く。
誤通報の多さから、兵士が真面に取り合わなくなったことを逆手に利用して、やりたい放題やっていた。
悔しさから暗い雰囲気になっていると、玖音が口を開く。
「気が変わった。出場してやるのじゃ」
「玖音?」
「どうせ飛び入りの勝ち抜き戦も、勝てぬようにしておるのじゃろ? 卑劣なのは気に食わん。その無敗の王者とやらをボコボコにしてやるのじゃ」
表に貼ってあった飛び入り参加の看板に、レッサードラゴンの写真もあったことから、飛び入り試合でも工作が行われていることが想像できた。
ならば叩き潰してやろうと、玖音は名乗り出たのだ。
「ふっ、いいわね。やっちゃいなさい」
「うむ。調教師役は任せたのじゃ」
関係者施設がある方面の通路を歩いていると、ミーシェの声が聴こえて来た。
「何で獣医さんがいないのですか!? 早くしないと、うーちゃんが!」
声がする医務室を覗くと、そこでは治療用ベッドに乗せられたバッファローの前で、取り乱すミーシェの姿があった。
「急いで呼びに行っているので、もう暫く待っててください」
「治療魔法使える人が誰もいないなんておかしい! もう、外の病院に連れて行く!」
「無茶です。こんな大きなモンスター、そんなところまで運搬できません」
「それでも行くのっ」
「ですから、もう少し待っていただければ……誰だ!?」
凛達は堂々と医務室の中へと入って来る。
「客か? ここは関係者以外立ち入り禁止です。すぐに出てってください」
職員の人が慌てて追い出そうとするが、凛は無視して治療用ベッドの前へと足を運んだ。
ベッドの上で横たわるバッファローは全身を火傷しており、息も絶え絶えであった。
すぐに治療しなければ、命に関わる程の重症である。
「酷い状態だわ。でも……」
凛は手を翳して、高位の治療魔法を発動させた。
「あ、おい! 部外者が勝手に……」
職員が慌てて止めようとするが、フラム達が間に入って邪魔されないようにする。
治療魔法により、バッファローの焼け爛れていた皮膚が、みるみる再生して行く。
そして、あっという間に綺麗な状態へと戻った。
「はい、お終い。これでもう安心よ。今日のところは安静にしておいた方がいいけど、完全に治したから、すぐに元気に動けるようになるわ」
「あ……ありがとうございます! どなたか存じませんが、本当にありがとう……」
ミーシェは涙を流しながらお礼を言う。
バッファローはミーシェが幼い頃から一緒であったので、調教師と従魔以上に親密な関係であった。
ミーシェから何度もお礼を言っていると、医務室に会長が入って来る。
「容態はどうだ? 大人しく従っておけば、こんなことにはならなかったのにな」
そこで凛達の存在に気付く。
「何で部外者がこんなところにいる? さっさと出てけ」
追い出そうとする会長に、凛は怒りの形相となって言う。
「文句があって来たのよ! さっきの試合、ミーシャちゃんのモンスターを罠にかけて負けさせたでしょ。卑怯なことしてるんじゃないわよ!」
「おいおい、お客さん。言いがかりは困りますよ。賭けで負けたのでしょうけど、そんなことを言っても返金はできませんよ」
会長は急にお客さん対応となって、しらばくれる。
「恍けないで! 貴方達が八百長やってることは知ってるんだからね」
「八百長とは、穏やかではありませんな。何か証拠でも?」
「さっきの試合前、控室で貴方が負けることを強要していたところを見たわ。ここにいる子、全員がね」
「貴方達は知り合いなのでしょう? 目撃証拠なんて、いくらでもでっち上げられますからねぇ。証拠にはなりませんよ」
「なら、罠にかけた証拠がリングに残ってるはずだわ。調べれば、このモンスターにも火薬が付着してるはず。今から兵士立ち合いの下で調べましょ」
「次の試合の準備がありますので、それはできませんね」
「証拠を出させない気? なら通報するしかないわね」
「そんな通報、取り合いませんよ。負けた憂さ晴らしで通報されることは、日常茶飯事ですから」
「ぐぬぬ……」
凛は言い返せず、押し黙る。
兵士が取り合ってくれなければ、八百長や工作を証明することはできなかった。
「もうないようですね。では、私はこれで。ミーシェ、これに懲りたら、少しは新人らしく振る舞うのだな」
会長は勝ち誇った表情で医務室から出て行った。
「……最低」
凛は吐き捨てるように呟く。
誤通報の多さから、兵士が真面に取り合わなくなったことを逆手に利用して、やりたい放題やっていた。
悔しさから暗い雰囲気になっていると、玖音が口を開く。
「気が変わった。出場してやるのじゃ」
「玖音?」
「どうせ飛び入りの勝ち抜き戦も、勝てぬようにしておるのじゃろ? 卑劣なのは気に食わん。その無敗の王者とやらをボコボコにしてやるのじゃ」
表に貼ってあった飛び入り参加の看板に、レッサードラゴンの写真もあったことから、飛び入り試合でも工作が行われていることが想像できた。
ならば叩き潰してやろうと、玖音は名乗り出たのだ。
「ふっ、いいわね。やっちゃいなさい」
「うむ。調教師役は任せたのじゃ」
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