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第三章
44話 ラピスvsアラン
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和やかな空気になるが、その時、ゴブリンの巣の屋根が吹き飛び、中から大きな鬼のモンスターが姿を現す。
遅れて入口からは突入班の人達が血相をかいて出て来た。
「みんな逃げろ! あいつら、ギガント・オーガ飼ってやがった!」
ゴブリン達はテイマーの如く、他種族であるギガント・オーガを飼育していた。
ギガント・オーガは巨体で力が強く狂暴な、極めて危険なモンスターである。
ゴブリンの巣を叩くようなメンバーで、討伐できるような相手ではない。
包囲班の人達も、持ち場を放り出して逃げ始める。
「あらら、あれは普通の冒険者には厳しいわ」
他の冒険者達が大慌てで逃げる中、凛達は平然としていた。
「何突っ立ってるんだ! お前らも早く逃げろ!」
突入班だった人達の数名が凛達の方へと逃げてくる。
「あれ、私が倒しちゃっていいですか?」
「何、馬鹿なこと言ってる! お前らも、さっさと逃げるんだよ!」
突入班だった人達は凛を怒鳴りつけて、逃げ去って行った。
相手にされず、凛は溜息をつく。
「勝手にやるしかないわね。あれ相手に大人数で行くのも何だから、私一人でサクッと倒してくるわ」
凛はそう言い、一人で突撃して行った。
玖音達は走り去って行った凛を見送る。
「あれを倒したら終わりかの。結局、ただ退屈なだけだったわ」
三人とも、もう終わったものと考え、呑気に見学を行う。
だが、少し離れたところにある木の影から、それを眺める者達が居た。
――――
「あいつ、一人で行く気かよ……」
アラン達は担当場所が重要な位置でなかったことをいいことに、早々に持ち場を放り出して、ずっと凛達のことを監視していた。
「ねぇ、アラン。私達も早く逃げた方がいいんじゃないの?」
「いや、この状況、俺達にとっては都合がいい。危険だが、戦況が混乱してて、しかも、あの女と他の奴らが分断された今、仕掛けるには絶好の機会だ」
「……やるのね」
「ああ、まずあいつらを始末してから、不意打ちで仕留めるぞ」
――――
凛が戻るまでの間、玖音達はのんびり雑談して待つ。
「あれ倒したら、追加で報酬出そうじゃの。強引に引っ張り出されたから、その分、食事の献立に要望出してやるのじゃ」
「玖音さんって、やっぱり食いしん坊?」
「なっ、誰が食いしん坊じゃっ」
食いしん坊呼ばわりされた玖音は、思わず言い返す。
毎回の食事を楽しみにしていた為、もう玖音は他の子達にも、そういう目で見られるようになっていた。
「ひっ、すみませんっ、すみませんっ」
ラピスが怯えて平謝りし出したので、玖音は落ち着いて言う。
「別に儂は食いしん坊などではない。ただ、食べることぐらいしか娯楽がないから、楽しんでいるだけじゃ」
すると、シーナが尋ねる。
「それ、食いしん坊とどう違うの?」
「うぐ……お主は言うの」
性格が全然違う三人な為、雑談も凸凹した感じになっていた。
多少噛み合わないところもありながらも話に花を咲かせていると、突然、ラピスに向かって一本の矢が飛んできた。
一早く気付いたシーナが小刀で、その矢を斬り落とす。
玖音達が振り返ると、木の陰からアラン達が姿を現した。
「チッ。勘がいいな」
「……アランさん。何しに来たんですか?」
「何しにって? お前らを始末しに来たんだよ。俺達のことを散々馬鹿にしやがって。お前らだけは許さねぇ」
「正気ですか? そんなことをしたら、ただでは済みませんよ」
「ふっ、そんなのゴブリン共のせいにすればいい。幸いこんな状況だ。お前らを殺したところでバレやしない」
「そういうことじゃないのですが……。考え直すなら今のうちですよ」
「今更命乞いか? だが、もう遅い。貴様らはここで死んでもらう」
アラン達は武器を引き抜く。
だが、その直後、アラン以外のメンバーの身体が発火した。
「きゃああああっ」
「熱いっ! 何で!?」
全身を包む激しい炎により、メンバー達はあっという間に黒焦げの死体となった。
そして、アランや玖音達の周を包囲するかように、炎の壁が現れる。
「何だよ……。一体、何なんだよ、これは……」
突然のことで動揺しているアランに向け、玖音が言う。
「己の行動の結果じゃ。恨むなら自分の愚かさを恨め」
「ま、まさか、お前もアーティファクト持ちなのかよ」
「何でもかんでもアーティファクトと考えるのは、大間違いじゃぞ。まぁ、凛に関しては半分当たりじゃがな」
玖音はそう言って、一歩後ろに下がる。
「丁度良い機会じゃ。ラピス、儂からの卒業試験を与える。一人で此奴を始末しろ」
「わ、分かりましたっ」
指導に協力していた講師の一人として、玖音はラピスに試練を与えた。
ラピスは覚悟を決め、杖を構える。
周りは炎に囲まれ、アランに逃げ場はない。
「糞がっ」
追い詰められたアランはヤケクソで、ラピスへと斬りかかった。
ラピスが即座に杖を掲げると、前方に氷の壁が出現し、アランの剣を受け止める。
直後、氷の壁にヒビが入り、砕け散るが、その破片がショットガンのように撃ち放たれた。
「ぐあっ」
至近距離で破片を受けたアランは、全身血塗れとなる。
「な、何だと……。お前なんかが、こんなことできるはずは……」
「凛さん達に鍛えてもらいました。あまり私を舐めないでくださいっ」
ラピスが杖を掲げ、太く鋭い氷柱を発現させる。
「ち、畜生。元はと言えば、お前が……。お前さえいなければ……!」
飛ばされた氷柱が腹を貫き、アランは絶命する。
躯となったアラン達を、ラピスは冷めた目で見下ろした。
「余裕じゃったな。これで儂からの指導も免許皆伝じゃ」
「はいっ。ありがとうございますっ」
講師二人から免許皆伝を受け、ラピスとアラン達の因縁にも決着が着いた。
遅れて入口からは突入班の人達が血相をかいて出て来た。
「みんな逃げろ! あいつら、ギガント・オーガ飼ってやがった!」
ゴブリン達はテイマーの如く、他種族であるギガント・オーガを飼育していた。
ギガント・オーガは巨体で力が強く狂暴な、極めて危険なモンスターである。
ゴブリンの巣を叩くようなメンバーで、討伐できるような相手ではない。
包囲班の人達も、持ち場を放り出して逃げ始める。
「あらら、あれは普通の冒険者には厳しいわ」
他の冒険者達が大慌てで逃げる中、凛達は平然としていた。
「何突っ立ってるんだ! お前らも早く逃げろ!」
突入班だった人達の数名が凛達の方へと逃げてくる。
「あれ、私が倒しちゃっていいですか?」
「何、馬鹿なこと言ってる! お前らも、さっさと逃げるんだよ!」
突入班だった人達は凛を怒鳴りつけて、逃げ去って行った。
相手にされず、凛は溜息をつく。
「勝手にやるしかないわね。あれ相手に大人数で行くのも何だから、私一人でサクッと倒してくるわ」
凛はそう言い、一人で突撃して行った。
玖音達は走り去って行った凛を見送る。
「あれを倒したら終わりかの。結局、ただ退屈なだけだったわ」
三人とも、もう終わったものと考え、呑気に見学を行う。
だが、少し離れたところにある木の影から、それを眺める者達が居た。
――――
「あいつ、一人で行く気かよ……」
アラン達は担当場所が重要な位置でなかったことをいいことに、早々に持ち場を放り出して、ずっと凛達のことを監視していた。
「ねぇ、アラン。私達も早く逃げた方がいいんじゃないの?」
「いや、この状況、俺達にとっては都合がいい。危険だが、戦況が混乱してて、しかも、あの女と他の奴らが分断された今、仕掛けるには絶好の機会だ」
「……やるのね」
「ああ、まずあいつらを始末してから、不意打ちで仕留めるぞ」
――――
凛が戻るまでの間、玖音達はのんびり雑談して待つ。
「あれ倒したら、追加で報酬出そうじゃの。強引に引っ張り出されたから、その分、食事の献立に要望出してやるのじゃ」
「玖音さんって、やっぱり食いしん坊?」
「なっ、誰が食いしん坊じゃっ」
食いしん坊呼ばわりされた玖音は、思わず言い返す。
毎回の食事を楽しみにしていた為、もう玖音は他の子達にも、そういう目で見られるようになっていた。
「ひっ、すみませんっ、すみませんっ」
ラピスが怯えて平謝りし出したので、玖音は落ち着いて言う。
「別に儂は食いしん坊などではない。ただ、食べることぐらいしか娯楽がないから、楽しんでいるだけじゃ」
すると、シーナが尋ねる。
「それ、食いしん坊とどう違うの?」
「うぐ……お主は言うの」
性格が全然違う三人な為、雑談も凸凹した感じになっていた。
多少噛み合わないところもありながらも話に花を咲かせていると、突然、ラピスに向かって一本の矢が飛んできた。
一早く気付いたシーナが小刀で、その矢を斬り落とす。
玖音達が振り返ると、木の陰からアラン達が姿を現した。
「チッ。勘がいいな」
「……アランさん。何しに来たんですか?」
「何しにって? お前らを始末しに来たんだよ。俺達のことを散々馬鹿にしやがって。お前らだけは許さねぇ」
「正気ですか? そんなことをしたら、ただでは済みませんよ」
「ふっ、そんなのゴブリン共のせいにすればいい。幸いこんな状況だ。お前らを殺したところでバレやしない」
「そういうことじゃないのですが……。考え直すなら今のうちですよ」
「今更命乞いか? だが、もう遅い。貴様らはここで死んでもらう」
アラン達は武器を引き抜く。
だが、その直後、アラン以外のメンバーの身体が発火した。
「きゃああああっ」
「熱いっ! 何で!?」
全身を包む激しい炎により、メンバー達はあっという間に黒焦げの死体となった。
そして、アランや玖音達の周を包囲するかように、炎の壁が現れる。
「何だよ……。一体、何なんだよ、これは……」
突然のことで動揺しているアランに向け、玖音が言う。
「己の行動の結果じゃ。恨むなら自分の愚かさを恨め」
「ま、まさか、お前もアーティファクト持ちなのかよ」
「何でもかんでもアーティファクトと考えるのは、大間違いじゃぞ。まぁ、凛に関しては半分当たりじゃがな」
玖音はそう言って、一歩後ろに下がる。
「丁度良い機会じゃ。ラピス、儂からの卒業試験を与える。一人で此奴を始末しろ」
「わ、分かりましたっ」
指導に協力していた講師の一人として、玖音はラピスに試練を与えた。
ラピスは覚悟を決め、杖を構える。
周りは炎に囲まれ、アランに逃げ場はない。
「糞がっ」
追い詰められたアランはヤケクソで、ラピスへと斬りかかった。
ラピスが即座に杖を掲げると、前方に氷の壁が出現し、アランの剣を受け止める。
直後、氷の壁にヒビが入り、砕け散るが、その破片がショットガンのように撃ち放たれた。
「ぐあっ」
至近距離で破片を受けたアランは、全身血塗れとなる。
「な、何だと……。お前なんかが、こんなことできるはずは……」
「凛さん達に鍛えてもらいました。あまり私を舐めないでくださいっ」
ラピスが杖を掲げ、太く鋭い氷柱を発現させる。
「ち、畜生。元はと言えば、お前が……。お前さえいなければ……!」
飛ばされた氷柱が腹を貫き、アランは絶命する。
躯となったアラン達を、ラピスは冷めた目で見下ろした。
「余裕じゃったな。これで儂からの指導も免許皆伝じゃ」
「はいっ。ありがとうございますっ」
講師二人から免許皆伝を受け、ラピスとアラン達の因縁にも決着が着いた。
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