旅して作ろう! 百合娘による女の子ハーレム ~異世界巡って、ご当地女の子集め~

白井よもぎ

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第三章

45話 夜逃げ:ベルガ

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 ゴブリンの巣の前。
 倒れたギガント・オーガの前で、凛はハンマー片手に息をついていた。

「ふぅ、意外としぶとかったわね。ちょっと手古摺っちゃったわ」

 図体が大きい分、耐久度が高く、凛でも若干骨が折れる相手だった。

「嘘だろ……。一人で倒しやがった」

 戦いを見ていた冒険者は唖然とした顔をする。
 凛が戦っているうちに、逃げ出していた冒険者の多くは戻ってきていた。

「これで大丈夫よね? 後は雑魚片付けるだけ?」

 凛が尋ねると、冒険者の一人がハッとして言う。

「まだだ。まだ、教官が奥で戦ってる。俺達を逃がす為にジェネラルの足止めをしてるんだ。頼む。教官を助けてやってくれ」

――――

 半壊した巣の最奥。
 全身傷だらけの教官が、ゴブリン達を率いたジェネラル・ゴブリンと対峙していた。

(あいつらは逃げ切れただろうか……。糞、こんなことになるなんて)

 ジェネラル・ゴブリンには配下を統率させる能力がある。
 多数のゴブリンに加えて、ギガント・オーガまでいる群れを統制された動きで操られては、とてもじゃないが逃げ切ることは不可能であったので、皆を逃がす為には、ここで引き付けるしかなかった。

 引き付けているとはいえ、ギガント・オーガ単独でも脅威だった為、教官は戦いながらも、冒険者達の身を案じていた。

 教官が必死にゴブリンを倒し続けるが、倒しても倒しても、何処からかゴブリンが出てくる。
 ジェネラル・ゴブリンを倒したくても、沸いてくるゴブリンのせいで、そこまで攻撃が届かなかった。

 そうしているうちに教官の体力は限界に近づいていた。

(これまでか……)

 死を覚悟したその時、後ろから凛が駆け寄って来る。

「教官ー。無事ですかー?」
「!? 何故来た! こっちに来るんじゃない!」

 教官が驚いて振り返ると、その隙を突いてゴブリン達が飛び掛かった。

「勿論、助けに来たんですよっ」

 凛が飛び出し、手を振ると、飛び掛かったゴブリン達の足元が隆起して、尖った土柱がゴブリン達の身体を貫いた。
 ゴブリン達が絶命すると、土柱は砕けて消える。

 唖然とする教官に、凛は言う。

「私を突入班に入れた方が良かったでしょ?」
「そうみたいだな。ギガント・オーガは?」
「倒しました」

 凛があっさりと言うと、教官は驚いた顔をする。

「冒険者としての一流だったか……。なら、あいつの始末も頼めるか?」
「ええ」

 凛は地面から土の大剣を生成して、ジェネラル・ゴブリンと向き合う。
 すると、ジェネラル・ゴブリンはゴブリン達を操作して、凛へと襲わせた。

 飛び掛かって来たゴブリン達を、凛は大剣で一閃する。
 一撃で蹴散らし、次はジェネラル・ゴブリンを狙いに定めて、構える。

 しかし、そこでジェネラル・ゴブリンは悲鳴のような声を上げて逃げ出した。

「えぇ……逃げるの?」

 凛が即座に攻撃を仕掛けようとするが、それを妨害するようにゴブリン達が飛び出してくる。
 凛はまとめて斬り伏せて、逃げるジェネラル・ゴブリンの方へ手を翳すと、その足元に突起が出来、足を引っかけたジェネラル・ゴブリンはその場に転倒した。

「無駄よ」

 倒れたジェネラル・ゴブリンに、凛は近づき、大剣を振り上げる。
 だが、その時、一匹のゴブリンが後ろから教官に飛び掛かった。

「なっ、しまった」

 凛の戦いに気を取られていた教官は、疲弊していたこともあって、反応する間もなく、喉元にナイフと突きつけられる。
 ジェネラル・ゴブリンは汚い笑みを浮かべて、自分を倒すと教官も道連れにすると、凛にジェスチャーした。

「俺に構うな!」
「で、でも……」

 凛は攻撃を躊躇う。
 凛の技術なら、ナイフを引かれる前に倒すことも可能であったが、失敗するリスクもある。
 出発前にウキウキでサインを求めてきた姿を思い出すと、凛はどうしても、リスクを負って動くことはできなかった。

 しかし、そこで反対側から冒険者の人達が走って来た。

「おーい、俺達も手を貸すぞ」

 冒険者達の登場で、ジェネラル・ゴブリンの意識が一瞬そちらに向いたその隙を、凛は逃さなかった。
 教官にしがみついているゴブリンに石礫を発射して、その頭部を吹っ飛ばす。

「ナイス援護」

 人質を取っていたゴブリンを始末した凛は、ジェネラル・ゴブリンに向かって改めて大剣を振り下ろす。
 遅れてジェネラル・ゴブリンは人質を潰されたことに気付くが、その時にはもう大剣が目の前に迫っているところだった。
 ジェネラル・ゴブリンはあっけなく斬り伏され、討伐が完了する。

「助かったわ」
「?」

 凛がお礼を言うと、状況を理解していなかった冒険者達は首を傾げた。
 そこで教官が手を叩いて、注目を集める。

「まだ残党が残ってる。すぐに雑魚狩りに移ろう。凛さん。このお礼は後で改めてさせてくれ」

 ジェネラル・ゴブリンが死んだことで、残ったゴブリン達は統率を失い、逃げ惑っている。
 放っておくと、また群れが出来る為、早急に対処しなければならなかった。

「さ、俺が言えた義理じゃないが、最後まで気は抜くなよ」

 冒険者達はすぐに雑魚狩りを始めた。



 凛は持ち場が違うとのことで、一足先に元の担当場所へと戻った。
 丘の上にいた玖音達のところへと駆け寄る。

「おーい、ボスも倒して来たわよー……って、何してんのぉー!?」

 やってきた凛は、玖音達の足元に転がっていたアラン達の死体を見て、絶叫する。

「襲ってきたから、返り討ちにしてやったのじゃ。こいつはラピス一人で倒したのじゃぞ」

 玖音は褒めてやれと言わんばかりの口振りで、凛に報告する。

「殺しちゃってんじゃないのっ」
「殺しにかかって来たのじゃから、当然じゃろ? この前は主も、散々殺っておったではないか」
「あれは裏社会の人間でしょーが。あー、もうー」

 凛は頭を抱える。
 相手から襲って来たとはいえ、息の根まで止めてしまうのは、この世界でも過剰防衛と判断されてもおかしくなかった。

「……夜逃げしましょう」

 凛は面倒なことになる前にと、またしても夜逃げすることを決めた。
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