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第四章
61話 栄養剤
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少し留まることとなり、凛はガーネットを置いて小屋を出た。
ユーリスを探しながら、周りを見て回る。
ドリアードの村は、どの建物も木を刳り抜いて作られており、畑も多く、植物に溢れた自然豊かな景観をしていた。
目に優しい光景だが、村のドリアードが凛に向けられる視線は厳しい。
表向きでは持て成しをしているものの、本音のところは歓迎していなかった。
凛は若干居心地の悪い視線に耐えながらも歩いていると、畑で野菜の世話をしているユーリスを発見する。
「ユーリスちゃん何やってるの?」
「あ、凛。今ね、野菜のお世話してるの。ここ私の菜園ー」
ユーリスは自慢するように菜園を見せびらかす。
彼女だけは、のほほんとしていて、敵意が全く見えなかった。
「へー、いいわね。私も最近、農業始めたから、こういうの結構興味あるわ」
「そうなんだっ。何育ててるの?」
凛が何気なしに言うと、ユーリスは食い気味に訊いてきた。
「色々よ。トマトやニンジン、ジャガイモにピーマンとか」
「始めたばっかで? 初めは簡単なのからやって、少しづつステップアップして行った方がいいよ。例えば韮や紫蘇とか。その二つは放っておくだけでも育つから、失敗は殆どないんだ。簡単なやつからやっていけば、できなくて諦めちゃうこともないし、成功が励みになって、やる気も出てくるからお勧め」
ユーリスは饒舌に語る。
のほほんとしていた、さっきまでの様子とは全然違っていた。
「めっちゃ喋るわね……。農作業好きなの?」
「うん! 植物育てるの全部好き。育ててる時が一番楽しいの」
ユーリスは満面の笑みで答えた。
(可愛い……)
眩しいくらいの明るい笑顔を受け、凛は胸がときめく。
これまでのぼーっとした顔からのギャップが、非常に破壊力が高かった。
「韮と紫蘇だけど、私もちょっと育ててるから、株分けてあげる」
「あ、気持ちは嬉しいけど、今、畑の敷地一杯だから」
「一杯? ……ちゃんと育ってるの?」
「ええ、栄養剤ぶち込んだから、一応順調に育ってるわよ」
「栄養剤入れたからって、そんな簡単に育つようにはならないよ。高級品なら別だけど」
「実は結構いいやつ使ってるのよ。そうだ。ユーリスちゃんの畑にも分けてあげるわ」
凛はシェルターミラー内から、作り置きしてあった栄養剤のタンクを取り出して、勝手に畑に撒き始める。
「あ、ちょっと……」
ユーリスが止めようとするが、それよりも先に通り掛かったドリアードが声を上げる。
「貴様、何をやっている! 遂に尻尾を出したな!」
そのドリアードが激しい剣幕で、凛に掴みかかって来る。
「な、何?」
「畑に毒を巻いて、我々を全滅させようとしたのだろ!」
「ちがっ、これただの栄養剤っ」
「嘘をつくな!」
揉み合っていると、凛が手を滑らせ、タンクが宙を舞った。
タンクからは栄養剤が漏れ出し、揉み合っていたドリアードの身体へと浴びせられる。
「きゃああああ、毒がっ! 私はもう駄目だ。みんな、こいつを取り押さえてくれ!」
すると、悲鳴を聞いたドリアード達が一斉に、凛に向かって走って来る。
「ちょっ、毒じゃないんだって、ほんとにっ」
大勢のドリアード達によって凛は取り押さえられるが、その時、栄養剤がかかったドリアードが声を上げる。
「ふぉおおおお! 何だこれは?!」
「ど、どうした!? 大丈夫か? すぐに洗浄を……」
「力が漲る……。これ、毒じゃないぞ」
栄養剤をかけられたドリアードは、溌剌とした顔をしており、肌の艶も良く、見るからに活力が漲っている様子だった。
毒ではないようだったので、ドリアード達は何だったのかと凛に視線を向ける。
「だから言ってるじゃない。ただの栄養剤だって」
「何処が、ただの栄養剤なんだ。明らかに違うぞ」
そこでドリアードの一人が、落ちていたタンクに付着していた栄養剤を指ですくって確かめる。
「これは、最高級の栄養剤じゃないか……!」
ドリアードが驚愕していると、畑の野菜を見ていたユーリスが声を上げる。
「凄い……! みんな凄く元気になってる!」
畑に撒かれた栄養剤は、もう効果を発揮しており、作物の色艶が凄まじく良くなっていた。
元気溌剌となったドリアードが凛に問う。
「何故、このような高級なものを?」
「余ってたから、分けてあげようと思って。貴方達もいる?」
凛が栄養剤のタンクをもう一個取り出して言うと、ドリアード達はきょとんとして顔を見合わせる。
「一体、何が目的なんだ?」
「普通のお裾分けよ。持て成してくれたから、お返しにって」
凛は少しでも外部の者への嫌悪感を薄れさせようと、友好的な態度を取る。
しかし、品があまりにも高価だった為、ドリアード達は逆に何か裏があるのではないかと警戒を強める。
「……」
「……」
硬直したまま、何故か睨み合いみたいな状態となる。
差し出した栄養剤を受け取ってもらえず、凛はどうしようかと思っていると、突然、入口の方から爆発音が鳴り響いた。
ユーリスを探しながら、周りを見て回る。
ドリアードの村は、どの建物も木を刳り抜いて作られており、畑も多く、植物に溢れた自然豊かな景観をしていた。
目に優しい光景だが、村のドリアードが凛に向けられる視線は厳しい。
表向きでは持て成しをしているものの、本音のところは歓迎していなかった。
凛は若干居心地の悪い視線に耐えながらも歩いていると、畑で野菜の世話をしているユーリスを発見する。
「ユーリスちゃん何やってるの?」
「あ、凛。今ね、野菜のお世話してるの。ここ私の菜園ー」
ユーリスは自慢するように菜園を見せびらかす。
彼女だけは、のほほんとしていて、敵意が全く見えなかった。
「へー、いいわね。私も最近、農業始めたから、こういうの結構興味あるわ」
「そうなんだっ。何育ててるの?」
凛が何気なしに言うと、ユーリスは食い気味に訊いてきた。
「色々よ。トマトやニンジン、ジャガイモにピーマンとか」
「始めたばっかで? 初めは簡単なのからやって、少しづつステップアップして行った方がいいよ。例えば韮や紫蘇とか。その二つは放っておくだけでも育つから、失敗は殆どないんだ。簡単なやつからやっていけば、できなくて諦めちゃうこともないし、成功が励みになって、やる気も出てくるからお勧め」
ユーリスは饒舌に語る。
のほほんとしていた、さっきまでの様子とは全然違っていた。
「めっちゃ喋るわね……。農作業好きなの?」
「うん! 植物育てるの全部好き。育ててる時が一番楽しいの」
ユーリスは満面の笑みで答えた。
(可愛い……)
眩しいくらいの明るい笑顔を受け、凛は胸がときめく。
これまでのぼーっとした顔からのギャップが、非常に破壊力が高かった。
「韮と紫蘇だけど、私もちょっと育ててるから、株分けてあげる」
「あ、気持ちは嬉しいけど、今、畑の敷地一杯だから」
「一杯? ……ちゃんと育ってるの?」
「ええ、栄養剤ぶち込んだから、一応順調に育ってるわよ」
「栄養剤入れたからって、そんな簡単に育つようにはならないよ。高級品なら別だけど」
「実は結構いいやつ使ってるのよ。そうだ。ユーリスちゃんの畑にも分けてあげるわ」
凛はシェルターミラー内から、作り置きしてあった栄養剤のタンクを取り出して、勝手に畑に撒き始める。
「あ、ちょっと……」
ユーリスが止めようとするが、それよりも先に通り掛かったドリアードが声を上げる。
「貴様、何をやっている! 遂に尻尾を出したな!」
そのドリアードが激しい剣幕で、凛に掴みかかって来る。
「な、何?」
「畑に毒を巻いて、我々を全滅させようとしたのだろ!」
「ちがっ、これただの栄養剤っ」
「嘘をつくな!」
揉み合っていると、凛が手を滑らせ、タンクが宙を舞った。
タンクからは栄養剤が漏れ出し、揉み合っていたドリアードの身体へと浴びせられる。
「きゃああああ、毒がっ! 私はもう駄目だ。みんな、こいつを取り押さえてくれ!」
すると、悲鳴を聞いたドリアード達が一斉に、凛に向かって走って来る。
「ちょっ、毒じゃないんだって、ほんとにっ」
大勢のドリアード達によって凛は取り押さえられるが、その時、栄養剤がかかったドリアードが声を上げる。
「ふぉおおおお! 何だこれは?!」
「ど、どうした!? 大丈夫か? すぐに洗浄を……」
「力が漲る……。これ、毒じゃないぞ」
栄養剤をかけられたドリアードは、溌剌とした顔をしており、肌の艶も良く、見るからに活力が漲っている様子だった。
毒ではないようだったので、ドリアード達は何だったのかと凛に視線を向ける。
「だから言ってるじゃない。ただの栄養剤だって」
「何処が、ただの栄養剤なんだ。明らかに違うぞ」
そこでドリアードの一人が、落ちていたタンクに付着していた栄養剤を指ですくって確かめる。
「これは、最高級の栄養剤じゃないか……!」
ドリアードが驚愕していると、畑の野菜を見ていたユーリスが声を上げる。
「凄い……! みんな凄く元気になってる!」
畑に撒かれた栄養剤は、もう効果を発揮しており、作物の色艶が凄まじく良くなっていた。
元気溌剌となったドリアードが凛に問う。
「何故、このような高級なものを?」
「余ってたから、分けてあげようと思って。貴方達もいる?」
凛が栄養剤のタンクをもう一個取り出して言うと、ドリアード達はきょとんとして顔を見合わせる。
「一体、何が目的なんだ?」
「普通のお裾分けよ。持て成してくれたから、お返しにって」
凛は少しでも外部の者への嫌悪感を薄れさせようと、友好的な態度を取る。
しかし、品があまりにも高価だった為、ドリアード達は逆に何か裏があるのではないかと警戒を強める。
「……」
「……」
硬直したまま、何故か睨み合いみたいな状態となる。
差し出した栄養剤を受け取ってもらえず、凛はどうしようかと思っていると、突然、入口の方から爆発音が鳴り響いた。
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