[改稿版]これは百貨店で働く俺の話なんだけど

だいきち

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 甘えた吐息が出てしまうのが恥ずかしくて、口塞いでて欲しかった。それなのに、柴崎はキスを求める旭に小さく笑って焦らすのだ。
 
「んぃ、…っあ、あっ」
「もちっと待って、キスしたら、お前の顔が見えなくなるだろ。」
「み、みぁ…い、で、っ」
「やだよ、だって…、こうなったお前、すげえんだもん。」
 
 熱い吐息を漏らした柴崎の表情の方が、いやらしいと思った。
 旭は涙でぼやける視界の中、先ほどから柴崎の指先によって何度も性感を煽られていた。
 入り口ではないはずのそこに差し込まれた二本の柴崎の指は、内壁をくすぐるようにして、先ほどから慎重に旭の狭いそこを馴染ませる。
 しこりらしきものを指先でかすめられ、ぶぴゅ、とはしたない音を立てて精液を吹き零してからは、ピンポイントにそこを刺激され、旭のそこはじゅくりと熟れてしまった。
 額に口付けられ、ゆっくりと柴崎の指の三本目を飲み込んでいく。縁がひりついて少しだけ痛い。それでも、柴崎のを受け入れることが出来るのなら、耐えられない痛みではなかった。
 
「痛い?」
「へ、…ぃき…っ」
「もちっと、頑張れるか。」
「ん、」
 
 柴崎の唇が耳元に触れて、お伺いをたてる癖に、柔らかく耳まで喰むのだ。
 心配だけど、欲は抑えられんと言わんばかりのあべこべな柴崎の情緒が可愛くて、旭は主導権は自分にあったのかと勘違いしてしまうくらいには、仄かな悦のようなものを感じた。
 旭の細い足が、ゆっくりと柴崎の腰を挟む。わかっていてやったくせに、柴崎の瞳が細まったのを見て、やらかしたと思った。
 
「煽るにしても、タイミング悪い。」
「え、ぁ」
「俺が、どれだけ我慢してると思ってんの。」
 
 少しだけ辛そうな声色で言われる。
 眉を寄せ、何か飲み込み辛いものを嚥下するかのような表情をした後、柴崎は旭の手をとった。
 大きな掌が、割り開くようにして旭の手を開かせる。そのまま誘導するかのように旭の手が連れていかれたのは、柴崎の熱を帯びる場所であった。
 指先が、柴崎の下肢にあたる。まるで形を確かめるかのように手を添えらえると、柴崎が旭の頬に口付けた。
 
「わかった?」
「わ、わかっ、た…」
 
 ただでさえ頭が溶けかけていると言うのに、柴崎の熱く、膨らんだそこに手を押しつけられたのだ。
 それだけの行為で、旭の体は分かりやすく震え、吐息混じりにあえかな声を漏らしてしまった。
 旭の指先が、柴崎の下腹部の血管を辿るようにして、下着の縁に添えられる。甘く頬を啄むような口付けをされながら、旭は柴崎の下着の中に手を差し込んだ。
 
「ん、」
 
 少しだけ、柴崎の声が漏れた。それだけで、背筋が痺れてしまいそうだった。
 指先が、茂みを越えて性器に触れた。つるりとした先端から滲んだ先走りを塗り広げるように、ゆっくりと手で柔らかく包んだ後、形を確かめるようにして柴崎の性器を取り出した。
 
「えっち。」
「う、うるさい、」
 
 がじりと頬に歯を立てられる。火傷しそうなほどに熱を帯びた柴崎の大きなそれに、本当に入るのだろうかと少しだけ狼狽えた。
 それも、柴崎が再び旭の蕾をゆるく刺激したことで霧散してしまったが。
 
「ぁ、っ」
「一回、入れてんから。」
「ふ、ぅ、うっ…ま、まっ、て、」
「入るよ。だけど、ごめん。」
「へぁ、っ」
 
 旭の膝がびくりと跳ねた。柴崎が掬い上げるようにして旭の膝裏に手を回すと、ぐっと体を折り曲げられる。持ち上がった尻、その隙間に押しつけられた柴崎の熱い性器に、小さく息を飲んだ。
 
 
「もう、無理。」
 
 柴崎が、熱の灯る瞳で旭を見つめた。その瞬間であった。
 
「ふ、ぅ、ぅう、うっ…!」
 
 ヒュ、と旭が喉を鳴らした。突然酸素が鋭く肺を満たし、全身の細胞が沸き立ったような気がした。熱が、旭の内壁を押し広げるかのようにして、ゆっくりと侵入してくる。

 今から入れるよ、とか言ってくれよ。

 旭は目の奥からじんわりと涙を滲ませると、そんなことを思った。そして、あの時のごめんは、つまりはこう言ったことかと理解した。
 
「ひゃ、ゃ、ゃあ、ま、まっ、て、ぁ、まって、まっ、」
「やだ、」
「ゃら、ゃ、やあ、あ、ぁつ、い…っ!」
「うん、」
 
 ヒック、と喉が震えた。柴崎が侵入してくるだけで、旭の体が雌になっていくのがわかるのだ。
 こんな、辛い快感は知らない。勝手に涙が出てきて、口からは自分のものじゃないように甘えた声が出てしまう。それが恥ずかしくて口を真一文字に結べば、今度は息ができないから、結局また情けなく鳴き声を漏らしてしまう。
 柴崎の大きな掌が、旭の後頭部に回って抱き込まれる。唇が触れた柴崎の肩口に歯を立てれば、宥めるように頭を撫でられた。
 
「お、ぉれ…っ、待って、ってぃ、いっ、たぁ…っ…ふ、ぅ、う…っ…」
「無理だって、言ったろ…くそ、」
「ぉ、おなか、…く、ぅし…っ…」
「ごめん、…でも、」
 
 はふはふと苦しげに呼吸をしながら、旭はしっかりと抱き込まれた柴崎の腕の中で、縋るように背中に手を回す。柴崎の声が濡れている。この人は、感じるとこんな声を出すのだと、ぼんやりする思考の合間に、そんなことを思った。
 
「ずっと、こうしたかった。」
「ず、ずるぃ…」
 
 旭の頬に頬をすり寄せながら、そんなことを言う。
 こんなのずるい、そんなこと言われてしまったら、可愛いと思ってしまうじゃないか。
 旭の蕾も、腹の内側も容赦なく広げる柴崎の性器は全くもって可愛くないのに、本当にこの人はずるい。
 
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