だいきちの拙作ごった煮短編集

だいきち

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ヤンキー、お山の総大将に拾われる~理不尽が俺に婚姻届押し付けてきた件について~

大天狗だって甘えたい 2

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 なんで蘇芳がそんなことを言い出したのか。それはいたって単純なことで、ここ最近は琥珀と幸に天嘉との時間を取られ、以前のように夫婦としての触れ合いも無くなってしまっていたことが原因である。
 
 顔が熱い。蘇芳はまるで、これは一世一代の告白だと言わんばかりに天嘉の腹に腕を回す。壁ドンならぬ、箪笥ドンはやめたが、今度は天嘉を引き寄せるようにして膝に乗せる。随分と座り心地の悪いソファだなあ。天嘉がそんなことを思っているとは露知らず、蘇芳うは未だモゴモゴと聞き取りにくい発言を繰り返した。
 
「琥珀も寝た。幸も帰った。ならば順番的に次は俺だろう。というか、俺しかいないだろう。」
 
 そんな具合に、我の強いおねだりをする割には、言葉尻はどんどんと尻すぼみになっていく。天嘉はしばらくの間思考の停止に落ちいっていたのだが、ぎゅ、と蘇芳の腕に力が入ったことに気がつくと、唇をキュッと引き結ぶ。
 
「…寂しかっ、」
「寂しくなどないわ。」
「すげえ食い気味に言うじゃん…」
 
 間髪を容れずにこれだ。肩口でしおらしくしている蘇芳の頭をワシワシと撫でる。なんとなくこうしてやると喜ぶと思ったのだ。
 
「鳥なのに、犬なんだもんなあ。」
「天狗だ。」
「ああ、そうな。」
 
 ようやく顔を上げたかと思ったら、蘇芳が黄昏色の瞳を真っ直ぐに向けてくる。天嘉はそっと顔を寄せて口付けをしようかと思ったのだが、こんなふうに抱きしめられていてはそれもできない。鼻先がチョンと触れただけでお預けとなってしまったのが嫌だったらしい。蘇芳の眉間の合間にぐっと皺がよると、それが面白くて天嘉は思わず吹き出してしまった。
 
「…天嘉。お前な…。」
「ぶふっ…ふは、わ、ごめん、ごめんってわかったから!」
「もう知るものか。俺は俺の好きなようにする。お預けはもうごめんだからな。」
 
 悔しそうに頬を染めながら見上げていたかと思うと、蘇芳は軽々と天嘉を持ち上げた。いわゆるお姫様だっこというやつで、そのまま座布団を敷いてあるところまで運んでくると、蘇芳はどかりとあぐらをかいた膝の上に天嘉を座らせた。
 
「すっげえ満足そうな顔…」
「異論は認めぬ。ほら、唇をよこすがいい。」
「なんかお前いつにもまし、んん…っ」
 
 いつにも増して不遜じゃん。その言葉は丸ごと蘇芳によって食べられた。べろりと肉厚で、そして欲を孕んだ蘇芳の舌が天嘉の唇の上に這わされる。そのまま頬を引き寄せられ、口付けを深くされると、天嘉はそのひさしぶりの感覚にふるりと身を震わした。
 
「っ、…ん…、これ、も…久しぶり。」
 
 ちゅ、と小さな水音を立てて唇が離れた。蘇芳は興奮を隠そうともせずに、天嘉の尻を持ち上げるようにして熱い性器を押し付けてくる。
 コツンと額が重なって、すり、と鼻先が擦り合わされる。たった一度の口付けで、腹の奥に火が灯る。二度目の口付けは、天嘉が蘇芳の頭を引き寄せるかのようにして唇を重ねた。
 
「天、…ん、お前からの口づけは嬉しい。」
「サービスしてやったんだよ、」
「さあび…なるほど。」
 
 絶対意味はわかっていなさそうだ。天嘉は小さく噴き出すと、もう一度喰むように蘇芳の唇を柔く吸った。
 
「ん、…ふ、」
 
 少しだけカサついていて、唇同士を押しつけるたびに、少しずつ濡れて馴染んでいく。差し込まれた舌はお伺いを立てるように優しく天嘉の舌裏を掬い上げ、そうしてちゅっと柔らかく口に含まれる。
 
 蘇芳の口づけは、ずるいと思う。天嘉は毎回、その先をねだってしまうように身を震わしてしまうのに、蘇芳は呼気さえも甘く感じてしまうような優しい啄みをしながら、時折舌先に欲情を乗せる。
 
「ふ、ぅあ…」
「はあ、いささかキツくなってきた。」
「ん、すげ…熱いのあたってる。」
 
 天嘉の尻の下には、その軟肉を押し上げるようにして蘇芳の性器が押しつけられている。薄い浴衣しか着ていない。だからこそ、布ごしの昂りは顕著にわかる。
 天嘉の細腕が蘇芳の首に絡まった。結ばれていた長い黒髪をそっと解くと、梳くようにして髪を撫でる。
 
「ん、天嘉…いいか。」
「琥珀が起きたら、そっちいくからな。」
「久方ぶりだ。きっとすぐに終わる。」
 
 冗談混じりにそんなことを言う蘇芳に、天嘉も少しだけ笑う。座敷の扉は閉じられて、少しだけ薄暗い。天嘉だって、したくない訳じゃなかった。だけど、蘇芳の気遣いと、そしてまだ琥珀に手がかかっていた為に、誘おうにも寝落ちしてしまうことが自然と多くなってしまっていたのだ。
 
 蘇芳の腰にまたがるようにして、天嘉がそっと組み敷くような形をとる。鶸萌黄色の畳に広がる射干玉の黒髪が美しい。蘇芳は面食らったように天嘉を見上げると、その喉仏をこくりと上下させた。
 
「天嘉…?」
「俺も、男なんだよ。蘇芳。」
 
 腰に跨った天嘉の柔らかな尻が、押しつけるように性器の上に乗せられる。積極的なのは大変に宜しいが、蘇芳はこの体制が気になって仕方がない。なんだか食われてしまいそうな気配さえする。いや、いい。実に宜しい。天嘉は蘇芳の目の前で着物から袖を抜いて、上体を晒した。
 
「天、…っ、おま、…」
「あ、っは…すげ、かってぇの…」
 
 状態を前に倒して、蘇芳を見下ろした天嘉の手が、下履きから性器を取り出す。まさかこんな積極的になってくれるとは思わなくて、蘇芳は思わず合掌しそうになった。嫁がこんなにも俺を喜ばせる。きっといい子にしていたからに違いない。いやらしく育った嫁に喜ばぬ旦那なんて、きっとこの世にいるはずがない。蘇芳は天嘉の小さな手のひらに包まれた性器をひとまわり膨らませると、その小ぶりな尻を鷲掴んだ。
 
「やけに積極的じゃないか、お前も俺と同じだったと、期待してもいいのか。」
「今日はお前が可愛かったから、まあいいかなって。」
「何を言う。俺はいつも可愛いだろうが。」
「んぁ、…うるせえなあもう…」
 
 楽しそうに笑う嫁が大変可愛らしい。蘇芳の頬に口付けた天嘉は、どうやら今日は主導権を握る気らしい。後ろでに先走りを塗り込むようににゅくりと手を動かすと、ピクンと反応した蘇芳を誉めるように瞼に口付けた。
 
 もしかしたら、これは白昼夢というやつなのかもしれない。蘇芳はそんなばかなことを思いながら、そっと腰を押しつける。戯れるようにあぐりと首筋を甘噛みされれば、このいやらしい時間がずっと続けばいいのにとアホなことを思った。
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