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1巻
1-3
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「気持ちよくなりすぎてバカになるってことだ。俺が奈津に本当に気持ちいいことを教えてやった、初めての男だな」
「う……、は、はい」
こめかみにちゅっとキスをされて、奈津は顔を熱くしながら小さく頷いた。そんなこと、口に出して言わなくてもいいのに。
でも、「初めて」という言葉にきゅんとときめいたのも事実。今まで知らなかったことを真山にたくさん教えてもらって、彼の色に染まりつつある自分が少しくすぐったい。
「なぁ、奈津」
「……なんですか?」
隣にごろんと横になった真山が、奈津に腕枕をしてぐいっと引き寄せた。そして自由になったほうの手を使い、まだ絶頂の余韻が残る体をいやらしい手つきで撫で回す。やわやわと胸を揉み、脇腹を撫で、小さな臍のくぼみを伝っていく手に、奈津は思わず声を上げてしまった。
「……んっ」
一度落ち着いた官能を呼び覚まそうとするようなその動きに、お腹の奥で燻っていた種火がまた激しく燃え始める。
「ふぁっ……あ、……んっ……」
「奈津、可愛い」
いつしか真山の手は、奈津が唯一まとっている小さな布地へと到達していた。ぐちゃぐちゃに濡れそぼっているそこを繊細なタッチで揉まれると、奈津は腰が砕けたみたいに力が抜ける。
だから、その隙に真山に片足を拘束されて思いっきり足を広げられたことにも気付くのが遅れてしまった。
「課長……っ、それ恥ずかし……っ!」
「恥ずかしいほうが気持ちよくなれるだろ? ほら、濡れたパンツが張り付いて、穴の形まで全部見えてる」
ここだろ? と言いながら真山の長い指がショーツのある箇所を押す。過敏になっている部分に食い込んだ指の感触に、奈津は身を震わせて悶えた。
「……えっ、やだ、見ないで……っ」
「今さらそんなお願い聞くと思ってるのか? ほら、奈津の小さい穴がさっきからヒクヒクしてる。こんなに小さくて、ちゃんと俺の物が入るのか心配だな」
「や……、あぁんっ」
奈津の耳元に顔を近付けた真山が吐息を漏らしてかすかに笑った気配がして、奈津はぶるりと体を震わせた。息を吹きかけるようにささやかれるたびに熱い吐息が首筋をくすぐり、悪寒にも似たゾクゾクとする感覚に翻弄される。
「ちゃんと入るように、ここをしっかりほぐしてやるからな」
クロッチをずらした真山の指が奈津のぬかるみにぴたりと当てられた。
すでにとろとろになっていたそこは侵入者を誘うように蕩け、つぷんと埋め込まれた指を優しく包み込む。
「ん……っ!」
太い指が奥へ奥へと進む衝撃に声を上げそうになったが、その声が音となる前に真山の唇に口を塞がれた。真山の舌がゆっくりと咥内を掻き回し、それと同時に二本の指が膣内を進む。声すらも満足に上げられず、片手は指を絡めて拘束されている。両方の口も塞がれてしまっていて、奈津は磔にでもされた気分だ。
「聞こえるか? ぐちゅぐちゅ言ってる」
ふいに唇を離した真山が奈津にささやいた。そして奈津に聞かせるためだけに指を動かすと、空気と混ざった愛液がぐぷぐぷといやらしい音を立てる。
「やっ、やだ、聞きたくな……」
「駄目だ。奈津が気持ちよくなっている音だろ? こら、耳を塞ぐんじゃない」
奈津は自らの下肢が立てる卑猥な音を聞きたくなくて、自由になっているほうの手を耳に当てた。しかしすぐにその手も真山によって簡単にひとまとめにされてベッドへと押し付けられてしまう。
「悪さをする手はこうしておこうな」
「やんっ、……あっ、もう、いじわる……しないでっ」
奈津の瞳からぽとんと水滴が零れ落ちた。別に悲しかった訳ではない。多分これは快感のための生理的な涙。滲む視界の中で、激しく指を動かす真山が美味しそうに涙を舐めとっている。
真山がこんなに意地悪だったなんて知らなかった。仕事に関しては厳しいが、それ以外はいつも優しくて物腰の柔らかい人だったのに。こうやって一番近いところにやってきた途端に牙を剥くなんて酷い。
「なんでだ、すごく優しいだろ? 今だって、ほら」
「ふあああぁっ!」
奈津の中でなにかを探すように動いていた指がある一点を掠めた途端、そこから痺れるような感覚が伝わった。無意識のうちに腰が跳ねる。
「やっ、……あ、……な、なに?」
「ここが奈津のイイところなんだな。わかるか? この腫れてるところを擦られると気持ちいいだろう?」
「あっ、やっ、そこ……! ぁっ……あぁっ……!」
自由にならない体をくねらせて奈津が悶える。くちゅくちゅと音を立てながら、優しい動きで刺激される。奈津が気付かない間に、いつの間にか指は三本に増えていた。
「やっ……こわい、またきちゃうのっ! あッ……、ああぁんっ!」
入り口近くのお腹側にあるその場所を何度もこりこりと攻められ、さらに感じやすくなっている花芯まで親指で押し潰された奈津はすぐに高みに上り詰めた。真山の太い指を締め付けながら、またなにも考えられなくなる。その最中も執拗に指で刺激され、開きっぱなしになった口からは意味を成さない喘ぎ声だけが漏れ出ていた。
やっと奈津の呼吸が落ち着いた頃、真山の指がずるりと体内から出ていく。その刺激にすら小さく声を上げて反応してしまい、自分の感じやすさに泣きたくなった。
「ほら、優しかっただろ。ちゃんと気持ちよくなったもんな?」
「ぅ……、……は、い」
気持ちよかった、けど全然優しくなんかない。ずっと真山のペースで快楽漬けにされている。
しかし立て続けに絶頂に導かれた奈津には反論する気力などなく、ぼうっとしながら素直に頷く。その従順な返答を聞いて満足げに笑った真山は、力なく投げ出された奈津の足からショーツを引き抜いた。散々いじり倒されたショーツは様々な水分を吸収してしっとりと重い。
彼はそれを恍惚とした表情で眺め、あとで回収してコレクションに加えるために枕の下に押し込んだのだが、この時の奈津は知るよしもなかった。
それから真山は目の前で蜜を零し続ける花に、ふたたびむしゃぶりつく。
「あぅ! ……ア、あぁっ! もうやだっ、むり……!」
「大丈夫、女は何回でもイケるから。ほら、もっかいイッとけ」
「やぁあんっ!」
真山の舌がぷっくりと腫れ上がった小さな花芽を捉える。真っ赤に充血したそれをクリクリと刺激され、奈津は切なくなって悲鳴を上げ続けた。
「あ、あああっ……!」
あれから一体どれだけ経ったのか。もう何回目かわからない白い光が目の前でスパークした。
元々経験が少ない上、数年ぶりの性交渉だというのに何度も上り詰め、奈津はすでに息も絶え絶えだ。はくはくと口を動かして、部屋に漂う濃密な空気を取り込む。
いつの間にか下着を脱がされていたあたりから奈津の記憶は途切れ途切れだ。丁寧に皮を剥いた小さな芽を舌で直に扱きながら、とろりと蕩けた蜜壺を刺激されて何度も絶頂に導かれた。意識が飛びそうになると痛いくらいに胸の先を摘んで現実に引き戻される。最後にはそれさえも快感として認識するようになった自分が恐ろしい。
「奈津、大丈夫か?」
「んっ……はい……」
ゆるゆると体内を刺激している真山に優しく問いかけられる。労るように額にキスをされ、汗で張り付いた前髪も丁寧に払ってくれた。すべてを忘れてしまうような快感の合間のこんな穏やかな触れ合いは、奈津にとって砂糖菓子のように甘いご褒美だ。少し前の奈津なら、ずっとこうしているだけで満足だっただろう。
しかし短時間ですっかり開発されてしまった奈津の体は、さっきからずっと決定的ななにかが足りないと悲鳴を上げ続けている。体の奥の奥が疼いて仕方ないのだ。
指より長いものでなくては届かない、もっと深いところ。指より太いものでなくては得られない、圧迫感。無意識のうちに腰が揺れ、いまだ挿入されたままの真山の指をきゅうきゅうと締め付ける。
「ね、おねがっ……はぁ……あ……、もう、助けてっ……」
「どうして欲しいんだ? 言ってくれないとわからない」
ぐちゅ、と音を立ててふたたび指が動き始める。
「やだぁっ! それじゃない! それじゃないのぉ! それじゃ、なくって……!」
「じゃあ、なにが欲しいんだ。言えるだろう?」
欲しいもの。奈津の頭が淫らな欲求でいっぱいになる。
なにが欲しいかと聞かれたら、それは一つしかない。もっと太くて、長くて、さっきからぬるぬるとした先走りを奈津の太ももに塗りつけている――
「……くだ……い」
「聞こえない」
「か、課長の……」
「もっと大きな声で」
「……課長のっ、太くて、大きなものを……下さいっ」
もうこれ以上なにも考えられない。寂しくて仕方ないと涙を流し続ける蜜壺を満たして欲しいという一心で、奈津は恥も外聞もかなぐり捨てて叫んだ。
焦らされ続けた体は熱を持て余してぴくぴくと震え、頭の中は回路が焼き切れてしまったみたいに思考が停止している。
「上出来だ」
よく躾けられた犬に対するかのように褒められて、奈津はその言葉に安堵のため息を零した。やっと欲しかったものが与えられる、そう思ったのに――
ベッドサイドのチェストに手を伸ばしかけた真山が、一瞬躊躇ってから手を止めて、もう一度奈津の足を抱え直す。
「悪い……。三年ぶりって言っただろ。今ゴムを持っていない」
どろりと溶けた膣口に、生身の屹立が押し当てられた。ぐぷり、と切っ先を埋めながら、真山が奈津に告げた。
「……え?」
「このままじゃ、避妊できないな。俺はそんな無責任なことはしたくない」
待ち望んでいたはずの熱はすぐに引き抜かれる。そのままドロドロに蕩けた割れ目を縦になぞられ、慎ましく存在する花芯がぎゅうぎゅうと押し潰されると、奈津の体がびくびくと反応する。真っ赤に充血してピンと勃ち上がった小さな肉粒は、可哀想なくらいに敏感だ。
「……えっ? やだ、やだやだやだ! もう……っ!」
真山の汗ばんだ腕を力の入らない手で掴んだ奈津は、むずがる赤子のように首を横に振った。
これ以上焦らされたら頭がおかしくなってしまう。奈津の蜜口はだらしなく愛液を垂れ流し、ひくひくと震えてその硬い肉棒を待ち望んでいる。お腹の奥、子を生すための器官がきゅんきゅんと疼いていて、今すぐめちゃくちゃにしてもらいたい。
「今からコンビニで買って来るから、ちょっと待ってろ」
「嫌っ!」
奈津は思わず叫んだ。ここで放置されるなんて拷問以外のなにものでもない。目の前にある硬いそれを与えて欲しい。
欲しくて、欲しくて。獲物の蝶を捕まえる蜘蛛のように、奈津は細い手足を真山の引き締まった体幹に絡みつかせる。
「なにもいらないから……っ、このまま入れてっ!」
「……いいのか?」
「んっ、なにも……つけなくて……ぁあああああぁぁっ!」
彼は涼やかな目元を淫靡に細めてうっそりと微笑む。その眼差しに隠されているのは、愛しさと、加虐心と、征服欲。――奈津は後で知ったのだが、実はいつか奈津を連れ込んでやろうと思って準備していた避妊具はベッドサイドのチェストの中で眠っていた。しかしそれを使うか使わないか、真山は賭けに出たのである。
蝶を捕まえたと思っていた蜘蛛は、実は罠に掛けられていたのだ。
奈津の愛液をまとって侵入した真山は、引き込むような膣の動きに抗わず一気に奥まで突き入れた。
「あああっ! 課長っ、課長……っ」
「奈津、俺の名前知ってるだろ。言ってみろ」
「きょう、すけさん……っ、は、ぁあっ!」
「いい子だな」
今まで自分でも知らなかった弱い部分を中心に、膣壁を削り取るように動かされる。
あまりの快感に思わず逃げようとすると、強い力で骨盤を固定して何度も何度も攻め立てられた。もうなにも考えられなくて、奈津はリミッターが外れたかのように激しい喘ぎ声を上げ続けるしかできない。
「あっ、ぁあんっ……! も、だめ、そこ、ゴリゴリってしちゃだめっ」
「上の口は本当に嘘つきだな。下の口は悦んで呑み込んでるぞ」
「……ふぁあっ、言わ、ないで……」
真山が引き抜こうとするたびに肉襞が追いかけるように絡みつき、突き入れれば歓喜して迎え入れる。そんな奈津に煽られ、真山にもすぐに頂点が見え始める。
「……く、……悪い、そろそろ限界だ」
「あぁっ、イクっ……わたし、も、イッちゃうっ!」
「……いいぞ、何度でもイけ」
「…………っぅあああああっ!」
奈津の膣内が断続的に強く痙攣し、真山の屹立をうねるように締め付けた。
つま先をぎゅっと丸め、太ももを強張らせて、一体何度目かわからない高みに上り詰める。一際強く下腹部が押し付けられたと思った瞬間、奈津の一番奥の深いところに熱い迸りが叩きつけられた。
「……奈津、大丈夫か?」
「は、い」
恍惚としたまま荒い息を吐いていた奈津は、労るように問いかけられてゆるりと真山を見つめ返した。
彼の目には今までのような激しさはなく、ただ純粋な心配の色がある。宝物でも扱うかのように優しく頭を撫でられて、奈津は無意識のうちにその手に頭を擦り付けていた。目を閉じると、真山への愛しさが込み上げる。
「お前さ、なんでそういうことするかな?」
「……んっ!」
穏やかな空気が流れ始めていたはずのベッドの上で、真山がふたたび腰をゆらめかせた。その刺激にぴくんと体を震わせた奈津は、悩ましげな吐息を無意識のうちに吐き出していた。奈津の中で力をなくしかけていた真山のそれが、ぐんと大きさを取り戻す。
「え? ……課長、なんでっ」
「恭介、だ。奈津が可愛すぎるのが悪い」
「なにそれ! もうだめ……っ」
そう言いながらも体は正直で、さらにきゅうきゅうと締め付け始める。
その反応に気をよくした真山は下腹部にある、ごわごわとした茂みを擦り合わせ、ばたばたともがく奈津の鎖骨をべろりと舐め上げた。下腹部からは、じゅくん、と粘液が泡立つような音がする。
「安心しろ、ちゃんと責任は取ってやる」
「責任? って、え? ……あれ? も、もしかして中で……っ!?」
途端に血の気が引いた奈津と対照的に、真山は上機嫌で奈津の白い腹に手を当てる。飽きずに奈津の腹を撫でる真山の切れ長の目が綺麗に弧を描いていて、奈津は思わずその顔に見惚れてしまった。
下着泥棒でも、同意なしの中出し野郎でも、一応この人は二年も片想いした真山課長だ。仕事中の真剣な表情を自分のデスクからこっそり盗み見たことは数え切れないくらいある。飲み会で部下に囲まれ目尻を下げて笑っているところも、会場の隅から同僚の肩越しに目に焼き付けていた。その課長が、今最も親密な部分で自分と触れ合っている。
「奈津がつけずにやれって言ったんだぞ。まぁできててもできてなくても、お前を離す気はないから安心しろ。この休み中に奈津の実家に挨拶に行こうな」
「え……、それって」
「式は予約や準備も必要だから、まぁ一年後ってとこか。入籍だけは先にしてもいいな。そのほうが一緒に暮らす時に不動産屋に話を通しやすいだろ。あ、このマンションはすぐ引き払うぞ。隣からだと簡単に侵入できる構造だからセキュリティが心配だったんだ」
侵入したお前がそれを言うなと言いたい。だがそんな突っ込みどころ満載な真山の言葉で、予想もしていなかった展開にぽかんとしていた奈津も冷静さを取り戻した。そして、じわじわとその言葉の意味を理解する。強引な発言とは裏腹に、どこか余裕のなさげな顔をしている男への返答は――
「いや、です」
その瞬間、空気が固まった。甘い雰囲気の中には似つかわしくない拒絶の言葉に、頭の上で小さく息を呑む気配がする。
よしよし、奈津の意図した通りに彼は勘違いしているようだ。
「……プロポーズは後日ちゃんとして下さい。こんな風に裸でぐちゃぐちゃな時は、嫌です」
悪戯が成功したのを確信して、奈津は真山の顔を覗き込んだ。
下着を盗まれ、勝手に中出しをされ――いや確かにゴムを付けずにしていいと許可したのは自分だが、中で出してもいいとは言っていない――さらに下腹部に挿入されたまま求婚されたのだから、このくらいの仕返しは許されるだろう。
真山は呆然と口を開けて、普段のキリリとした表情が嘘みたいに情けない顔をしていた。
そんな様子にほくそ笑んだ奈津だが、次第に表情を取り戻す真山を見て、あ、これはやばい、と血の気が引く。この顔は、理不尽なクレームとキャンセルを繰り返した上に不当な値引きを要求してきた取引先を切り捨てた時の顔と同じだ。真山を手玉に取ろうとしたのを後悔してももう遅い。
「わかった。奈津がそう言うなら俺もやぶさかではない。ベタに夜景の見えるフレンチレストランでタキシードを着て、年の数だけ薔薇の花でも持ってくか。それから給料三ヶ月分のダイヤもいるな。あれは手取りと額面のどっちで計算すればいいんだろうな? 額面でいいか」
一旦要求を呑むところも、仕事の時と一緒。
「課長! そんなのいらないですから!」
「いや、来週レストランを予約しておくから遠慮するな。その代わり――」
「ひゃぅっ!」
ぐるん、と体をひっくり返された。真山に組み敷かれ、ベッドのシーツにべったりと押し付けられる。奈津の耳元に、真山の口が寄せられた。
「俺の気持ちを弄ぶ悪い子には、躾が必要だな?」
怒り狂っているのより遥かに恐ろしい、穏やかな笑顔で死刑宣告をするところも一緒。だが静かなその声の奥には小さな狂気が宿っている。
「ごめんなさいごめんなさいごめんなさい! もうしません!」
「安心しろ。痛いことはしない。むしろ気持ちいいことばかりだ」
それが怖いんです! と言うはずだった奈津の口は、次の瞬間から喘ぎ声しか上げられなくなった。先ほど体内に放った精液を潤滑油にして揺すぶられる。
「一回出したから、今度は余裕があるぞ。日曜までゆっくり楽しもうな?」
「やっ、やだっ……んぁあっ!」
結局明け方まで貪られた後は泥のように眠った。昼前に起きると栄養バランスに優れた食事を与えられ、その後はまたベッドに逆戻り。とはいえ、また改めて肉欲の宴が開幕した訳ではない。
「さっき奈津の寝顔を見ながら抜いてしまったから、さすがにもう出すものがない」
「はぁッ!?」
恐ろしい事実を神妙な顔で告げる真山をとりあえず殴ってから、ベッドの上でじゃれ合うのはとてつもなく幸せだった。
「ねぇ、恭介さん」
「なんだ?」
うっとりと呟く奈津に、甘い声で真山が答える。腕枕をしてもらって髪を撫でられ、ペットの猫ってこんな気持ちなのかな、と奈津は思った。
それに昨日の夜までは「真山課長」と他人行儀に呼んでいたのに、いつの間にか「恭介さん」が定着してしまった。まだ少しくすぐったさが残るものの、こう呼べるのは至上の喜びだ。しかし、とりあえず先に確かめたいことがある。
「昨夜私が脱いだ下着、どこにやりました?」
奈津の髪を撫でている手が一瞬止まった。そして涼しい顔をした真山があからさまに目を逸らす。
現在の奈津の服装はいわゆる彼シャツというやつだ。朝食の前に真山が新しい洋服を貸してくれたのだが、前日につけていたはずの下着は見つからず、代わりに数ヶ月前から行方不明になっていた下着を渡された。
「今私がつけてる下着は、さっきビニール袋から出したものですよね?」
「…………」
返して下さい、この変態! と叫んだ奈津の声は、防音効果の優れているこのマンションにおいて、部屋の外に漏れることはなかった。
6
真山恭介、三十四歳。
入社直後から、そのタフな行動力と冷静な判断力で好成績をキープ。数年間のロンドン勤務を経て、二年前に最年少課長として本社建設機械部門に配属された。将来を嘱望される大手総合商社の若手営業課長である。
趣味は大学時代から続けている登山と、職場の部下の下着鑑賞。特技はネイティブレベルの英会話と、誰にも気付かれず隣家のベランダに侵入することだ。
合コンで披露すれば一発でその場が凍りそうなプロフィールだが、そんな規格外の恭介にも最近恋人ができた。というか昨夜、力業で交際に持ち込んだ。
急転直下の展開に奈津はいまだに目を白黒させているが、そうやって驚いているうちにすべて自分のものにするつもりだ。日頃から部下にはスピード感を持って仕事をしろと言っているのだから、まずは自分で実行しなければならない。
せっかく捕まえた奈津を逃してはいけないとばかりに早速外堀を埋めることにした彼は、今から彼女の両親に挨拶に行くところである。昨夜、事情聴取の続きは日曜で、と警官に指定しておいて正解だった。奈津を手に入れるためにやるべきことを瞬時に計算し、一日の猶予を持たせておいたのだ。
「……なんだか夢みたいです。こうやって恭介さんの隣に座ってるなんて」
初めて座る革張りのシートで小さくなっている奈津はどこか所在なさげだ。そういう控えめなところも好ましいが、恋人になったからには思う存分甘やかして、好きなだけワガママを聞いてやりたいとも思ってしまう。
「これからはその助手席が奈津の定位置だからな。そうだ、夢だと思うなら思いっきり頬をつねってやろうか?」
「や、やだ、やめて下さいっ」
赤信号で止まったタイミングでニヤリと笑って手を伸ばせば、奈津はあたふたと逃げようとしてシートベルトに阻止されていた。ぎゅっと目を瞑った奈津が可愛くて、頬の代わりに軽く鼻を摘んでやる。
「もう! ひどい!」
「鼻声で言っても迫力がないな」
こうして当然のように肌を触れ合わせるコミュニケーションを取れるのも、恋人同士になった故だ。やっと手に入れた恋人を前にして、こんな些細なことにも幸せを感じてしまう。
恭介が奈津に出会ったのは今からちょうど二年前、新任の課長として本社配属になり課員と初めて対面した時だ。アクの強そうな営業部員達に囲まれていたせいか、初対面の印象はあまりない。多分、大人しそうだなと思ったような気がする。
しかし実際に同じ職場で働き始めてからは、奈津に対する印象は「大人しいが仕事はキッチリやる。そして可愛い」に変わった。決して出しゃばらず、声を荒らげることもない。飲み会の席ではいつも隅っこのほうで静かに呑んでいるようなタイプなのに、営業のサポートはピカイチだった。彼女が作る資料は丁寧に要点が整理されており、無茶な日程で発注の依頼を掛けてもなんとか手配をしてくれる。書類の入力も伝票の処理も速い。
一度だけ、かなり強く仕事上のミスを叱責したことがあった。ちょうど、くだらない理由のトラブルが続発していた時期で心の余裕がなく、なかば八つ当たりのように接してしまったのだ。しまったやりすぎた、泣かれるか、とヒヤリとしたが、奈津は瞳を潤ませながら口をぎゅっと結んで、決して泣かずに謝罪した。そういう芯の強さを持ちながらも、いつもにこにこと笑顔を絶やさない。そのおっとりとした優しい声色で「お疲れ様です」と声を掛けられると、本当に疲れが取れる気がする。あぁ、こういう子と家庭を築けたら心癒されるだろうなぁ、いつの間にかそんな未来を夢想するようになっていた。
しかし問題が一つ立ちはだかる。奈津のガードが意外に堅かったのだ。
仕事上の必要事項をやりとりする以外には絶対に自分から近付いてはこないし、タイミングを見計らって恭介から話し掛けてもいつも緊張で身を固くする。他の同僚とは楽しく会話していても、恭介が現れると途端に口数が少なくなる。恭介は勤務中は部下に厳しく接しても、それ以外の時間は親しみやすいフランクな態度であるよう心がけているのだが、奈津にとって自分はまだ心を許せる相手ではないらしい。
ふとした瞬間に好意的な視線を感じることがあるから決して嫌われてはいないと思うが、それに気付いた恭介が振り向くと慌てて目を逸らされてしまう。例えるなら警戒心が強い子猫のようで、下手に距離を縮めると怯えて逃げ出してしまいそうだった。
仕方ない、しばらくはストーカーで我慢するか。
そう決めた恭介は、早速奈津の自宅近くに引っ越すことにした。やはり自宅が離れていると後を尾けるにも不便だし、偶然を装って休日に顔を合わせるのも不自然だ。
奈津は直属の部下であるため、住所は簡単に知ることができる。幸運なことに実家ではなくマンションで一人暮らしだったため、近くの不動産屋に片っ端から駆け込んで、このマンションに住みたいから空きが出たらすぐに連絡が欲しいと予約して回った。最初は不審な目をされたが、身分証と肩書きを見せて「あのマンションは風水的に最高の立地なんだ」と適当に理由を伝えておいたら話はトントン拍子に進んだ。相手の信頼を獲得するための話術はお手の物である。
結局入居するまで一年近く空きを待つことになったが、奇跡的に隣の部屋を契約できたから満足だ。侵入しやすさを考えると、できれば隣か真上、もしくは真下の部屋に入りたかったのだ。
「恭介さん、下着に関しては色々と思うところはありますが、助けて頂いて本当にありがとうございました」
奈津が改まったように頭を下げる。『色々と思うところはある』というのはどういう意味だろう。それはつまり『恥ずかしくて口には出せないけれど、助けたお礼に好きな下着を一枚持って行ってもいいですよ』という意味だろうか。よし、あとで吟味しよう。
「う……、は、はい」
こめかみにちゅっとキスをされて、奈津は顔を熱くしながら小さく頷いた。そんなこと、口に出して言わなくてもいいのに。
でも、「初めて」という言葉にきゅんとときめいたのも事実。今まで知らなかったことを真山にたくさん教えてもらって、彼の色に染まりつつある自分が少しくすぐったい。
「なぁ、奈津」
「……なんですか?」
隣にごろんと横になった真山が、奈津に腕枕をしてぐいっと引き寄せた。そして自由になったほうの手を使い、まだ絶頂の余韻が残る体をいやらしい手つきで撫で回す。やわやわと胸を揉み、脇腹を撫で、小さな臍のくぼみを伝っていく手に、奈津は思わず声を上げてしまった。
「……んっ」
一度落ち着いた官能を呼び覚まそうとするようなその動きに、お腹の奥で燻っていた種火がまた激しく燃え始める。
「ふぁっ……あ、……んっ……」
「奈津、可愛い」
いつしか真山の手は、奈津が唯一まとっている小さな布地へと到達していた。ぐちゃぐちゃに濡れそぼっているそこを繊細なタッチで揉まれると、奈津は腰が砕けたみたいに力が抜ける。
だから、その隙に真山に片足を拘束されて思いっきり足を広げられたことにも気付くのが遅れてしまった。
「課長……っ、それ恥ずかし……っ!」
「恥ずかしいほうが気持ちよくなれるだろ? ほら、濡れたパンツが張り付いて、穴の形まで全部見えてる」
ここだろ? と言いながら真山の長い指がショーツのある箇所を押す。過敏になっている部分に食い込んだ指の感触に、奈津は身を震わせて悶えた。
「……えっ、やだ、見ないで……っ」
「今さらそんなお願い聞くと思ってるのか? ほら、奈津の小さい穴がさっきからヒクヒクしてる。こんなに小さくて、ちゃんと俺の物が入るのか心配だな」
「や……、あぁんっ」
奈津の耳元に顔を近付けた真山が吐息を漏らしてかすかに笑った気配がして、奈津はぶるりと体を震わせた。息を吹きかけるようにささやかれるたびに熱い吐息が首筋をくすぐり、悪寒にも似たゾクゾクとする感覚に翻弄される。
「ちゃんと入るように、ここをしっかりほぐしてやるからな」
クロッチをずらした真山の指が奈津のぬかるみにぴたりと当てられた。
すでにとろとろになっていたそこは侵入者を誘うように蕩け、つぷんと埋め込まれた指を優しく包み込む。
「ん……っ!」
太い指が奥へ奥へと進む衝撃に声を上げそうになったが、その声が音となる前に真山の唇に口を塞がれた。真山の舌がゆっくりと咥内を掻き回し、それと同時に二本の指が膣内を進む。声すらも満足に上げられず、片手は指を絡めて拘束されている。両方の口も塞がれてしまっていて、奈津は磔にでもされた気分だ。
「聞こえるか? ぐちゅぐちゅ言ってる」
ふいに唇を離した真山が奈津にささやいた。そして奈津に聞かせるためだけに指を動かすと、空気と混ざった愛液がぐぷぐぷといやらしい音を立てる。
「やっ、やだ、聞きたくな……」
「駄目だ。奈津が気持ちよくなっている音だろ? こら、耳を塞ぐんじゃない」
奈津は自らの下肢が立てる卑猥な音を聞きたくなくて、自由になっているほうの手を耳に当てた。しかしすぐにその手も真山によって簡単にひとまとめにされてベッドへと押し付けられてしまう。
「悪さをする手はこうしておこうな」
「やんっ、……あっ、もう、いじわる……しないでっ」
奈津の瞳からぽとんと水滴が零れ落ちた。別に悲しかった訳ではない。多分これは快感のための生理的な涙。滲む視界の中で、激しく指を動かす真山が美味しそうに涙を舐めとっている。
真山がこんなに意地悪だったなんて知らなかった。仕事に関しては厳しいが、それ以外はいつも優しくて物腰の柔らかい人だったのに。こうやって一番近いところにやってきた途端に牙を剥くなんて酷い。
「なんでだ、すごく優しいだろ? 今だって、ほら」
「ふあああぁっ!」
奈津の中でなにかを探すように動いていた指がある一点を掠めた途端、そこから痺れるような感覚が伝わった。無意識のうちに腰が跳ねる。
「やっ、……あ、……な、なに?」
「ここが奈津のイイところなんだな。わかるか? この腫れてるところを擦られると気持ちいいだろう?」
「あっ、やっ、そこ……! ぁっ……あぁっ……!」
自由にならない体をくねらせて奈津が悶える。くちゅくちゅと音を立てながら、優しい動きで刺激される。奈津が気付かない間に、いつの間にか指は三本に増えていた。
「やっ……こわい、またきちゃうのっ! あッ……、ああぁんっ!」
入り口近くのお腹側にあるその場所を何度もこりこりと攻められ、さらに感じやすくなっている花芯まで親指で押し潰された奈津はすぐに高みに上り詰めた。真山の太い指を締め付けながら、またなにも考えられなくなる。その最中も執拗に指で刺激され、開きっぱなしになった口からは意味を成さない喘ぎ声だけが漏れ出ていた。
やっと奈津の呼吸が落ち着いた頃、真山の指がずるりと体内から出ていく。その刺激にすら小さく声を上げて反応してしまい、自分の感じやすさに泣きたくなった。
「ほら、優しかっただろ。ちゃんと気持ちよくなったもんな?」
「ぅ……、……は、い」
気持ちよかった、けど全然優しくなんかない。ずっと真山のペースで快楽漬けにされている。
しかし立て続けに絶頂に導かれた奈津には反論する気力などなく、ぼうっとしながら素直に頷く。その従順な返答を聞いて満足げに笑った真山は、力なく投げ出された奈津の足からショーツを引き抜いた。散々いじり倒されたショーツは様々な水分を吸収してしっとりと重い。
彼はそれを恍惚とした表情で眺め、あとで回収してコレクションに加えるために枕の下に押し込んだのだが、この時の奈津は知るよしもなかった。
それから真山は目の前で蜜を零し続ける花に、ふたたびむしゃぶりつく。
「あぅ! ……ア、あぁっ! もうやだっ、むり……!」
「大丈夫、女は何回でもイケるから。ほら、もっかいイッとけ」
「やぁあんっ!」
真山の舌がぷっくりと腫れ上がった小さな花芽を捉える。真っ赤に充血したそれをクリクリと刺激され、奈津は切なくなって悲鳴を上げ続けた。
「あ、あああっ……!」
あれから一体どれだけ経ったのか。もう何回目かわからない白い光が目の前でスパークした。
元々経験が少ない上、数年ぶりの性交渉だというのに何度も上り詰め、奈津はすでに息も絶え絶えだ。はくはくと口を動かして、部屋に漂う濃密な空気を取り込む。
いつの間にか下着を脱がされていたあたりから奈津の記憶は途切れ途切れだ。丁寧に皮を剥いた小さな芽を舌で直に扱きながら、とろりと蕩けた蜜壺を刺激されて何度も絶頂に導かれた。意識が飛びそうになると痛いくらいに胸の先を摘んで現実に引き戻される。最後にはそれさえも快感として認識するようになった自分が恐ろしい。
「奈津、大丈夫か?」
「んっ……はい……」
ゆるゆると体内を刺激している真山に優しく問いかけられる。労るように額にキスをされ、汗で張り付いた前髪も丁寧に払ってくれた。すべてを忘れてしまうような快感の合間のこんな穏やかな触れ合いは、奈津にとって砂糖菓子のように甘いご褒美だ。少し前の奈津なら、ずっとこうしているだけで満足だっただろう。
しかし短時間ですっかり開発されてしまった奈津の体は、さっきからずっと決定的ななにかが足りないと悲鳴を上げ続けている。体の奥の奥が疼いて仕方ないのだ。
指より長いものでなくては届かない、もっと深いところ。指より太いものでなくては得られない、圧迫感。無意識のうちに腰が揺れ、いまだ挿入されたままの真山の指をきゅうきゅうと締め付ける。
「ね、おねがっ……はぁ……あ……、もう、助けてっ……」
「どうして欲しいんだ? 言ってくれないとわからない」
ぐちゅ、と音を立ててふたたび指が動き始める。
「やだぁっ! それじゃない! それじゃないのぉ! それじゃ、なくって……!」
「じゃあ、なにが欲しいんだ。言えるだろう?」
欲しいもの。奈津の頭が淫らな欲求でいっぱいになる。
なにが欲しいかと聞かれたら、それは一つしかない。もっと太くて、長くて、さっきからぬるぬるとした先走りを奈津の太ももに塗りつけている――
「……くだ……い」
「聞こえない」
「か、課長の……」
「もっと大きな声で」
「……課長のっ、太くて、大きなものを……下さいっ」
もうこれ以上なにも考えられない。寂しくて仕方ないと涙を流し続ける蜜壺を満たして欲しいという一心で、奈津は恥も外聞もかなぐり捨てて叫んだ。
焦らされ続けた体は熱を持て余してぴくぴくと震え、頭の中は回路が焼き切れてしまったみたいに思考が停止している。
「上出来だ」
よく躾けられた犬に対するかのように褒められて、奈津はその言葉に安堵のため息を零した。やっと欲しかったものが与えられる、そう思ったのに――
ベッドサイドのチェストに手を伸ばしかけた真山が、一瞬躊躇ってから手を止めて、もう一度奈津の足を抱え直す。
「悪い……。三年ぶりって言っただろ。今ゴムを持っていない」
どろりと溶けた膣口に、生身の屹立が押し当てられた。ぐぷり、と切っ先を埋めながら、真山が奈津に告げた。
「……え?」
「このままじゃ、避妊できないな。俺はそんな無責任なことはしたくない」
待ち望んでいたはずの熱はすぐに引き抜かれる。そのままドロドロに蕩けた割れ目を縦になぞられ、慎ましく存在する花芯がぎゅうぎゅうと押し潰されると、奈津の体がびくびくと反応する。真っ赤に充血してピンと勃ち上がった小さな肉粒は、可哀想なくらいに敏感だ。
「……えっ? やだ、やだやだやだ! もう……っ!」
真山の汗ばんだ腕を力の入らない手で掴んだ奈津は、むずがる赤子のように首を横に振った。
これ以上焦らされたら頭がおかしくなってしまう。奈津の蜜口はだらしなく愛液を垂れ流し、ひくひくと震えてその硬い肉棒を待ち望んでいる。お腹の奥、子を生すための器官がきゅんきゅんと疼いていて、今すぐめちゃくちゃにしてもらいたい。
「今からコンビニで買って来るから、ちょっと待ってろ」
「嫌っ!」
奈津は思わず叫んだ。ここで放置されるなんて拷問以外のなにものでもない。目の前にある硬いそれを与えて欲しい。
欲しくて、欲しくて。獲物の蝶を捕まえる蜘蛛のように、奈津は細い手足を真山の引き締まった体幹に絡みつかせる。
「なにもいらないから……っ、このまま入れてっ!」
「……いいのか?」
「んっ、なにも……つけなくて……ぁあああああぁぁっ!」
彼は涼やかな目元を淫靡に細めてうっそりと微笑む。その眼差しに隠されているのは、愛しさと、加虐心と、征服欲。――奈津は後で知ったのだが、実はいつか奈津を連れ込んでやろうと思って準備していた避妊具はベッドサイドのチェストの中で眠っていた。しかしそれを使うか使わないか、真山は賭けに出たのである。
蝶を捕まえたと思っていた蜘蛛は、実は罠に掛けられていたのだ。
奈津の愛液をまとって侵入した真山は、引き込むような膣の動きに抗わず一気に奥まで突き入れた。
「あああっ! 課長っ、課長……っ」
「奈津、俺の名前知ってるだろ。言ってみろ」
「きょう、すけさん……っ、は、ぁあっ!」
「いい子だな」
今まで自分でも知らなかった弱い部分を中心に、膣壁を削り取るように動かされる。
あまりの快感に思わず逃げようとすると、強い力で骨盤を固定して何度も何度も攻め立てられた。もうなにも考えられなくて、奈津はリミッターが外れたかのように激しい喘ぎ声を上げ続けるしかできない。
「あっ、ぁあんっ……! も、だめ、そこ、ゴリゴリってしちゃだめっ」
「上の口は本当に嘘つきだな。下の口は悦んで呑み込んでるぞ」
「……ふぁあっ、言わ、ないで……」
真山が引き抜こうとするたびに肉襞が追いかけるように絡みつき、突き入れれば歓喜して迎え入れる。そんな奈津に煽られ、真山にもすぐに頂点が見え始める。
「……く、……悪い、そろそろ限界だ」
「あぁっ、イクっ……わたし、も、イッちゃうっ!」
「……いいぞ、何度でもイけ」
「…………っぅあああああっ!」
奈津の膣内が断続的に強く痙攣し、真山の屹立をうねるように締め付けた。
つま先をぎゅっと丸め、太ももを強張らせて、一体何度目かわからない高みに上り詰める。一際強く下腹部が押し付けられたと思った瞬間、奈津の一番奥の深いところに熱い迸りが叩きつけられた。
「……奈津、大丈夫か?」
「は、い」
恍惚としたまま荒い息を吐いていた奈津は、労るように問いかけられてゆるりと真山を見つめ返した。
彼の目には今までのような激しさはなく、ただ純粋な心配の色がある。宝物でも扱うかのように優しく頭を撫でられて、奈津は無意識のうちにその手に頭を擦り付けていた。目を閉じると、真山への愛しさが込み上げる。
「お前さ、なんでそういうことするかな?」
「……んっ!」
穏やかな空気が流れ始めていたはずのベッドの上で、真山がふたたび腰をゆらめかせた。その刺激にぴくんと体を震わせた奈津は、悩ましげな吐息を無意識のうちに吐き出していた。奈津の中で力をなくしかけていた真山のそれが、ぐんと大きさを取り戻す。
「え? ……課長、なんでっ」
「恭介、だ。奈津が可愛すぎるのが悪い」
「なにそれ! もうだめ……っ」
そう言いながらも体は正直で、さらにきゅうきゅうと締め付け始める。
その反応に気をよくした真山は下腹部にある、ごわごわとした茂みを擦り合わせ、ばたばたともがく奈津の鎖骨をべろりと舐め上げた。下腹部からは、じゅくん、と粘液が泡立つような音がする。
「安心しろ、ちゃんと責任は取ってやる」
「責任? って、え? ……あれ? も、もしかして中で……っ!?」
途端に血の気が引いた奈津と対照的に、真山は上機嫌で奈津の白い腹に手を当てる。飽きずに奈津の腹を撫でる真山の切れ長の目が綺麗に弧を描いていて、奈津は思わずその顔に見惚れてしまった。
下着泥棒でも、同意なしの中出し野郎でも、一応この人は二年も片想いした真山課長だ。仕事中の真剣な表情を自分のデスクからこっそり盗み見たことは数え切れないくらいある。飲み会で部下に囲まれ目尻を下げて笑っているところも、会場の隅から同僚の肩越しに目に焼き付けていた。その課長が、今最も親密な部分で自分と触れ合っている。
「奈津がつけずにやれって言ったんだぞ。まぁできててもできてなくても、お前を離す気はないから安心しろ。この休み中に奈津の実家に挨拶に行こうな」
「え……、それって」
「式は予約や準備も必要だから、まぁ一年後ってとこか。入籍だけは先にしてもいいな。そのほうが一緒に暮らす時に不動産屋に話を通しやすいだろ。あ、このマンションはすぐ引き払うぞ。隣からだと簡単に侵入できる構造だからセキュリティが心配だったんだ」
侵入したお前がそれを言うなと言いたい。だがそんな突っ込みどころ満載な真山の言葉で、予想もしていなかった展開にぽかんとしていた奈津も冷静さを取り戻した。そして、じわじわとその言葉の意味を理解する。強引な発言とは裏腹に、どこか余裕のなさげな顔をしている男への返答は――
「いや、です」
その瞬間、空気が固まった。甘い雰囲気の中には似つかわしくない拒絶の言葉に、頭の上で小さく息を呑む気配がする。
よしよし、奈津の意図した通りに彼は勘違いしているようだ。
「……プロポーズは後日ちゃんとして下さい。こんな風に裸でぐちゃぐちゃな時は、嫌です」
悪戯が成功したのを確信して、奈津は真山の顔を覗き込んだ。
下着を盗まれ、勝手に中出しをされ――いや確かにゴムを付けずにしていいと許可したのは自分だが、中で出してもいいとは言っていない――さらに下腹部に挿入されたまま求婚されたのだから、このくらいの仕返しは許されるだろう。
真山は呆然と口を開けて、普段のキリリとした表情が嘘みたいに情けない顔をしていた。
そんな様子にほくそ笑んだ奈津だが、次第に表情を取り戻す真山を見て、あ、これはやばい、と血の気が引く。この顔は、理不尽なクレームとキャンセルを繰り返した上に不当な値引きを要求してきた取引先を切り捨てた時の顔と同じだ。真山を手玉に取ろうとしたのを後悔してももう遅い。
「わかった。奈津がそう言うなら俺もやぶさかではない。ベタに夜景の見えるフレンチレストランでタキシードを着て、年の数だけ薔薇の花でも持ってくか。それから給料三ヶ月分のダイヤもいるな。あれは手取りと額面のどっちで計算すればいいんだろうな? 額面でいいか」
一旦要求を呑むところも、仕事の時と一緒。
「課長! そんなのいらないですから!」
「いや、来週レストランを予約しておくから遠慮するな。その代わり――」
「ひゃぅっ!」
ぐるん、と体をひっくり返された。真山に組み敷かれ、ベッドのシーツにべったりと押し付けられる。奈津の耳元に、真山の口が寄せられた。
「俺の気持ちを弄ぶ悪い子には、躾が必要だな?」
怒り狂っているのより遥かに恐ろしい、穏やかな笑顔で死刑宣告をするところも一緒。だが静かなその声の奥には小さな狂気が宿っている。
「ごめんなさいごめんなさいごめんなさい! もうしません!」
「安心しろ。痛いことはしない。むしろ気持ちいいことばかりだ」
それが怖いんです! と言うはずだった奈津の口は、次の瞬間から喘ぎ声しか上げられなくなった。先ほど体内に放った精液を潤滑油にして揺すぶられる。
「一回出したから、今度は余裕があるぞ。日曜までゆっくり楽しもうな?」
「やっ、やだっ……んぁあっ!」
結局明け方まで貪られた後は泥のように眠った。昼前に起きると栄養バランスに優れた食事を与えられ、その後はまたベッドに逆戻り。とはいえ、また改めて肉欲の宴が開幕した訳ではない。
「さっき奈津の寝顔を見ながら抜いてしまったから、さすがにもう出すものがない」
「はぁッ!?」
恐ろしい事実を神妙な顔で告げる真山をとりあえず殴ってから、ベッドの上でじゃれ合うのはとてつもなく幸せだった。
「ねぇ、恭介さん」
「なんだ?」
うっとりと呟く奈津に、甘い声で真山が答える。腕枕をしてもらって髪を撫でられ、ペットの猫ってこんな気持ちなのかな、と奈津は思った。
それに昨日の夜までは「真山課長」と他人行儀に呼んでいたのに、いつの間にか「恭介さん」が定着してしまった。まだ少しくすぐったさが残るものの、こう呼べるのは至上の喜びだ。しかし、とりあえず先に確かめたいことがある。
「昨夜私が脱いだ下着、どこにやりました?」
奈津の髪を撫でている手が一瞬止まった。そして涼しい顔をした真山があからさまに目を逸らす。
現在の奈津の服装はいわゆる彼シャツというやつだ。朝食の前に真山が新しい洋服を貸してくれたのだが、前日につけていたはずの下着は見つからず、代わりに数ヶ月前から行方不明になっていた下着を渡された。
「今私がつけてる下着は、さっきビニール袋から出したものですよね?」
「…………」
返して下さい、この変態! と叫んだ奈津の声は、防音効果の優れているこのマンションにおいて、部屋の外に漏れることはなかった。
6
真山恭介、三十四歳。
入社直後から、そのタフな行動力と冷静な判断力で好成績をキープ。数年間のロンドン勤務を経て、二年前に最年少課長として本社建設機械部門に配属された。将来を嘱望される大手総合商社の若手営業課長である。
趣味は大学時代から続けている登山と、職場の部下の下着鑑賞。特技はネイティブレベルの英会話と、誰にも気付かれず隣家のベランダに侵入することだ。
合コンで披露すれば一発でその場が凍りそうなプロフィールだが、そんな規格外の恭介にも最近恋人ができた。というか昨夜、力業で交際に持ち込んだ。
急転直下の展開に奈津はいまだに目を白黒させているが、そうやって驚いているうちにすべて自分のものにするつもりだ。日頃から部下にはスピード感を持って仕事をしろと言っているのだから、まずは自分で実行しなければならない。
せっかく捕まえた奈津を逃してはいけないとばかりに早速外堀を埋めることにした彼は、今から彼女の両親に挨拶に行くところである。昨夜、事情聴取の続きは日曜で、と警官に指定しておいて正解だった。奈津を手に入れるためにやるべきことを瞬時に計算し、一日の猶予を持たせておいたのだ。
「……なんだか夢みたいです。こうやって恭介さんの隣に座ってるなんて」
初めて座る革張りのシートで小さくなっている奈津はどこか所在なさげだ。そういう控えめなところも好ましいが、恋人になったからには思う存分甘やかして、好きなだけワガママを聞いてやりたいとも思ってしまう。
「これからはその助手席が奈津の定位置だからな。そうだ、夢だと思うなら思いっきり頬をつねってやろうか?」
「や、やだ、やめて下さいっ」
赤信号で止まったタイミングでニヤリと笑って手を伸ばせば、奈津はあたふたと逃げようとしてシートベルトに阻止されていた。ぎゅっと目を瞑った奈津が可愛くて、頬の代わりに軽く鼻を摘んでやる。
「もう! ひどい!」
「鼻声で言っても迫力がないな」
こうして当然のように肌を触れ合わせるコミュニケーションを取れるのも、恋人同士になった故だ。やっと手に入れた恋人を前にして、こんな些細なことにも幸せを感じてしまう。
恭介が奈津に出会ったのは今からちょうど二年前、新任の課長として本社配属になり課員と初めて対面した時だ。アクの強そうな営業部員達に囲まれていたせいか、初対面の印象はあまりない。多分、大人しそうだなと思ったような気がする。
しかし実際に同じ職場で働き始めてからは、奈津に対する印象は「大人しいが仕事はキッチリやる。そして可愛い」に変わった。決して出しゃばらず、声を荒らげることもない。飲み会の席ではいつも隅っこのほうで静かに呑んでいるようなタイプなのに、営業のサポートはピカイチだった。彼女が作る資料は丁寧に要点が整理されており、無茶な日程で発注の依頼を掛けてもなんとか手配をしてくれる。書類の入力も伝票の処理も速い。
一度だけ、かなり強く仕事上のミスを叱責したことがあった。ちょうど、くだらない理由のトラブルが続発していた時期で心の余裕がなく、なかば八つ当たりのように接してしまったのだ。しまったやりすぎた、泣かれるか、とヒヤリとしたが、奈津は瞳を潤ませながら口をぎゅっと結んで、決して泣かずに謝罪した。そういう芯の強さを持ちながらも、いつもにこにこと笑顔を絶やさない。そのおっとりとした優しい声色で「お疲れ様です」と声を掛けられると、本当に疲れが取れる気がする。あぁ、こういう子と家庭を築けたら心癒されるだろうなぁ、いつの間にかそんな未来を夢想するようになっていた。
しかし問題が一つ立ちはだかる。奈津のガードが意外に堅かったのだ。
仕事上の必要事項をやりとりする以外には絶対に自分から近付いてはこないし、タイミングを見計らって恭介から話し掛けてもいつも緊張で身を固くする。他の同僚とは楽しく会話していても、恭介が現れると途端に口数が少なくなる。恭介は勤務中は部下に厳しく接しても、それ以外の時間は親しみやすいフランクな態度であるよう心がけているのだが、奈津にとって自分はまだ心を許せる相手ではないらしい。
ふとした瞬間に好意的な視線を感じることがあるから決して嫌われてはいないと思うが、それに気付いた恭介が振り向くと慌てて目を逸らされてしまう。例えるなら警戒心が強い子猫のようで、下手に距離を縮めると怯えて逃げ出してしまいそうだった。
仕方ない、しばらくはストーカーで我慢するか。
そう決めた恭介は、早速奈津の自宅近くに引っ越すことにした。やはり自宅が離れていると後を尾けるにも不便だし、偶然を装って休日に顔を合わせるのも不自然だ。
奈津は直属の部下であるため、住所は簡単に知ることができる。幸運なことに実家ではなくマンションで一人暮らしだったため、近くの不動産屋に片っ端から駆け込んで、このマンションに住みたいから空きが出たらすぐに連絡が欲しいと予約して回った。最初は不審な目をされたが、身分証と肩書きを見せて「あのマンションは風水的に最高の立地なんだ」と適当に理由を伝えておいたら話はトントン拍子に進んだ。相手の信頼を獲得するための話術はお手の物である。
結局入居するまで一年近く空きを待つことになったが、奇跡的に隣の部屋を契約できたから満足だ。侵入しやすさを考えると、できれば隣か真上、もしくは真下の部屋に入りたかったのだ。
「恭介さん、下着に関しては色々と思うところはありますが、助けて頂いて本当にありがとうございました」
奈津が改まったように頭を下げる。『色々と思うところはある』というのはどういう意味だろう。それはつまり『恥ずかしくて口には出せないけれど、助けたお礼に好きな下着を一枚持って行ってもいいですよ』という意味だろうか。よし、あとで吟味しよう。
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