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第四章 俺様、西方に行く
6、どうしても気になるんだよ。
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たくさんの荷物を馬に括り付け、西門から出る。
同じように西門からオチデンへと向かう商隊で道はごった返しており、歩行者が端に寄って馬車に道を譲っている。
俺達も急ぎたいところだが、あまり急がせると馬が潰れてしまうとエミーリオが言うので歩行者に交じってポテポテと進む。
『先ほどの店主の話、どういうことだ?』
「勇者が黒髪だったために処分されたということでしょう」
事も無げにエミーリオが答える。
え? 何それ。俺の故郷じゃほとんど黒髪なんだけど。
ちょっと待って。処分って、殺されたってことか? 黒髪ってだけで?
「ふざけるな! 勝手に呼び出しておいて、黒髪だから殺すって何様だ!」
「えっ!? どうされましたか、聖竜様?! 落ち着いてください! 暴れないで!」
バタバタとエミーリオの肩の上で翼を羽ばたかせて憤慨する俺に、困惑したエミーリオが宥めようとする。
俺が何故怒っているのかわからないようだ。
「黒は暗黒破壊神の色です。黒髪の子は忌み子として処分されるのです」
『セントゥロでもか?』
「……ええ。中には、直接殺せないと森に捨てるケースもあるみたいですが」
『モンスターに襲われるじゃないか』
でも、言われてみると確かに周囲に黒髪の人間は一人としていない。
先日俺達を襲った山賊に何名かいたが。それだけだ。
森に捨てられた生き残りが彼らだったのかもしれない。他に生きる術が無く人を襲い、「ほら、やっぱり黒は」となるのだろう。
『エミーリオ、召喚された勇者は何人だ?』
「え? 各国1名ではないのですか?」
普通に考えればそうだろうな。
でも、俺の覚えている限りの最後の記憶。あの時教室を覆っていた光は四色。教室にいた連中がその光に呑まれたのを見ている。そんな状況で、特定の四名だけがこの世界に来ているなんてあるのだろうか? 現にどこの国の勇者でもない俺がここにこうしているのに?
「聖竜様?」
ここは、エミーリオに真実を話して協力してもらった方が良いか?
いや、それにはリスクが高すぎる。俺が暗黒破壊神だとばれるかもしれない。
もう少し、いや無双できるくらい強くなってから打ち明けることにしよう。
『いや、気にするな』
授業が始まる直前だった。
俺のクラスは36名。それに先生を加えて37名がこちらに来ている可能性がある最大人数。
願わくば、オチデンとノルドで召喚されたのが1名ずつで他は皆アスーやオーリエンにいると良い。
つーか、あれだな。黒髪で殺されたオチデンの勇者って、実は俺なんじゃねぇの?
記憶ないけど、「異世界召喚だひゃっほーう」ってなって、挙句「俺様は暗黒破壊神ルッスクーリタ! 俺様を呼び出した者よ、何を望む?」とか言って速攻暗黒破壊神だ殺せってなったに違いない。
うん、そんな気がする。俺ならやりそう。
「聖竜様?」
『な、何でもないぞ?』
勇者を召喚したつもりが暗黒破壊神召喚しちゃった、ってなったらそりゃ殺されるよな。うん。
暗黒破壊神が復活したって言うのが半年くらい前。各国が勇者召喚し始めたのもそのくらい。
で、俺が産まれたのも半年前。時期がピッタリ合っちゃうんだよなぁ。ふむ……。
『エミーリオ、オチデンの勇者に墓はあると思うか?』
「え? ええ、表向きは戦って死んだことになってますから、英雄として弔われているはずですよ。……死体が入ってるかは別ですが」
ああ、そうか。土葬じゃない可能性もあるのか。そうだよな、暗黒破壊神だもんな。復活されたら困るし、遺体は燃やすかどうかして抹消するよな、普通なら。
『ふむ、決めたぞエミーリオ。勇者の墓を暴く』
「ええ?! なんてこと言うんですか聖竜様!? ダメですよそんなの!」
『貴様が言ったのではないか。墓に勇者の遺体はないと』
「ないとは言ってません。第一、死体があろうとなかろうと墓を暴くなど、死者への冒涜ですよ」
普段はイエスマンのくせして、今日はやたら反論するな。倫理なんて捨てちまえ!
周りにいる徒歩の旅人たちが俺達の、というかエミーリオの不穏な台詞にぎょっとした眼を向けている。
俺の念話はエミーリオにしか向けていないから、周囲からすればエミーリオがドラゴンに向かって物騒な内容の独り言を言っているようにしか見えないんだろうな。
「と、ともかくですね。ダメと言ったらダメです。そもそも、見張りがいるでしょう」
『エミーリオ、もし、勇者の死が嘘であったら?』
馬車の行き来が途切れたので、エミーリオが街道の中央に出て馬の速度を上げる。
流石に人々の視線に耐え切れなくなったのだろう。
潜めた声でなおも墓を掘り起こすのはだめだと俺を説得しようとする。が、ここは引けない。
『勇者が死んだところを誰か見たのか? 先ほどの店主の口ぶりでは何か陰謀がありそうだった。墓に遺体があるのなら、それでオチデンの疑惑が全て誤解であったと証明できるのだぞ?』
「それは……そうですけど……では、もし遺体がなければどうするおつもりで?」
『勇者の召喚を、その死を確かに見届けた者を探す』
勇者の死もでっち上げたオチデンの陰謀説もどうでもいい。
遺体を見れば少なくとも俺の知り合いかどうかがわかる。なければ勇者を見た奴を探し出してその人相を聞きだす。
俺が暗黒破壊神になるのに何の関係もないが、どうしても気になるんだよ。
同じように西門からオチデンへと向かう商隊で道はごった返しており、歩行者が端に寄って馬車に道を譲っている。
俺達も急ぎたいところだが、あまり急がせると馬が潰れてしまうとエミーリオが言うので歩行者に交じってポテポテと進む。
『先ほどの店主の話、どういうことだ?』
「勇者が黒髪だったために処分されたということでしょう」
事も無げにエミーリオが答える。
え? 何それ。俺の故郷じゃほとんど黒髪なんだけど。
ちょっと待って。処分って、殺されたってことか? 黒髪ってだけで?
「ふざけるな! 勝手に呼び出しておいて、黒髪だから殺すって何様だ!」
「えっ!? どうされましたか、聖竜様?! 落ち着いてください! 暴れないで!」
バタバタとエミーリオの肩の上で翼を羽ばたかせて憤慨する俺に、困惑したエミーリオが宥めようとする。
俺が何故怒っているのかわからないようだ。
「黒は暗黒破壊神の色です。黒髪の子は忌み子として処分されるのです」
『セントゥロでもか?』
「……ええ。中には、直接殺せないと森に捨てるケースもあるみたいですが」
『モンスターに襲われるじゃないか』
でも、言われてみると確かに周囲に黒髪の人間は一人としていない。
先日俺達を襲った山賊に何名かいたが。それだけだ。
森に捨てられた生き残りが彼らだったのかもしれない。他に生きる術が無く人を襲い、「ほら、やっぱり黒は」となるのだろう。
『エミーリオ、召喚された勇者は何人だ?』
「え? 各国1名ではないのですか?」
普通に考えればそうだろうな。
でも、俺の覚えている限りの最後の記憶。あの時教室を覆っていた光は四色。教室にいた連中がその光に呑まれたのを見ている。そんな状況で、特定の四名だけがこの世界に来ているなんてあるのだろうか? 現にどこの国の勇者でもない俺がここにこうしているのに?
「聖竜様?」
ここは、エミーリオに真実を話して協力してもらった方が良いか?
いや、それにはリスクが高すぎる。俺が暗黒破壊神だとばれるかもしれない。
もう少し、いや無双できるくらい強くなってから打ち明けることにしよう。
『いや、気にするな』
授業が始まる直前だった。
俺のクラスは36名。それに先生を加えて37名がこちらに来ている可能性がある最大人数。
願わくば、オチデンとノルドで召喚されたのが1名ずつで他は皆アスーやオーリエンにいると良い。
つーか、あれだな。黒髪で殺されたオチデンの勇者って、実は俺なんじゃねぇの?
記憶ないけど、「異世界召喚だひゃっほーう」ってなって、挙句「俺様は暗黒破壊神ルッスクーリタ! 俺様を呼び出した者よ、何を望む?」とか言って速攻暗黒破壊神だ殺せってなったに違いない。
うん、そんな気がする。俺ならやりそう。
「聖竜様?」
『な、何でもないぞ?』
勇者を召喚したつもりが暗黒破壊神召喚しちゃった、ってなったらそりゃ殺されるよな。うん。
暗黒破壊神が復活したって言うのが半年くらい前。各国が勇者召喚し始めたのもそのくらい。
で、俺が産まれたのも半年前。時期がピッタリ合っちゃうんだよなぁ。ふむ……。
『エミーリオ、オチデンの勇者に墓はあると思うか?』
「え? ええ、表向きは戦って死んだことになってますから、英雄として弔われているはずですよ。……死体が入ってるかは別ですが」
ああ、そうか。土葬じゃない可能性もあるのか。そうだよな、暗黒破壊神だもんな。復活されたら困るし、遺体は燃やすかどうかして抹消するよな、普通なら。
『ふむ、決めたぞエミーリオ。勇者の墓を暴く』
「ええ?! なんてこと言うんですか聖竜様!? ダメですよそんなの!」
『貴様が言ったのではないか。墓に勇者の遺体はないと』
「ないとは言ってません。第一、死体があろうとなかろうと墓を暴くなど、死者への冒涜ですよ」
普段はイエスマンのくせして、今日はやたら反論するな。倫理なんて捨てちまえ!
周りにいる徒歩の旅人たちが俺達の、というかエミーリオの不穏な台詞にぎょっとした眼を向けている。
俺の念話はエミーリオにしか向けていないから、周囲からすればエミーリオがドラゴンに向かって物騒な内容の独り言を言っているようにしか見えないんだろうな。
「と、ともかくですね。ダメと言ったらダメです。そもそも、見張りがいるでしょう」
『エミーリオ、もし、勇者の死が嘘であったら?』
馬車の行き来が途切れたので、エミーリオが街道の中央に出て馬の速度を上げる。
流石に人々の視線に耐え切れなくなったのだろう。
潜めた声でなおも墓を掘り起こすのはだめだと俺を説得しようとする。が、ここは引けない。
『勇者が死んだところを誰か見たのか? 先ほどの店主の口ぶりでは何か陰謀がありそうだった。墓に遺体があるのなら、それでオチデンの疑惑が全て誤解であったと証明できるのだぞ?』
「それは……そうですけど……では、もし遺体がなければどうするおつもりで?」
『勇者の召喚を、その死を確かに見届けた者を探す』
勇者の死もでっち上げたオチデンの陰謀説もどうでもいい。
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