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第六章 俺様、東方に行く
5、魔法も万全ではないんだなぁ
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『えっ?!』
「カナメ、さん……?」
皆の目が点になってしまった。それもそのはず、要さんの黒髪は栗色の毛になっていたのだ。
月の光に反射して金髪にも見える。
「驚かせてしまいましたかね? 楓にいきなり染めるよう言われて」
「何と……カナメは魔法使いなのか?」
「えっ? 魔法? いやいや、使ったことないですよ」
驚くアルベルト達に要さんが染髪料の説明をしていく。アルベルト達はその説明に日本の物品に興味深々といった感じだった。
『しかし、髪を染めても平気な職場なのか?』
日本はまだまだ髪を染めるということに偏見がある。公務員や接客業など髪を染めているというだけで不採用になるくらいだ。
確か要さんは医療関係者じゃなかったか? あれ? 染めて良いのか?
「ああ、少しでもいなくなった息子を思い出したくてと言ったら皆泣きながら励ましてくれましたよ。暫くはこの髪色で大丈夫そうです」
しれっと言う要さん。きのこと双子なだけあってなかなかいい性格をしているようだ。
「それで、餃子でしたっけ? すぐ作ります? 明日にします?」
「「『すぐで』」」
なんと要さん、餃子の皮を一から作るのが面倒だからと皮を買ってきてくれていた。それも大量に。
他にもニンニクや生姜、野菜や卵などまた食材をたくさん。
要さんにみじん切りにしておいた猪の肉を渡すと、エミーリオに野菜を切るよう言う。
要さん自身も手際よく材料を切っていき、塩コショウで下味をつけるとあっという間に包み始めた。
エミーリオに聞かれて皮の原料や作り方を教えていたから、いつでも食べられるかもしれない。
ラー油と酢こそないがその懐かしい味に感激し、串焼きを食べた後だというのにいくつもお替りして食べた。
因みにニラとニンニクの入ったオーソドックスなやつだ。焼くときに小麦粉を溶き入れて作った大きな羽はパリパリして、中は肉汁がじゅわ~っと口に広がって。後から突き抜けるニンニクとニラの風味!これぞ餃子!熱っ。美味っ。はふはふ。
「美味い!」
「うわーん、カナメ、嫁に来てくれー」
「え、嫌です」
「まぁ、私応援しますわ」
バルトヴィーノが叫び、チェーザーレが感極まって要さんに求愛し振られるというカオス。ルシアちゃん、ちょっと本気っぽいのやめようか。今まで全然腐女子っぽくなかったよね? 何で急にそんなおっさん達を絡ませようとするのさ。
男ばっかりの環境で普通ハーレムとか喜ぶのかと思いきや、そろそろ止めてやらないと危険な妄想を始めている気がする。
「こちらのスープも美味しいですね」
「餃子の餡が余ったので、肉団子スープにしてみました」
原料はほとんど同じですよ、という要さんからエミーリオが真剣に材料や味付けのポイントなどを聞き出している。
灰汁がたくさん出るけど取りすぎると旨味が無くなるのだそうだ。出汁が野菜と肉くらいだからなぁ。オーリエンでかつお出汁見つからないかな……無理か、海ないし。
『要さん、これで佃煮作れる?』
「山椒ですか! できますよ。明日の朝には食べられるように煮詰めておきましょう」
やった!
じゃこの代わりにベーコンを入れようか、と考えている声が聞こえた。やばい、想像するだけでよだれが出る。
そんなこんなで賑やかな遅めの夕食を食べた俺達。
生活魔法で体の汚れを落とす時に口内の汚れも落としてしまうから歯磨きの習慣がこの世界にはない。するとどうなるか。
翌朝、呼吸と共に馬車の中を満たすニンニク臭にルシアちゃんが可愛そうなくらい落ち込んでいた。それもこれもバルトヴィーノがクセェ! とか騒ぐからだ。
ニンニクの匂いって調理前や調理の時はめっちゃ食欲くすぐるのに、何で口臭として出てきたときは臭いって思っちゃうんだろうね。
『ルシア、大丈夫だ。皆臭いから』
「籠った匂いは風魔法で飛ばせば、ほら」
そう慰める俺やエミーリオの吐く息も臭い。
因みに散々臭い臭い騒いでいた男衆の寝ていた馬車もそうとう臭かった。魔法も万全ではないんだなぁ、としみじみ。
「ミント系のハーブが見つかるまで、ニンニクは抜きにしましょうか」
『食後にリンゴを食べるとニンニク臭がしないと聞いた事があるな』
「ミント? リンゴ?」
要さんがニンニクを抜くと言った瞬間ルシアちゃんの顔が輝いたが、男連中はニンニクが入って完成された味だと思っているのかショックを受けた顔をした。対比が面白い。
ミントもリンゴもこの世界では別の名前なんだろう。通じなくて皆首を傾げていた。色や形を伝えてもこの世界では全く別の見た目をしている可能性があるからなぁ。
「ミントは清涼感のある風味の葉ですね。日本ではリラックス効果があるとして、お茶にして飲んだりしています」
「なら、薬屋か雑貨屋を探せばあるかもしれないね」
「リンゴは寒冷地方でも実る果実で、みずみずしい果肉と甘さが特徴ですかね」
「なら食品店や屋台か」
見た目も名前も違う可能性のあるものを伝えるのは大変だ。
味を何とか伝えようとする要さんの説明に意気込むベルナルド先生とアルベルト。他のメンバーもすっかりやる気だ。
そこまでか。そこまでニンニク入りの餃子を食べたいか……。ニンニク抜きの餃子も美味いんだがな。
そんなこんなで、村に入ったらそれぞれどの店を探すか打ち合わせながら朝食の準備をする。
その前にあの村にそんな店があるかどうかも不明なことは考えてもいないようだ。
「カナメ、さん……?」
皆の目が点になってしまった。それもそのはず、要さんの黒髪は栗色の毛になっていたのだ。
月の光に反射して金髪にも見える。
「驚かせてしまいましたかね? 楓にいきなり染めるよう言われて」
「何と……カナメは魔法使いなのか?」
「えっ? 魔法? いやいや、使ったことないですよ」
驚くアルベルト達に要さんが染髪料の説明をしていく。アルベルト達はその説明に日本の物品に興味深々といった感じだった。
『しかし、髪を染めても平気な職場なのか?』
日本はまだまだ髪を染めるということに偏見がある。公務員や接客業など髪を染めているというだけで不採用になるくらいだ。
確か要さんは医療関係者じゃなかったか? あれ? 染めて良いのか?
「ああ、少しでもいなくなった息子を思い出したくてと言ったら皆泣きながら励ましてくれましたよ。暫くはこの髪色で大丈夫そうです」
しれっと言う要さん。きのこと双子なだけあってなかなかいい性格をしているようだ。
「それで、餃子でしたっけ? すぐ作ります? 明日にします?」
「「『すぐで』」」
なんと要さん、餃子の皮を一から作るのが面倒だからと皮を買ってきてくれていた。それも大量に。
他にもニンニクや生姜、野菜や卵などまた食材をたくさん。
要さんにみじん切りにしておいた猪の肉を渡すと、エミーリオに野菜を切るよう言う。
要さん自身も手際よく材料を切っていき、塩コショウで下味をつけるとあっという間に包み始めた。
エミーリオに聞かれて皮の原料や作り方を教えていたから、いつでも食べられるかもしれない。
ラー油と酢こそないがその懐かしい味に感激し、串焼きを食べた後だというのにいくつもお替りして食べた。
因みにニラとニンニクの入ったオーソドックスなやつだ。焼くときに小麦粉を溶き入れて作った大きな羽はパリパリして、中は肉汁がじゅわ~っと口に広がって。後から突き抜けるニンニクとニラの風味!これぞ餃子!熱っ。美味っ。はふはふ。
「美味い!」
「うわーん、カナメ、嫁に来てくれー」
「え、嫌です」
「まぁ、私応援しますわ」
バルトヴィーノが叫び、チェーザーレが感極まって要さんに求愛し振られるというカオス。ルシアちゃん、ちょっと本気っぽいのやめようか。今まで全然腐女子っぽくなかったよね? 何で急にそんなおっさん達を絡ませようとするのさ。
男ばっかりの環境で普通ハーレムとか喜ぶのかと思いきや、そろそろ止めてやらないと危険な妄想を始めている気がする。
「こちらのスープも美味しいですね」
「餃子の餡が余ったので、肉団子スープにしてみました」
原料はほとんど同じですよ、という要さんからエミーリオが真剣に材料や味付けのポイントなどを聞き出している。
灰汁がたくさん出るけど取りすぎると旨味が無くなるのだそうだ。出汁が野菜と肉くらいだからなぁ。オーリエンでかつお出汁見つからないかな……無理か、海ないし。
『要さん、これで佃煮作れる?』
「山椒ですか! できますよ。明日の朝には食べられるように煮詰めておきましょう」
やった!
じゃこの代わりにベーコンを入れようか、と考えている声が聞こえた。やばい、想像するだけでよだれが出る。
そんなこんなで賑やかな遅めの夕食を食べた俺達。
生活魔法で体の汚れを落とす時に口内の汚れも落としてしまうから歯磨きの習慣がこの世界にはない。するとどうなるか。
翌朝、呼吸と共に馬車の中を満たすニンニク臭にルシアちゃんが可愛そうなくらい落ち込んでいた。それもこれもバルトヴィーノがクセェ! とか騒ぐからだ。
ニンニクの匂いって調理前や調理の時はめっちゃ食欲くすぐるのに、何で口臭として出てきたときは臭いって思っちゃうんだろうね。
『ルシア、大丈夫だ。皆臭いから』
「籠った匂いは風魔法で飛ばせば、ほら」
そう慰める俺やエミーリオの吐く息も臭い。
因みに散々臭い臭い騒いでいた男衆の寝ていた馬車もそうとう臭かった。魔法も万全ではないんだなぁ、としみじみ。
「ミント系のハーブが見つかるまで、ニンニクは抜きにしましょうか」
『食後にリンゴを食べるとニンニク臭がしないと聞いた事があるな』
「ミント? リンゴ?」
要さんがニンニクを抜くと言った瞬間ルシアちゃんの顔が輝いたが、男連中はニンニクが入って完成された味だと思っているのかショックを受けた顔をした。対比が面白い。
ミントもリンゴもこの世界では別の名前なんだろう。通じなくて皆首を傾げていた。色や形を伝えてもこの世界では全く別の見た目をしている可能性があるからなぁ。
「ミントは清涼感のある風味の葉ですね。日本ではリラックス効果があるとして、お茶にして飲んだりしています」
「なら、薬屋か雑貨屋を探せばあるかもしれないね」
「リンゴは寒冷地方でも実る果実で、みずみずしい果肉と甘さが特徴ですかね」
「なら食品店や屋台か」
見た目も名前も違う可能性のあるものを伝えるのは大変だ。
味を何とか伝えようとする要さんの説明に意気込むベルナルド先生とアルベルト。他のメンバーもすっかりやる気だ。
そこまでか。そこまでニンニク入りの餃子を食べたいか……。ニンニク抜きの餃子も美味いんだがな。
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