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第七章 俺様、南方へ行く
26、うん、嘘は言っていない
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「帰したくない、か……最終的に帰らせてくれるなら、最後でも良いよ」
『?!』
「ちょ、香月?!」
本庄を帰したくないと思った俺の思考を読んで、突然そんなことを言い出した。
1号が大慌てで何を言っているんだと窘める。
そうだよな。他の勇者に害されるかもしれないって閉じこもっていたのに、急に最後でも良いなんて。俺が帰したくないって思っただけで残るって決意できるほど俺達仲良くなかったと思うんだけど?
「うん、そうだね。でもさ、さっきも言ったけど、あいつらは力に溺れて好き勝手に暴れてる。これ以上こっちの世界に染まる前に、あっちの世界に帰したほうが良いと思う」
『だが、あっちに戻したって好き勝手やるのは変わらないぞ? 第一、スキルとか使ったら警察だって手出しできないんじゃないか?』
梅山を向こうに強制送還しておいてなんだけどさ。
そんな問題児だらけになっちゃったんだったら、日本に戻したら大変なことになるんじゃないか?
「いくら俺でも、何人も制御することはきついぞ?」
「ん? 大丈夫でしょ? ルナなら何とかできるはずだよ」
本庄のその言葉に1号がギクッとわざとらしい動きをする。
そうか、どうにかできるのか……。あ、じゃあもしかして梅山も?
「チッ、香月の前じゃ隠しごとできねぇな。確かにルナがスキルを悪用しそうな奴の能力を全部封印できる。因みに、ステータスは向こうではリセットされて元に戻る」
『つまり、普通の人間に戻ると』
「そういうこと」
「ね。僕がスキルの悪用を企んでる奴をリストアップするから、そいつらから帰していって」
なるほど、梅山がどんなことをしていたかとか、それが原因で梅山が帰らされたこととか、梅山の能力を封じたこととかを全て1号の記憶を読んでの提案か。
まぁ、本庄がそう言うならこっちは助かるが。
だけど、要さんが可哀想かな。あんなに本庄に心配していたのに。
「ん? 栗栖がお父さんを知ってるってことは、お父さんもこっちに来てるんでしょ? ならすぐに会えるし大丈夫」
本庄がニッコリと笑う。鬼か。
だが実際週一でこっちに来ているからな。
『わかった。だが、誰から帰すかは他の勇者の希望も聞いてからだ。オーリエンから合流した勇者達も、ずっと帰りたがっているのを我慢してもらっているからな』
「うん、それで良いよ。でも、和を乱す奴や誰かに危害を加える奴は早めに帰したほうが良いってだけ覚えといて」
やっぱり、心が読める奴ってのは話が早い。
けど、そのためにどれだけのことを耐えてきたんだか。引きこもりたくなるのも無理はないか……。ん? 待てよ?
『ルシア、結界の核になるのは石じゃなきゃダメか?』
「? ええ、大きさによって範囲は変わりますけど、木や金属では力を貯めることができず流れていってしまうので」
『ふむ、では後で少し作ってもらいたいものがある』
「わかりましたわ」
ふと、本庄を見ると凄く嬉しそうな顔をされた。
うん、何をしようとしているかわかるんだな。だけど、そんなに期待されても、うまくいくかどうかわからんからな?
「おぉ、では、全員行かれると。だが……」
『彼は確かに戦闘訓練もしていないし、レベルも低い。だが、物を保存された状態で無限に収納できる特殊スキルの持ち主でな。長旅ではこれほど重宝できる能力はない』
「無理矢理連れ出されたわけではありません。聖女様達に同行している冒険者に、伯父がいたのです」
「肉親がいただと?!」
本庄が自分の意思で出ていくのだという、その理由に皇帝が驚く。召喚された勇者の家族まで一緒にいるなんて前代未聞だよな。
『嘘は言っていない。この者の家族は教師として召喚の場となった部屋におり、巻き込まれたのだ』
「なんと……そんなことが」
「それで、家族と共にいたいのです」
うん、嘘は言っていない。説明を色々省いているだけだ。
本庄が皇帝の眼をまっすぐに見て俺達と共に行くことを再度告げた。
こいつ、すげぇな。俺だったら権力者とこんな風に会話するとか無理だわ。え? 今しているだろって? それは、皇帝が俺を聖竜として敬ってくれているからだな。おっとり国王とか変態国王で慣れたってのも多少はある。
「あいわかった。それでは、出立の儀を整えよう。これから暗黒破壊神を倒しに行くと見せしめ、国民を安心させてやってくれ」
げ、またパレード?!
そもそも暗黒破壊神(偽)がどこにいるかもわからないのに、パレード程度で安心できるかよ! つぅか恥ずかしいから嫌だ!
と、断固拒否したかったのにルシアちゃんが了承して話がどんどん進んでいく。そうだった。ルシアちゃんもまた王族だった。民のためとか言われたら断る子じゃなかった。
くそう、もうどうにでもなれ! 俺は絶対寝たふりをしてやるからな!
「あ、忘れておりました。出立を式典にしてくださるのは良いのですが、オーリエンで黒の使徒が襲撃をしてきたのでした」
「襲撃だと?!」
「はい。人をモンスターに変える恐ろしい魔道具をばらまき、式典中の勇者と集まった方々を襲ったのです」
「人をモンスター化させる魔道具……」
そうそう、それだよ! それがあった!
やめよう? また襲われるよ? オーリエンの時は死者も出たんだよ?
皇帝は何やら考え込んでいた後執事を呼び、行方不明者が増えたり、急に乱暴になった者が市街にいないか調べるよう命じた。
「一応襲撃の件は心に留めておく。他にも見慣れぬ者が入り込んでいないか調べさせよう。だが、式典は民の心の平穏のためにも必要なこと。とはいえあまり長く聖竜様達を留め置くのも、余計な火種を起こしかねない。そこで、三日後でどうだろうか?」
「三日後に式典でそのまま出立ということですね?」
「そうだ。式典の方は余が言い出したことであるが故、余の方で全て整えよう。聖女様達は旅に必要な物をその間に整えられるが宜しい。資金は全て皇国が出す」
何か勝手に話がまとまってしまった。
皇帝は足りなくなったらまた申し出よ、と金貨がどっしり詰まった大袋をくれた。
よし、午後は早速街中を探索だ。本庄も当然連れていくよ。美味しい料理が温かいまま出し入れできるんだろ? 美味い物いっぱい買うぞ! インベントリ万歳!
『?!』
「ちょ、香月?!」
本庄を帰したくないと思った俺の思考を読んで、突然そんなことを言い出した。
1号が大慌てで何を言っているんだと窘める。
そうだよな。他の勇者に害されるかもしれないって閉じこもっていたのに、急に最後でも良いなんて。俺が帰したくないって思っただけで残るって決意できるほど俺達仲良くなかったと思うんだけど?
「うん、そうだね。でもさ、さっきも言ったけど、あいつらは力に溺れて好き勝手に暴れてる。これ以上こっちの世界に染まる前に、あっちの世界に帰したほうが良いと思う」
『だが、あっちに戻したって好き勝手やるのは変わらないぞ? 第一、スキルとか使ったら警察だって手出しできないんじゃないか?』
梅山を向こうに強制送還しておいてなんだけどさ。
そんな問題児だらけになっちゃったんだったら、日本に戻したら大変なことになるんじゃないか?
「いくら俺でも、何人も制御することはきついぞ?」
「ん? 大丈夫でしょ? ルナなら何とかできるはずだよ」
本庄のその言葉に1号がギクッとわざとらしい動きをする。
そうか、どうにかできるのか……。あ、じゃあもしかして梅山も?
「チッ、香月の前じゃ隠しごとできねぇな。確かにルナがスキルを悪用しそうな奴の能力を全部封印できる。因みに、ステータスは向こうではリセットされて元に戻る」
『つまり、普通の人間に戻ると』
「そういうこと」
「ね。僕がスキルの悪用を企んでる奴をリストアップするから、そいつらから帰していって」
なるほど、梅山がどんなことをしていたかとか、それが原因で梅山が帰らされたこととか、梅山の能力を封じたこととかを全て1号の記憶を読んでの提案か。
まぁ、本庄がそう言うならこっちは助かるが。
だけど、要さんが可哀想かな。あんなに本庄に心配していたのに。
「ん? 栗栖がお父さんを知ってるってことは、お父さんもこっちに来てるんでしょ? ならすぐに会えるし大丈夫」
本庄がニッコリと笑う。鬼か。
だが実際週一でこっちに来ているからな。
『わかった。だが、誰から帰すかは他の勇者の希望も聞いてからだ。オーリエンから合流した勇者達も、ずっと帰りたがっているのを我慢してもらっているからな』
「うん、それで良いよ。でも、和を乱す奴や誰かに危害を加える奴は早めに帰したほうが良いってだけ覚えといて」
やっぱり、心が読める奴ってのは話が早い。
けど、そのためにどれだけのことを耐えてきたんだか。引きこもりたくなるのも無理はないか……。ん? 待てよ?
『ルシア、結界の核になるのは石じゃなきゃダメか?』
「? ええ、大きさによって範囲は変わりますけど、木や金属では力を貯めることができず流れていってしまうので」
『ふむ、では後で少し作ってもらいたいものがある』
「わかりましたわ」
ふと、本庄を見ると凄く嬉しそうな顔をされた。
うん、何をしようとしているかわかるんだな。だけど、そんなに期待されても、うまくいくかどうかわからんからな?
「おぉ、では、全員行かれると。だが……」
『彼は確かに戦闘訓練もしていないし、レベルも低い。だが、物を保存された状態で無限に収納できる特殊スキルの持ち主でな。長旅ではこれほど重宝できる能力はない』
「無理矢理連れ出されたわけではありません。聖女様達に同行している冒険者に、伯父がいたのです」
「肉親がいただと?!」
本庄が自分の意思で出ていくのだという、その理由に皇帝が驚く。召喚された勇者の家族まで一緒にいるなんて前代未聞だよな。
『嘘は言っていない。この者の家族は教師として召喚の場となった部屋におり、巻き込まれたのだ』
「なんと……そんなことが」
「それで、家族と共にいたいのです」
うん、嘘は言っていない。説明を色々省いているだけだ。
本庄が皇帝の眼をまっすぐに見て俺達と共に行くことを再度告げた。
こいつ、すげぇな。俺だったら権力者とこんな風に会話するとか無理だわ。え? 今しているだろって? それは、皇帝が俺を聖竜として敬ってくれているからだな。おっとり国王とか変態国王で慣れたってのも多少はある。
「あいわかった。それでは、出立の儀を整えよう。これから暗黒破壊神を倒しに行くと見せしめ、国民を安心させてやってくれ」
げ、またパレード?!
そもそも暗黒破壊神(偽)がどこにいるかもわからないのに、パレード程度で安心できるかよ! つぅか恥ずかしいから嫌だ!
と、断固拒否したかったのにルシアちゃんが了承して話がどんどん進んでいく。そうだった。ルシアちゃんもまた王族だった。民のためとか言われたら断る子じゃなかった。
くそう、もうどうにでもなれ! 俺は絶対寝たふりをしてやるからな!
「あ、忘れておりました。出立を式典にしてくださるのは良いのですが、オーリエンで黒の使徒が襲撃をしてきたのでした」
「襲撃だと?!」
「はい。人をモンスターに変える恐ろしい魔道具をばらまき、式典中の勇者と集まった方々を襲ったのです」
「人をモンスター化させる魔道具……」
そうそう、それだよ! それがあった!
やめよう? また襲われるよ? オーリエンの時は死者も出たんだよ?
皇帝は何やら考え込んでいた後執事を呼び、行方不明者が増えたり、急に乱暴になった者が市街にいないか調べるよう命じた。
「一応襲撃の件は心に留めておく。他にも見慣れぬ者が入り込んでいないか調べさせよう。だが、式典は民の心の平穏のためにも必要なこと。とはいえあまり長く聖竜様達を留め置くのも、余計な火種を起こしかねない。そこで、三日後でどうだろうか?」
「三日後に式典でそのまま出立ということですね?」
「そうだ。式典の方は余が言い出したことであるが故、余の方で全て整えよう。聖女様達は旅に必要な物をその間に整えられるが宜しい。資金は全て皇国が出す」
何か勝手に話がまとまってしまった。
皇帝は足りなくなったらまた申し出よ、と金貨がどっしり詰まった大袋をくれた。
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