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第八章 俺様、勇者と対立する
25、ふざけるな!
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南海の死を確認すると同時に聞こえた声。聞いただけでぞわぞわと腹から何かこみ上げてくるような感じがする。
正体はわからないが、途轍もなく良くない存在がそこにいると感じた。蛇竜と戦っていた時に感じていたあの嫌な感じだ。
ふと見るとルシアちゃんがカタカタと震えていた。バルトヴィーノやチェーザーレ、顔を青褪めさせている。
『何者だ?!』
姿が見えない声の主に問いかける。
正直対峙したくないが、せめて姿を確認せねば。居場所もわからない相手からザクリ、なんてシャレにならねぇ。
と、壊れた家の中からフラフラと深山、吉野、天笠が出てくる。3人とも南海のように異形の姿になっていた。
違うのは、南海が鳥のような姿だったのに対して、深山が蟻、吉野が蛸と獣を混ぜたような形状に手足や肉コブが生えていて、天笠は頭が二つ増えていた。
「なっ、まさか、アルベルト達が負けた……?!」
「そんなっ!」
出てきた三人を見て、チェーザーレと本庄が愕然とする。
三人とも既に自我など残っていないようで、獣のような唸り声を上げながらこちらにフラフラと向かってくる。
中でも激しい戦闘があったようで、三人とも剣で切り裂かれたような傷や突き刺さった無数の矢が痛々しい。
『いや、よく見ろ』
その三人を後方、入口の所に剣を地面に突き刺しながらやっとの風情で立つアルベルトと、そんなアルベルトを壁代わりに身体を支えて矢を番えるドナートの姿が見えた。
『ふん、勇者でもない人間ごときに破れるとは、異界の勇者も大したことないな。もっと使えると思ったのだが』
「う……あ……アミール……様……」
「『アミールだと?!』」
ドサ、と3人が倒れる。それぞれの後頭部には矢が深々と刺さっていた。
倒れる直前、呻き声の中にアミールの名を呼ぶ声をを聞いた。
何故その可能性を考えなかった? いや、無意識に奴がこんな所にいるはずがないと思い込んでいたのか。初めて遭遇したときのような息も詰まるほどのプレッシャーは感じないというのも、頭からその可能性を消していたのだろう。
暗黒破壊神がここにいるという可能性を――。
『そこな聖竜はともかく、下賤な人間ごときに呼び捨てにされたくはないな』
『どこにいる?! 姿を現せ!』
やはり。
声の主はアミール、暗黒破壊神だったのだ。
全員に緊張が走る中、倒れた3人から黒い靄がザーッと流れ出る。靄は生き物のように蠢き、一か所に集まると人の形を創り出した。
『貴様が、アミール……暗黒破壊神か?』
正直、拍子抜けした。
以前遭遇した時は圧倒的恐怖で息もできずに隠れて震えることしかできなかったが、こうして目の前に姿を現したのはアルベルトよりよほど小柄でひょろい男だったのだ。
特徴としては褐色の肌、黒髪黒目と、闇に溶け込むような黒衣から覗く鋭い爪の伸びた手。ラプトルを思わせるその手には鱗が生えていた。
パン、パン、パンッ――
突然の音に体がビクリと反応する。
武器を構え緊迫した空気などものともせずに、アミールが突然手を叩いたのだ。
『いやはや、黒の使徒にとって聖なる光は猛毒。それを容赦なく浴びせるとは、今代の聖女の残酷なまでの容赦のなさはまるで女神そのものだ』
拍手をしながら放たれたその言葉に、ルシアちゃんが小さく「私は、そんなつもりじゃ……」と嗚咽を漏らす。
また、ルシアちゃんを泣かせやがって! カチン、ときた俺は思わず相手との力量差も考えないまま怒鳴っていた。
『ふざけるな! 貴様のしたことは残酷ではないというのか! 貴様が彼らを異形に変えたりなどしなければ、そもそもこんな悲劇は起こらなかった!』
そりゃ最初はいきなり戦闘になったけどさ。こっちには1号もいて、勇者達もいて、説得して日本に帰してやれる可能性だってあったんだ。それを、こいつは潰した。
だが、そんな俺の言葉にもアミールは表情一つ変えない。
『それは、彼らが力を欲しただけのこと。私はただ彼らの望む通りに与えただけだ』
私は女神と違い慈悲深いからな、とアミールは嗤う。
そして、大仰に俺に向かい手を伸ばす。
『そう牙を剥くな。私は争いに来たわけではない。私の敵は女神唯一人。諸悪の根源、神気取りの死神だ。奴を倒すために力が必要でな。私と共に来ないか?』
「だ、ダメです! リージェ様!」
ルシアちゃんが慌てたように叫ぶ。
心配するな。ルシアちゃんを泣かせたこいつは、俺の敵だ。
『断る。何が慈悲だ。貴様の善意とやらでどれだけの命が奪われたと思っている。貴様にその気がなくても、今ここで倒す!』
俺は奴に向かい≪天罰≫を放つ。油断してすぐ目の前に来ている今がチャンス。
アミールの後ろにいるアルベルト達を巻き込まないよう少し上向きに放った光線は、しかしぐにゃりと形を失くしたアミールには当たらなかった。
完全に不意を突いたのに、あり得ない避け方をされて呆然とする。
『ふぅ、どうやら冷静に話ができないようだ。ここは退こう』
『ま、待て! 逃げるつもりか?!』
『……言っただろう? 私は争いに来たのではないと。今はまだ万全ではないというのもあるがな。まだ未熟な聖竜よ、次相見える時までによく見極めておくことだ。真の悪は誰なのかを。この世界が隠す悪意を、真実を知れ――』
『悪意? 一体何の……あっ、待て!』
靄状になったアミールは、地面に吸い込まれるようにして消えてしまった。
今度こそ、何の気配もない。
残されたのは、満身創痍のアルベルト達と、泣き崩れるルシアちゃん。そして、変わり果てた元勇者の骸。
――アミール様を悪く言わないで!
ふと、天笠の言葉が蘇る。
天笠のように、俺の事も騙そうとしているに違いない。
俺は騙されない。ルシアちゃんと共に暗黒破壊神を討つのだ。そして、俺が真の暗黒破壊神になるのだ。
俺は心に芽生えた不安を追い払いながら、俺に縋り付いて泣くルシアちゃんをそっと抱きしめた。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
【ステータス】
名前 : リージェ
レベル : 24
EXP : 4,796,885/7,773,280
HP : 36,360/ 181,800
MP : 19,265/ 128,450
Atk : 424,450
Def : 137,870
スキル : タリ―語 Lv.3
我が劫火に焼かれよ Lv.6
血飛沫と共に踊れ Lv.7
全てを見通す神の眼 Lv.4
念話 Lv.4
我を害さんとする者よ、姿を現せ Lv.2
反転せよ Lv.4
天罰 Lv.6
水よ、集いて俺様の命に従え Lv.7
称号 : 中二病(笑)
害虫キラー
農家
ドM
聖竜
黒の使徒(仮)
殲滅する者
正体はわからないが、途轍もなく良くない存在がそこにいると感じた。蛇竜と戦っていた時に感じていたあの嫌な感じだ。
ふと見るとルシアちゃんがカタカタと震えていた。バルトヴィーノやチェーザーレ、顔を青褪めさせている。
『何者だ?!』
姿が見えない声の主に問いかける。
正直対峙したくないが、せめて姿を確認せねば。居場所もわからない相手からザクリ、なんてシャレにならねぇ。
と、壊れた家の中からフラフラと深山、吉野、天笠が出てくる。3人とも南海のように異形の姿になっていた。
違うのは、南海が鳥のような姿だったのに対して、深山が蟻、吉野が蛸と獣を混ぜたような形状に手足や肉コブが生えていて、天笠は頭が二つ増えていた。
「なっ、まさか、アルベルト達が負けた……?!」
「そんなっ!」
出てきた三人を見て、チェーザーレと本庄が愕然とする。
三人とも既に自我など残っていないようで、獣のような唸り声を上げながらこちらにフラフラと向かってくる。
中でも激しい戦闘があったようで、三人とも剣で切り裂かれたような傷や突き刺さった無数の矢が痛々しい。
『いや、よく見ろ』
その三人を後方、入口の所に剣を地面に突き刺しながらやっとの風情で立つアルベルトと、そんなアルベルトを壁代わりに身体を支えて矢を番えるドナートの姿が見えた。
『ふん、勇者でもない人間ごときに破れるとは、異界の勇者も大したことないな。もっと使えると思ったのだが』
「う……あ……アミール……様……」
「『アミールだと?!』」
ドサ、と3人が倒れる。それぞれの後頭部には矢が深々と刺さっていた。
倒れる直前、呻き声の中にアミールの名を呼ぶ声をを聞いた。
何故その可能性を考えなかった? いや、無意識に奴がこんな所にいるはずがないと思い込んでいたのか。初めて遭遇したときのような息も詰まるほどのプレッシャーは感じないというのも、頭からその可能性を消していたのだろう。
暗黒破壊神がここにいるという可能性を――。
『そこな聖竜はともかく、下賤な人間ごときに呼び捨てにされたくはないな』
『どこにいる?! 姿を現せ!』
やはり。
声の主はアミール、暗黒破壊神だったのだ。
全員に緊張が走る中、倒れた3人から黒い靄がザーッと流れ出る。靄は生き物のように蠢き、一か所に集まると人の形を創り出した。
『貴様が、アミール……暗黒破壊神か?』
正直、拍子抜けした。
以前遭遇した時は圧倒的恐怖で息もできずに隠れて震えることしかできなかったが、こうして目の前に姿を現したのはアルベルトよりよほど小柄でひょろい男だったのだ。
特徴としては褐色の肌、黒髪黒目と、闇に溶け込むような黒衣から覗く鋭い爪の伸びた手。ラプトルを思わせるその手には鱗が生えていた。
パン、パン、パンッ――
突然の音に体がビクリと反応する。
武器を構え緊迫した空気などものともせずに、アミールが突然手を叩いたのだ。
『いやはや、黒の使徒にとって聖なる光は猛毒。それを容赦なく浴びせるとは、今代の聖女の残酷なまでの容赦のなさはまるで女神そのものだ』
拍手をしながら放たれたその言葉に、ルシアちゃんが小さく「私は、そんなつもりじゃ……」と嗚咽を漏らす。
また、ルシアちゃんを泣かせやがって! カチン、ときた俺は思わず相手との力量差も考えないまま怒鳴っていた。
『ふざけるな! 貴様のしたことは残酷ではないというのか! 貴様が彼らを異形に変えたりなどしなければ、そもそもこんな悲劇は起こらなかった!』
そりゃ最初はいきなり戦闘になったけどさ。こっちには1号もいて、勇者達もいて、説得して日本に帰してやれる可能性だってあったんだ。それを、こいつは潰した。
だが、そんな俺の言葉にもアミールは表情一つ変えない。
『それは、彼らが力を欲しただけのこと。私はただ彼らの望む通りに与えただけだ』
私は女神と違い慈悲深いからな、とアミールは嗤う。
そして、大仰に俺に向かい手を伸ばす。
『そう牙を剥くな。私は争いに来たわけではない。私の敵は女神唯一人。諸悪の根源、神気取りの死神だ。奴を倒すために力が必要でな。私と共に来ないか?』
「だ、ダメです! リージェ様!」
ルシアちゃんが慌てたように叫ぶ。
心配するな。ルシアちゃんを泣かせたこいつは、俺の敵だ。
『断る。何が慈悲だ。貴様の善意とやらでどれだけの命が奪われたと思っている。貴様にその気がなくても、今ここで倒す!』
俺は奴に向かい≪天罰≫を放つ。油断してすぐ目の前に来ている今がチャンス。
アミールの後ろにいるアルベルト達を巻き込まないよう少し上向きに放った光線は、しかしぐにゃりと形を失くしたアミールには当たらなかった。
完全に不意を突いたのに、あり得ない避け方をされて呆然とする。
『ふぅ、どうやら冷静に話ができないようだ。ここは退こう』
『ま、待て! 逃げるつもりか?!』
『……言っただろう? 私は争いに来たのではないと。今はまだ万全ではないというのもあるがな。まだ未熟な聖竜よ、次相見える時までによく見極めておくことだ。真の悪は誰なのかを。この世界が隠す悪意を、真実を知れ――』
『悪意? 一体何の……あっ、待て!』
靄状になったアミールは、地面に吸い込まれるようにして消えてしまった。
今度こそ、何の気配もない。
残されたのは、満身創痍のアルベルト達と、泣き崩れるルシアちゃん。そして、変わり果てた元勇者の骸。
――アミール様を悪く言わないで!
ふと、天笠の言葉が蘇る。
天笠のように、俺の事も騙そうとしているに違いない。
俺は騙されない。ルシアちゃんと共に暗黒破壊神を討つのだ。そして、俺が真の暗黒破壊神になるのだ。
俺は心に芽生えた不安を追い払いながら、俺に縋り付いて泣くルシアちゃんをそっと抱きしめた。
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【ステータス】
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我が劫火に焼かれよ Lv.6
血飛沫と共に踊れ Lv.7
全てを見通す神の眼 Lv.4
念話 Lv.4
我を害さんとする者よ、姿を現せ Lv.2
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天罰 Lv.6
水よ、集いて俺様の命に従え Lv.7
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