中二病ドラゴンさんは暗黒破壊神になりたい

禎祥

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第九章 俺様、ダンジョンに潜る

1、……サイズ?

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「いやぁ、しかし酷い有様だなぁ」
『う……すまん……』

 アミールが去った後、安全になったのを確認した1号が隠れていた幼女達を連れて戻ってきた。
 1号が酷いと言っているのは、半裸のバルトヴィーノや瀕死状態の本田達のことだけではない。

 半壊した建物、高温に熱されてガラス状になった大地、踏み潰され焼かれぐちゃぐちゃになった畑の作物や庭の草木。
 もはや安全など保障してくれない、割れたり穴が開いたり燃えカスになったりと原型を留めていない村を囲む防壁。
 おそらくカエデ本体や分体達が一生懸命築き上げたと思われる村は、その機能を果たしていなかった。

「村長様……私達、これからどうなっちゃうの?」
「心配するな! また作れば良いだけさ!」

 幼女達の不安を打ち消すように1号が明るい声を張り上げる。
 そして、分体達に命じるとまずは防壁の修理へと走っていった。
 修理は魔法を中心に行うようで、余力のあるエミーリオと体力自慢のチェーザーレが手伝うためについて行った。

 アミールに散々心を痛めつけられたルシアちゃんは、泣きながらも聖女としての務めを全うした。重症の奴からどんどん治癒を施したのだ。
 残念ながら、俺達の側にも死者が出ていた。1号が娘のように可愛がっていた、一番年長の幼女である。
 他の幼女達の盾になったと聞いた。

『……妹達を守ったのだな。立派だ』
「女神様の御許でしばしの休息を。次の生では女神様の恩寵がありますように」

 こちら式の葬儀なのだろうか? ルシアちゃんの祈りの言葉を他の幼女達が復唱していく。
 俺のように前世の記憶があるのは稀だが、死者はまた転生するのが自然のように考えられている。悪いことをすれば黒の使者として、良いことをすれば女神の加護を持った恵まれた存在として生まれてくるそうだ。日本の輪廻転生に似ているな。
 葬送の祈りは通常「次の生では女神の加護を授かりますように」らしいのだが、恩寵としたのは幼女が元々黒の使徒だから、来世では普通の人間に生まれるように祈ったのだそうだ。ルシアちゃん優しい。


「はぁ、しかし疲れたなぁ」
「俺も」

 生きている全員の治療が終わり、死者の弔いも済んだことで気が抜けたのかバルトヴィーノとドナートがへたり込んだ。
 情けないぞ、と言っているアルベルトだって実はベルナルド先生に体重を預けているのが俺とルシアちゃんの位置からは丸わかりだ。こら、女の子がそんな笑い方するんじゃありません。

「夜通しだったからな。中も片付けたから寝て良いぞ!」

 壁壊れてるけどな、と1号が笑う。しばらくすると分体達が布団を敷いたと知らせに来た。
 きのこが敷いた布団……きのこが生えていないだろうな?

「あ、リージェ、やめろ! 家が壊れる!」
『な、何故だ!』

 俺も皆に続いて入ろうとしたら、何故か入口に体が引っかかった。ま、まさか太った?!
 ちょっと前までは入れてたのに、と言うとポカ、と叩かれた。ちょ、足の小指はやめろ!

「何でも何もお前、自分のサイズ自覚しろ!」

 ……サイズ?
 首を傾げて周囲を見ると、全員から頷きが帰ってきた。
 そう言えば……何もかもちょっと前まで小さくなってるな。そうか、太ったんじゃなくて俺が大きくなったのか。

「大きいリージェ様、素敵です」

 ルシアちゃんが目をキラキラさせてくる。照れるぜ。
 分体達が魔法で入口を広げてくれて、何とか俺も入ることができた。
 因みに、俺のサイズだが天井に頭をぶつけるほどじゃないから、体高は2メートルくらい。横幅はルシアちゃんが3人分って感じだ。
 見かねた1号がこれまた魔法で天井を高くしてくれる。……って、さっきからこいつ魔法使いすぎじゃね……? ステータス一桁だったよな?

「部屋が一気に狭くなったな」
「圧迫感がすげぇ」

 1号のMP切れを心配する俺に対して、口々に言いたい放題言ってくれる分体どもを一発ずつデコピンしてやった。
 あまり力入れてないのに、部屋の反対側まで吹っ飛んで壁にめり込んでいた。ちょっと、力の加減を覚えないとヤバいな。
 分体どもだからまだしも、ルシアちゃん達にまで大怪我させるとか嫌すぎる。
 俺ならまだしもって何だ! とか聞こえない聞こえない。


 聞きたいことも話したいことも色々あったが、全員疲れ果てていたのでその日はそのまま寝ることに。
 因みに、姿の見えなかった小島はどこかに隠れているのではなく日本に帰したらしい。
 取り敢えず無事らしいことがわかって良かったよ。


 そして、朝。昼近くになって起きた俺の鼻腔をくすぐったのは、肉の焼ける芳ばしい香り。
 身体を起こすと、壁や天井まですっかり修復が終わっていた。
 どうやら分体達が夜通し頑張ったようだ。

「あ、リージェ様。ちょうどそろそろ起こそうと思ったんですよ」
「ん……朝ですか……?」

 俺を起こしに来たと言うエミーリオの声に反応して、目を擦りながら身を起こしたのは俺の尻尾に抱きついて寝ていたルシアちゃんだ。
 アルベルト達も少し前に起きたらしい。本田と宮本だけはまだ寝ていた。この二人は声をかけても起きる気配がなかったので放置。

 熊肉のステーキがそれぞれの皿の上で山のようになった食卓を囲む。
 昨夜の戦闘でMP使いまくったせいかやたら腹が空いている。そして、それは俺だけじゃなかったらしい。
 朝からこんな重いもの、俺は嬉しいけどルシアちゃんにはきついんじゃ、と思ったらチェーザーレ達に負けず劣らずの量を食べていた。
 動きは上品なのに、がっつくチェーザーレ達と同じくらいのスピードって、ルシアちゃんすげぇ……。
 呆然と見ていた俺に気づいて、口元を布で拭いながら恥ずかしそうに頬を染めるルシアちゃんが超可愛い。

 デレデレし始めたところで、1号が本題とばかりに口を開いた。
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