中二病ドラゴンさんは暗黒破壊神になりたい

禎祥

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第九章 俺様、ダンジョンに潜る

3、な、泣く?

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「ほ、本当にあちらの方角で間違いないのですか?!」
「ああ」
『どうした、ルシア?』

 慌てたように詰め寄るルシアちゃんと、間違い無いと肯定するきのこ。因みに4号だって。
 愕然とするルシアちゃんと冒険者達。確か、昨夜のアミールは影で、向かった先に本体がいるかもって言ってたんだよな?

「……あの方角は……」
「セントゥロの、首都が……」

 おん? あのおっとり国王のいた?
 一大事じゃねぇか!

「いや、セントゥロには来てないよ?」

 ガクッ。
 4号の言葉に一同力が抜ける。
 暗黒破壊神がセントゥロを襲っているかも、って慌ててるルシアちゃん達を横目に、ヤケに落ち着いてると思ったら。
 
「いや、少し考えれば解るでしょ? セントゥロにゃ7号おれがいるんだからさ」

 それもそうか。
 なんだろう、この敗北感。そして苛立ち。取り敢えず殴……ろうとしたら話が進まなくなるからやめてくれってアルベルトに止められた。ちぇ。

「では、暗黒破壊神はどこに?」
「それだよ。俺、聞きたい事があるってルシアちゃんに言ったろ?」

 はい、と頷くルシアちゃん。
 慌てて出発準備をしようとしていたエミーリオ達も佇まいを直して話に聞き入る。

「暗黒破壊神ってのは、つまるところ何なんだい?」
「! そ、それは……」

 およ。以前は人類を滅亡に導く存在だとか何とか言ってたのに、言葉に詰まった?

「以前ノルドで遭遇した時、俺には暗黒破壊神やつは竜に見えた」
「俺には人間の姿だったな」
「昨夜もだったけどね」

 4号の言葉から遭遇した時をそれぞれ思い出したのか、アルベルトやドナート達が口々に見え方を伝えてくる。
 俺もそういや竜に見えたな。

「それだよ。仮に、昨夜の姿は分身体だったからとしよう。だが、手は異形だったし、月明かりで照らされた影も竜だった」
「「「!?」」」

 4号、もといきのこはふざけた外見や言動の割にけっこう物事をちゃんと見ている。あんなパニック状態だったのに、しっかり観察していたようだ。

「王城で、7号が暗黒破壊神に関する書物を読んだ」
「! それは、禁書中の禁書のはず!」
「悪いな、読んじまったよ。その上で、俺の見解を述べるなら……暗黒破壊神ってのは『呪い』そのもの」
「「!?」」

 すまん4号、話が飲み込めない。
 ていうか、暗黒破壊神に関する書物あったのか。滞在期間短くて俺が見つけられなかっただけだったんだな。

「……わ、私も、教えられてきたことと、昨夜実際に対峙し言葉を交わした暗黒破壊神の違いに戸惑っているのです」
「うん、大丈夫だよ。ルシアちゃんを責めているわけじゃない。実際、オットリーノ陛下や教皇とも見識を交わしたが暗黒破壊神の正体についてはルシアちゃんから聞いている以上の事は知らない感じだった」

 7号、いつの間にそんなことを……。
 というか、教会のトップですらおとぎ話レベルなのか。これだけあからさまに神の加護だの祝福だのが顕現している世界だってのに意外。
 さっきから頭がついていけてないが取り敢えず口を挟まず最後まで聞いてみるか。
 見ればアルベルト達もそんな感じだしな。

「話を戻すぞ。結論から言うと暗黒破壊神は、倒される時に呪いを吐く。倒した者が次の暗黒破壊神になるんだ」
『は? ちょっと待て! 俺様は、先代聖竜を見ているぞ!?』

 亡骸なきがらだが。
 暗黒破壊神になったっていうなら、あそこに遺骸はないはずだ。

「ちゃんと聞け、リージェ。暗黒破壊神を者が次の暗黒破壊神になるんだ。先代は倒さずに封印していた。だから暗黒破壊神には堕ちていない」
「た、確かに、私も4代前の勇者様、聖竜様が暗黒破壊神を倒したと聞いております。そして――」
「混ざったんだろ。暗黒破壊神として」

 だから、竜の姿であり、人の姿でもあるんだと4号。

「アミールってのは召喚された勇者の名だってな。で、当時の聖竜もまた暗黒破壊神の力を取り込むことで奴を弱体化させたと記録されている。そう、
「『!』」

 バレてた。やっぱりこいつよく見てやがんな。そか、だからこいつ今回こんな言葉キツめなんか。俺が暗黒破壊神になるのを心配してるんだな。
 うーん、俺としては自我を無くすとかでなければ暗黒破壊神になるのはバッチこいなんだが。
 
「だとすれば、だ。俺達は、アミールのすることを止めるべきなのか?」
『どういうことだ?』
「アミールの言葉を思い出してみろ。諸悪の根源を叩くと言っていた。あいつは、ここで呪いを止める気なんだ」

 は? 何? 突然暗黒破壊神善神説? いやいやいやいや、ないないないない。
 だって、本体やつのあの威圧感見たろ? それに、あいつのせいでモンスター大量発生してるんだぜ?

「女神様が諸悪の根源など、あるはずがありません!」

 ほら、ルシアちゃんだってこう言ってるしー。

「だが、俺達は女神を知らない。そもそも、女神ってのは何者なんだ?」
「女神様は、女神様です!」
「それだよ。教会でも王城でも、暗黒破壊神や異界の勇者に関する書物はあれど、女神に関するものは何一つなかった」
「経典が」
「経典ってのはあくまでも宗教を広めるために人間によって作られたものであり、逆に言えば女神は経典その中でしか存在が記録されていない。そもそも、美化されすぎなんだよ」

 まぁ、確かに地球でも神様って言ったらもっと人間臭くて善悪併せ持ってるもんな。
 あら。ルシアちゃんがわなわなと肩を震わせて黙り込んじゃった。な、泣く?

『もうやめろ、4号。直接行って見極めれば良い。暗黒破壊神も恐らくにいるんだろう?』
「リージェ様……」

 瞳に涙いっぱい浮かべたルシアちゃんが俺を見つめてくる。
 よし、ルシアちゃんの信仰を裏切った女神も一発殴る。ルシアちゃんを泣かせる奴は許さないんだからな!
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