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第九章 俺様、ダンジョンに潜る
21、マジでやめて!
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巨体をぶつけ合い激しい戦闘を繰り広げる現場に乱入した俺たちに、最初に気付いたのは黒サイだった。
サイって元々視界が広いんだっけ?
だが、気づいても蜥蜴と豚の対応で手いっぱいの様子だ。
「うぉぉおおおおおおっ!!」
雄叫びを上げながら大盾を構えて突進していくチェーザーレ。
さすがに豚と蜥蜴もその存在に気付くが、反応できないまま弾き飛ばされていった。
三匹の巨獣がそれぞれ態勢を立て直す隙に、俺は黒サイの前に踊り出た。
『さて、貴様の相手はこの俺様……ってぇぇええええ?! ちょ、やめろ!』
挑発の途中で、黒サイがう●こを飛ばしてきやがった!
やめろ! 汚ねぇ! つぅか、どんだけ出るんだよ! いやその前にどうやって前に飛ばしてんだよ!
ひぃぃ、やめて! マジでやめて! つく! つくから!
カバじゃないんだから、うn●飛ばすんじゃねぇ!!
……思わず天井付近に逃げてしまった。
俺が避けた分、チェーザーレと豚と蜥蜴が被弾している。
状態異常効果があるのか、豚は頭と腕を振り回し、蜥蜴はひっくり返り、チェーザーレは片膝をついてしまっている。
すまん、チェーザーレ。
――カッ、カッ
音のした方に意識を向けると、俺の方を見上げたまま黒サイが片方の前足で地面をかいていた。
床を足が蹴るたびにカッ、と小気味良い音がする。
(まずい!)
戦闘に乱入する前に幾度か見た、黒サイが突進する前の動作だ。
その動線にはチェーザーレ。
『水よ……集いて俺様の敵を穿て! ウォーターカッター!』
大慌てで水刃を放つ。
スパン、と小気味良い音が響いた。
勢いを失くした水が床を濡らす。
「グゥゥゥゥゥゥウウ」
低い唸り声のような音。
サイはピンピンしていた。
慌てたせいで、水の練度が甘かったようだ。
もともと水辺の生き物だからか、水浴びして心なしか元気になっているようにも見える。
「グゥゥゥゥゥゥ」
もう一度低い音がした。
サイが俺の方を見ている。
一撃で仕留め損なったが、狙いがチェーザーレから逸れたからある意味成功だな。
さて、どう出るか……。
『……って! おま、だから、それやめろってぇぇええええ!!』
サイの遠距離攻撃はうん●しかないのか!?
違うだろ? もっと他に何かあるだろ?!
仮にもモンスターなんだから、魔法とかスキルとかもっと頑張ろうぜ!?
天井付近を飛び回る俺目掛けて飛んでくる丸い物体。
だが、初見の時と違い、当たれば状態異常が起きることを知ってしまった。
いろんな意味で当たるわけにはいかない。
『くっ、水よ……集いて、不浄なるものを洗い流せ!』
水を新たに出現させ、先ほどの攻撃で床に溜まった分と合わせて操る。
黒サイの目の前に巨大な水柱となったそれは、一瞬にして形を崩しその場にあるものを押し流す。
泳ぐことに長けた黒サイは、その巨体もあってびくともしていない。
だが、これで良い。
『チェーザーレ! そのまま端に避けていろ!』
押し流した本命は、チェーザーレ。
黒サイの攻撃範囲から強制的に動かし、ついでにチェーザーレを麻痺させていた汚物を洗浄。
これでもう少しすれば盾を構えるくらいはできるようになるだろう。
『さて、今度こそ決着をつけようではないか』
チェーザーレは逃がした。
今度こそ、黒サイを倒す。
水はあまり効果がないようだから、使うのはもちろん……。
『我が業火に焼かれよ!』
思い切り空気を吸い込み、溜めてからMPを多めに費やしてブレスを吐く。
ゴウ、と音を立てながら火炎放射器のごとく炎が走っていく。
ジュワァッ!
「グゥゥゥゥゥゥ!」
床や黒サイを濡らしていた水が一気に蒸発する。
しかし、まだダメージにはなっていない。
部屋の端に流されたチェーザーレに熱波がいかないよう角度を調整してさらに吐く。
「グゥゥゥゥゥゥ!」
だんだんと、肉の焼けるいい匂いがしてきた。
よだれが垂れそうだ。
だが、この匂いは豚だろ? きっとサイはまだ焼けてない。
さらにMPを費やして吐く。
……息が苦しくなってきた。
だんだん吐く炎も細くなる。
炎が細くなったことで開けた視界には黒焦げになった豚とサイ。
蜥蜴は何やら粘膜のようなものに包まれているし、チェーザーレに近い位置だからきっと死んでない。
サイは元々黒いから死んだかどうかわからんな。
『……ぜぇ、はぁ、……やったか……?』
『――≪リージェ≫が経験値203,300を獲得しました――』
敵が死んだことを示す経験値取得音声が頭に響く。
経験値の多さからして、豚だけじゃなくサイも倒せただろう。
よし、これで残りは蜥蜴だけ。
『――≪リージェ≫のレベルが25になりました――』
『――≪リージェ≫のスキル≪水よ、集いて俺様の命に従え≫がレベル8になりました――』
『――≪リージェ≫のスキル≪我が業火に焼かれよ≫がレベル7になりました――』
よっしゃぁぁぁぁぁぁああああ!!!
久々に来た! レベルアップ!
スキルレベルも上がったし、幸先良いぜ!
……というか、改めて他人にスキル名読み上げられると恥ずかしい気分になるの何でだろ……?
「キシャァアアアアッ!」
しまった、照れてる場合じゃない。
ステータスの確認はあと。
今はチェーザーレのフォローをせねば。
いつの間にか復活していた蜥蜴の奇声に我に返る。
どうやら、蜥蜴を覆っていた謎の粘膜はサイのうn●を洗い流す効果もあったみたいだ。
俺のブレスの熱波からも身を守っていたし、意外と万能だな。
同時に喰らったチェーザーレも、俺が水で洗ってやったから回復しているようだが、蜥蜴の攻撃に圧され気味だ。
余波とはいえ俺のブレス攻撃を無傷で耐え切ったし、さすが豚よりも上層の階層ボスというところか。
さて、どうやって攻めるか。
サイって元々視界が広いんだっけ?
だが、気づいても蜥蜴と豚の対応で手いっぱいの様子だ。
「うぉぉおおおおおおっ!!」
雄叫びを上げながら大盾を構えて突進していくチェーザーレ。
さすがに豚と蜥蜴もその存在に気付くが、反応できないまま弾き飛ばされていった。
三匹の巨獣がそれぞれ態勢を立て直す隙に、俺は黒サイの前に踊り出た。
『さて、貴様の相手はこの俺様……ってぇぇええええ?! ちょ、やめろ!』
挑発の途中で、黒サイがう●こを飛ばしてきやがった!
やめろ! 汚ねぇ! つぅか、どんだけ出るんだよ! いやその前にどうやって前に飛ばしてんだよ!
ひぃぃ、やめて! マジでやめて! つく! つくから!
カバじゃないんだから、うn●飛ばすんじゃねぇ!!
……思わず天井付近に逃げてしまった。
俺が避けた分、チェーザーレと豚と蜥蜴が被弾している。
状態異常効果があるのか、豚は頭と腕を振り回し、蜥蜴はひっくり返り、チェーザーレは片膝をついてしまっている。
すまん、チェーザーレ。
――カッ、カッ
音のした方に意識を向けると、俺の方を見上げたまま黒サイが片方の前足で地面をかいていた。
床を足が蹴るたびにカッ、と小気味良い音がする。
(まずい!)
戦闘に乱入する前に幾度か見た、黒サイが突進する前の動作だ。
その動線にはチェーザーレ。
『水よ……集いて俺様の敵を穿て! ウォーターカッター!』
大慌てで水刃を放つ。
スパン、と小気味良い音が響いた。
勢いを失くした水が床を濡らす。
「グゥゥゥゥゥゥウウ」
低い唸り声のような音。
サイはピンピンしていた。
慌てたせいで、水の練度が甘かったようだ。
もともと水辺の生き物だからか、水浴びして心なしか元気になっているようにも見える。
「グゥゥゥゥゥゥ」
もう一度低い音がした。
サイが俺の方を見ている。
一撃で仕留め損なったが、狙いがチェーザーレから逸れたからある意味成功だな。
さて、どう出るか……。
『……って! おま、だから、それやめろってぇぇええええ!!』
サイの遠距離攻撃はうん●しかないのか!?
違うだろ? もっと他に何かあるだろ?!
仮にもモンスターなんだから、魔法とかスキルとかもっと頑張ろうぜ!?
天井付近を飛び回る俺目掛けて飛んでくる丸い物体。
だが、初見の時と違い、当たれば状態異常が起きることを知ってしまった。
いろんな意味で当たるわけにはいかない。
『くっ、水よ……集いて、不浄なるものを洗い流せ!』
水を新たに出現させ、先ほどの攻撃で床に溜まった分と合わせて操る。
黒サイの目の前に巨大な水柱となったそれは、一瞬にして形を崩しその場にあるものを押し流す。
泳ぐことに長けた黒サイは、その巨体もあってびくともしていない。
だが、これで良い。
『チェーザーレ! そのまま端に避けていろ!』
押し流した本命は、チェーザーレ。
黒サイの攻撃範囲から強制的に動かし、ついでにチェーザーレを麻痺させていた汚物を洗浄。
これでもう少しすれば盾を構えるくらいはできるようになるだろう。
『さて、今度こそ決着をつけようではないか』
チェーザーレは逃がした。
今度こそ、黒サイを倒す。
水はあまり効果がないようだから、使うのはもちろん……。
『我が業火に焼かれよ!』
思い切り空気を吸い込み、溜めてからMPを多めに費やしてブレスを吐く。
ゴウ、と音を立てながら火炎放射器のごとく炎が走っていく。
ジュワァッ!
「グゥゥゥゥゥゥ!」
床や黒サイを濡らしていた水が一気に蒸発する。
しかし、まだダメージにはなっていない。
部屋の端に流されたチェーザーレに熱波がいかないよう角度を調整してさらに吐く。
「グゥゥゥゥゥゥ!」
だんだんと、肉の焼けるいい匂いがしてきた。
よだれが垂れそうだ。
だが、この匂いは豚だろ? きっとサイはまだ焼けてない。
さらにMPを費やして吐く。
……息が苦しくなってきた。
だんだん吐く炎も細くなる。
炎が細くなったことで開けた視界には黒焦げになった豚とサイ。
蜥蜴は何やら粘膜のようなものに包まれているし、チェーザーレに近い位置だからきっと死んでない。
サイは元々黒いから死んだかどうかわからんな。
『……ぜぇ、はぁ、……やったか……?』
『――≪リージェ≫が経験値203,300を獲得しました――』
敵が死んだことを示す経験値取得音声が頭に響く。
経験値の多さからして、豚だけじゃなくサイも倒せただろう。
よし、これで残りは蜥蜴だけ。
『――≪リージェ≫のレベルが25になりました――』
『――≪リージェ≫のスキル≪水よ、集いて俺様の命に従え≫がレベル8になりました――』
『――≪リージェ≫のスキル≪我が業火に焼かれよ≫がレベル7になりました――』
よっしゃぁぁぁぁぁぁああああ!!!
久々に来た! レベルアップ!
スキルレベルも上がったし、幸先良いぜ!
……というか、改めて他人にスキル名読み上げられると恥ずかしい気分になるの何でだろ……?
「キシャァアアアアッ!」
しまった、照れてる場合じゃない。
ステータスの確認はあと。
今はチェーザーレのフォローをせねば。
いつの間にか復活していた蜥蜴の奇声に我に返る。
どうやら、蜥蜴を覆っていた謎の粘膜はサイのうn●を洗い流す効果もあったみたいだ。
俺のブレスの熱波からも身を守っていたし、意外と万能だな。
同時に喰らったチェーザーレも、俺が水で洗ってやったから回復しているようだが、蜥蜴の攻撃に圧され気味だ。
余波とはいえ俺のブレス攻撃を無傷で耐え切ったし、さすが豚よりも上層の階層ボスというところか。
さて、どうやって攻めるか。
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