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第一章 スキルと従者と本の世界
三
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「それにしても……まだ全く信じられないんだよ」
「なにがです?」
「何って……全部かな」
「全部……ですか」
「それはそうだよ……だって――」
――本当に新しい世界が目の前に広がっているんだから!!
まばゆい光が空間に満ちたあの後。
目を開けると、美しい緑の世界が広がっていた。
まず目に飛び込んできたのは草原。その奥には森が広がっている。
なぜだか空があり、そこには雲も浮かんでいた。
風が吹くたびに木々がざわめく音しか聞こえない。
不思議な空間がそこには広がっていたのだ。
レイカさんと歩き回ってみると、その広さに驚いた。
数十分歩いた程度では、その広さの全容はわからない。
とりあえず、小さな岩が転がっていたから、そこに腰を掛けてレイカさんと話をしていたのだ。
「まさか、こんなにすぐに世界が広がるだなんて」
「普段から妄想ばっかりしてたから、とか?」
「それにしても、いきなり……こんな」
レイカさんはしきりに驚いてはあたりを見回している。
まあ、悪いことではなさそうだし大丈夫なんだろうけど、少し不安になってくるな。
ただ、思い悩んでも仕方ない。
答えがわからないことのほうが多いんだから。とりあえず、目の前の現実は、僕の意志でレイカさんが生まれて、世界が広がったということだ。それが大事だ。
僕はそう思って景色とレイカさんに視線を向けた。
そして目が合う。
会ったばかりの人だけど、僕を助けてくれるらしい。
穏やかなほほ笑みはまるで美術品のように美しいけど、それだけじゃない。なぜだかとても安心するような笑みだ。
この人は僕を裏切らない。
そんな確信にも近い何かを感じていた。
「ねぇ、レイカさん」
「はい、エンド様」
「僕はこのスキルで何ができるんだろうね」
「何が……ですか?」
「……うん」
僕のスキルは本を生み出すこと。そして、僕の想いを本に描き現実にすること。
それ自体は信じられないほどすごいことだし、いまだ心臓がバクバクいってるくらいだ。
でも、だからといって僕が孤児なのは変わらないし、何もできないっていうのも変わらない。
そんな話をすると、レイカさんは真剣な表情で見つめてきた。
「エンド様。エンド様のスキルは、それだけではありません。その本には書かれていませんが、この本の力はあなたの力そのもの。それは本の外の現実にいってもかわらないんです」
「本の力が僕の力?」
「ええ。ここで生み出されたものは現実に持っていくことができます。もちろん私もです」
僕はレイカさんの言葉を聞きながらごくりと唾を飲み込んだ。
「スキルのレベルが上がって本の力が増せばエンド様の力も増します。エンド様が成長すれば、本の世界も成長します。すべてはあなた次第です。この世界にとって、エンド様は神のような存在なんですよ」
「神だって……?」
孤児だった僕が神だって?
そんな冗談、すくなくとも僕は笑えない。
だが、目の前にいるレイカさんは自信をもって頷いていた。突拍子のない話に、呆けることしかできなかった。
「なにがです?」
「何って……全部かな」
「全部……ですか」
「それはそうだよ……だって――」
――本当に新しい世界が目の前に広がっているんだから!!
まばゆい光が空間に満ちたあの後。
目を開けると、美しい緑の世界が広がっていた。
まず目に飛び込んできたのは草原。その奥には森が広がっている。
なぜだか空があり、そこには雲も浮かんでいた。
風が吹くたびに木々がざわめく音しか聞こえない。
不思議な空間がそこには広がっていたのだ。
レイカさんと歩き回ってみると、その広さに驚いた。
数十分歩いた程度では、その広さの全容はわからない。
とりあえず、小さな岩が転がっていたから、そこに腰を掛けてレイカさんと話をしていたのだ。
「まさか、こんなにすぐに世界が広がるだなんて」
「普段から妄想ばっかりしてたから、とか?」
「それにしても、いきなり……こんな」
レイカさんはしきりに驚いてはあたりを見回している。
まあ、悪いことではなさそうだし大丈夫なんだろうけど、少し不安になってくるな。
ただ、思い悩んでも仕方ない。
答えがわからないことのほうが多いんだから。とりあえず、目の前の現実は、僕の意志でレイカさんが生まれて、世界が広がったということだ。それが大事だ。
僕はそう思って景色とレイカさんに視線を向けた。
そして目が合う。
会ったばかりの人だけど、僕を助けてくれるらしい。
穏やかなほほ笑みはまるで美術品のように美しいけど、それだけじゃない。なぜだかとても安心するような笑みだ。
この人は僕を裏切らない。
そんな確信にも近い何かを感じていた。
「ねぇ、レイカさん」
「はい、エンド様」
「僕はこのスキルで何ができるんだろうね」
「何が……ですか?」
「……うん」
僕のスキルは本を生み出すこと。そして、僕の想いを本に描き現実にすること。
それ自体は信じられないほどすごいことだし、いまだ心臓がバクバクいってるくらいだ。
でも、だからといって僕が孤児なのは変わらないし、何もできないっていうのも変わらない。
そんな話をすると、レイカさんは真剣な表情で見つめてきた。
「エンド様。エンド様のスキルは、それだけではありません。その本には書かれていませんが、この本の力はあなたの力そのもの。それは本の外の現実にいってもかわらないんです」
「本の力が僕の力?」
「ええ。ここで生み出されたものは現実に持っていくことができます。もちろん私もです」
僕はレイカさんの言葉を聞きながらごくりと唾を飲み込んだ。
「スキルのレベルが上がって本の力が増せばエンド様の力も増します。エンド様が成長すれば、本の世界も成長します。すべてはあなた次第です。この世界にとって、エンド様は神のような存在なんですよ」
「神だって……?」
孤児だった僕が神だって?
そんな冗談、すくなくとも僕は笑えない。
だが、目の前にいるレイカさんは自信をもって頷いていた。突拍子のない話に、呆けることしかできなかった。
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