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第一章 スキルと従者と本の世界
七
しおりを挟む「はぁ、はっ、はっ、はっ――」
息づかいだけが聞こえる。
見渡すと、男が三人伸びていた。
僕がやったのか? こんな本で非力な僕が?
驚いていると、落ち着き払ったレイカがそっと近づいてきた。
「今のエンド様にかなうものはそうそういませんよ。言いませんでした? 本の力はエンド様の力だと。つまり、本のレベルが上がったとき、エンド様の力も上がっているんです」
「ただ……本で殴ったたけだったんだ。まさか、こんなことになるなんて……あんなに飛んで行って――」
「はい。それが、エンド様の力です。そういえば……ステータスを確認してみたらどうですか?」
「ステータス?」
「はい。その本に願えばみることができますよ」
レイカがそう言って教えてくれたのは本の見方だ。
以前、スキルのレベルが書いてあった頁を開くと、下のほうにぼんやりと文字が浮かび上がる。
本来ならば鑑定士にお金を払わねばやれないことを、僕は何の苦も無くやることができたのだ。
「これは……」
その結果は、目を疑うものだった。
『エンド
14歳
レベル:3
スキル:ブックメイカー レベル2
力 :1024(1000)
素早さ:1018(1000)
知力 ;1034(1000)
魔力 :1008(1000)
幸運 :102(100)』
と書かれていた。
「ちなみに、一般的な成人男性の平均は各パラメーターでも十から三十ほどとされています。エンド様の千という数字はおそらくレベルが上がったことによる補正値かと。ちなみに、各パラメーターに百あれば、それなりの実力者として認識されます」
レイカがやや興奮した様子で言い切った。
「僕が実力者よりも……? まさか……僕が、こんな……」
そこまで言うと、レイカは急に目の前で跪き頭を下げる。
「エンド様は本の世界の神。まだ私しか従者はいませんが、これからもっと力をつけ大きくなっていく王でもあります。ですからエンド様。あなた様はご自身のやりたいように生きていいのです。私は、いつか何かを成し遂げるその時までずっとお傍にいますから」
やりたいように生きていく?
そんなことが本当に可能なのか?
そんな疑問が膨れ上がるも、目の前で跪いているレイカや倒れている男達をみているとすこしずつ現実味が帯びてきた。
本当に。
やりたいことをやっていいんだろうか。
そんな淡い希望を持った瞬間、自分の心臓が自分のものじゃないみたいに脈を打つ。
生きてきて初めてといっていいほど高揚していた。
すると、目の前の景色が急に輝きだした。
空の青が。
木々の緑が。
街並みの中の色のすべてが。
急に輝きを増していった。
目の前にいる女の子の茶色い瞳も、これでもかと輝いてみる。
僕はその日。
世界がこんなにも色彩が豊かだったのかと、生まれた赤子のようなことを考えていた。
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