ブックメイカー ~ゴミスキルを開花させた少年は、孤児から頂点へと成り上がる~

卯月 みつび

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第二章 冒険者の門出、差別、救済

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「お願いします!」



 僕はそういってギルドの受付の人に話しかけた。

 今、僕は冒険者ギルドにやってきていて、依頼を受けるために登録をしようと思っている。

 受付には綺麗なお姉さんがいた。

 にっこりとほほ笑んだ顔は、とてもどきりとするものだった。



「初めてのご利用ですね。どういったご用です?」

「あ、あの! 冒険者の登録をしたくって!」

「わかりました。ふふ、緊張しているんですか? 大丈夫ですよ? 簡単にあなたのことを教えてもらって、最後の登録のために血を少しだけいただくくらいですから」



 そういうと、受付のお姉さんはほほ笑みながら一枚の紙を差し出してくる。

 そこには、何かを書き込むようになっていた。



「こちらに名前と年齢を書いてください。字は書けますか?」

「あ、すいません。書けなくて」

「いえいえ。大丈夫ですから。では私が代筆するので教えてくださいね」

「名前はエンドで、歳は十四です」



 すると、お姉さんは驚いたように手を顔を前に広げた。



「まだ成人してないんですね! それなのに、ちゃんと将来を考えているなんて立派です」

「え? あ、ありがとうございます」

「けど、無理はしないこと。それで、何人もの新人さんが帰ってこなくなってますから」

「……はい」



 唐突に出た話題に、僕は思わず唾を飲み込んだ。



 冒険者。

 それは、さまざまな依頼を受け生計を立てているものの総称だ。その依頼には、危険が付き物、という但し書きが着くのだが。

 誰もやりたがらない危険な依頼に立ち向かう職業であり、普通の人たちからは避けられることが多いと言われる。

 だが、強くなりたい僕からするとおあつらえ向きの職とも言えた。



 つい表情が硬くなってしまったのだろう。

 気遣うように、お姉さんが僕の手を握ってくれた。



「大丈夫ですよ。大事なことはさっきも言ったけど、無理をしないこと。そうすれば、だんだん難度の依頼も達成できるようになりますから。最初は冒険者のランクは一番下のEからですが、一歩ずつ、上に上がってけばいいんです」



 僕の手を握ってくれてる手は柔らかい。

 ついそこに女性を感じた僕は、またまたどきりとしていまう。



「は、はい! ありがとうございます」

「――それで。登録はすすんでるんですか? 私も登録したいのですが」



 唐突に割り込んできた声。振り向くと、レイカが珍しく真顔で受付のお姉さんを見ていた。

 その声の冷たさにぞくっとした謎の寒気を感じた僕は、咄嗟にその手を離す。



「あら、あなたもですか? 服装からこの方の使用人かと思ったのですが」

「使用人のようなものですが、登録しない理由にはなりません」

「そうですか。なら、こちらに名前と年齢を書いてください。終わったら教えてくださいね」

「エンド様との扱いが違いすぎませんか?」

「いえいえ、そんなことは」

「……ふん」



 なにやらレイカとお姉さんが笑顔で話しているが近寄りがたい雰囲気を醸し出している。

 というより怖い。

 なぜだか僕は口を挟んじゃいけないんだと、不思議とわかる。



「そこの使用人は放っておいて、さぁ、最後の登録ですよ。この板に血を垂らしてください」

「は、はい」



 なにやら隣にいるレイカから冷気が漂ってくるが、僕は気にしないようにして目の前に集中する。

 そして、貸してもらった針で指に穴をあけると、ポタリと血を垂らした。



「この血を読み取ってエンド君のステータスを調べてくれるんで――嘘! まさか!?」

「え!? 何!?」



 なぜだか声をあげたお姉さんに、周囲の視線も集まってくる。

 僕は恥ずかしくなり、つい体を縮こまらせてしまう。



「あ、いえ。なんでもありません。登録はできますのでご安心ください」

「あ、ありがとうございます」

「そっちの使用人も、はいどうぞ」

「いちいちむかつく人ですね」



 受付のお姉さんは、しばらく僕のことを見つめてゆっくりとお辞儀をしてくれた。



「では、依頼を受けた時はぜひ私の受付まで来てくださいね! 待ってます!」

「はい! 頑張りますのでよろしくお願いします!」



 僕はそういうと、依頼が張ってある掲示板へと体を向けた。



「じゃあ、行こうか、レイカ」

「はい……ですが、あの受付嬢はやめませんか? とても気分が悪いのですが」

「そぉ? 感じのいいひとだったと思うけど」

「それは、相手がエンド様だからです」



 いつになく不機嫌なレイカを後目に、僕はゆっくりと依頼を眺めていった。

 だけど、文字が読めない。

 全く訳が分からない。



「レイカ……その……」

「わかってます。私がいくつか依頼を読み上げますからいいのを選びましょう?」

「うん」



 レイカはそういうと、一つずつ依頼を読み上げてくれる。

 僕は、それを聞きながら受ける依頼を選んでいった。



 それよりも、受付のお姉さんはなんであんなに驚いていたんだろう?



 そんなことを思いながら、僕は初めて受ける依頼に心を躍らせていた。
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