ブックメイカー ~ゴミスキルを開花させた少年は、孤児から頂点へと成り上がる~

卯月 みつび

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第三章 スキルの力と金策と裏切り

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「お、驚いたな……」



 次の日、僕が蚤の市に行くと、そこには商人見習いの少女、オリアーナがすでにいた。

 そして開口一番に告げてくる。



「金貨十枚。持ってきたわよ? これで文句ないでしょ?」

「な……」



 彼女が持っていた革の袋を受け取ると、そこには確かに金貨十枚が入っていた。

 まさか、本当に金貨十枚を?

 しかも、たった一晩で?



 困惑していると、うしろにいたレイカが僕の前に進み出る。



「その金貨が私達が持ってきた果物で得たお金だと証明できますか?」

「それはできるけど……契約もしないのに私の手の内をばらすのは癪だな」

「あくまで立場はこちらが強いとお考えを……確かにお金は必要ですが、別にあなたに頼む必要はないんですから」



 オリアーナはそれを聞くと、乱暴に頭をかく。

 そして、大きなため息をはき肩をすくめた。



「まあ、そうね。ならしっかり聞きなさい? 私がどうやって金貨十枚を持ってきたのか――」



 聞くと、確かに僕らでは到底できなかった方法だった。



 彼女は、まず伝手を使って貴族にわたりを付けたらしい。

 今までに見たこともない果物があると伝え、それの専売契約を結んだとのことだった。

 パイナップルは既に街で売っているところがあるため、それ以外の果物の専売契約とのことだ。



 彼女は、その希少性を売り込み、そして契約をもぎ取ってきてくれた。

 契約金は金貨十枚。

 そして、ほかの果物は、一つ銀貨二十五枚で買ってくれるとのこと。正直、訳が分からない世界だ。



「それで、あっちはさっそく果物をご所望だよ? 実は、その果物の味をみて最終的に契約が決まるからね! しっかり美味しいのを取ってきてくれなきゃ困るんだから!!」



 オリアーナはそういうと、胸をはってドヤ顔をきめる。



「あ! ちゃんと契約者はあなた達にしておいたからね! 安心して!」

「う、うん……だって、レイカ」

「はい……私もびっくりしています」

「でも、これでお金のことは解決じゃない? これだけ稼いでくれたらみんなの家も作れるよ!」

「家……?」



 オリアーナは首をかしげていたので、僕は事情を簡単に話すことにした



「うん! 実は家をたくさん作らなきゃいけなくてさ! それでお金が欲しかったんだ」

「家なんて。そんなの自分達で作ればいいじゃない」

「なかなか難しくてね。でもありがとう。オリアーナのお陰でなんとかなりそうだよ!」

「そう……ですね」



 ずっと難しい顔をしていたレイカが口をひらく。



「オリアーナ様。失礼な物言い申し訳ありませんでした。報酬の割合やとってくる果物の数など細かい話をしていきましょう」

「そうこなくっちゃ!!」



 その後の話は早かった。

 とりあえず、蚤の市での販売が取りやめること。そして、彼女の報酬は三割、果物の数なども細かく話し合う。

 なんでも、希少性をうりにしているから、あんまりたくさんは必要ないらしい。

 そういうものか、と思いつつ、僕らはオリアーナと別れた。



 市を開かないことがわかると色々と文句をいう人達もいたけど、それは仕方ない。



 さっそく金貨七枚を僕らに渡してくれたオリアーナに感謝しつつも、さっそく僕らは大工さんに家を依頼しにいったのだった。







 エンド達と別れたオリアーナは上機嫌で街を闊歩していた。

 その足取りは、誰がみても浮かれている。

 それはもうあからさまに。



「ふっふーん! これでまた目標額に近づいたなぁ! それにしても、いい出会いってあるもんだよね! あんな珍しい果物、見たことないし! あれがあればいくらでも稼げる! 契約もうまくいったし! むふ」



 だらしない顔を正しては再び緩めるといったことを繰り返していたオリアーナは、自分の腰に下げている革袋に触れ、その重みを感じていたところだった。



「それにしても……あの男の子は何者なんだろう? あんな珍しい果物を持ってて、となりには上品な使用人もいて……どっか外国の王子とか? にしては恰好は冒険者風だし。家をたくさん作るっていうことは、どっかの領地のドラ息子? いまいち読めない。でも――」



 オリアーナにとって、エンドが何者かなどどうでもよかった。

 彼からお金が搾り取れるのであればそれでよかったのだ。



「契約金が金貨十枚のはずないじゃん! 世間知らずもここまでくると尊敬するよね」



 オリアーナはそういって、じゃらり、と袋を揺らした。



 エンドに渡した七枚の残り。



 金貨九十三枚が入った革袋を。
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