ブックメイカー ~ゴミスキルを開花させた少年は、孤児から頂点へと成り上がる~

卯月 みつび

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第三章 スキルの力と金策と裏切り

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 突然の他種族の来訪。

 レイカはとっさにナイフを取り出し僕の前に躍り出た。



「村長様……どういうつもりですか? ここはエンド様の世界。入り口は外とつながっているとはいえ、勝手な真似は許しません」

「れ、レイカ!?」



 彼女の突然の行動に、僕も咄嗟に対応できない。

 対する村長さんは、すぐさまその頭を地面にこすりつけた。



「申し訳ございません! ですが! 無下に追い返すこともできず――」



 まさに一触即発。

 そんな中、渦中の男、おそらくは蝙蝠の獣人だと思うが、彼も同じように膝をつき頭を下げる。



「申し訳ありません。決して狐人族の長が私を招き入れたわけではないのです。私が、この場所を突き止めここの主であるエンド様にお願いをしたいと思いやってまいりました」

「お願い?」

「ここを突き止めた?」



 僕とレイカは別々の疑問を投げかけたが、彼は頭を下げたまま淡々と語る。



「ここを突き止めたのは蝙蝠族の特性を使ってのことでございます。我々はそれほど目はよくありませんが、音の力を使って者の形や場所がわかるのです。森の中を探していたところ、魔力で封じられていたこの場所をかろうじて見つけることができました」

「そういうことですか……。でもまさか、見つかるなんて」

「おそらく、私が一族の中でも探索に秀でていたからでしょう。私以外では見つけられたかどうかはわかりません」



 そこまで聞くと、レイカは理解はしたのかそのまま黙り込んだ。納得はしていなそうだけど。

 それで、次は僕の番かな? 



「わかったよ。別に勝手に入ってきたことはしょうがないとおもうから。それで、お願いっていうのは?」

「はい。お願いというのは、私達蝙蝠族も、エンド様の庇護下に置いていただけないか、ということです」

「庇護下?」

「狐人族と同じように、配下になるということですよ」



 レイカの補足があり理解できた。

 つまり、きっと彼らも外での生活がつらいのだろう。 

 おそらく、獣人達は常に魔物の襲来におびえ、人間と出会うことに怯え。

 そんな生活に疲れてしまっているんだろう。



 頭を下げ、気丈にふるまう彼をみて、僕は悩む。

 僕には、できることがあるから。

 けど、突然やってきたこの申し出を受けるべきか。それは今の僕にはわからない。



 そう考える僕に、彼はさらに言葉を続けた。



「エンド様……そして庇護下に入りたいと願っている種族は我々だけではありません。犬人族、猫人族、鼠人族、熊人族、あとは、いくつかの少数民族があなたに助けを請うているのです。我らは魔物の脅威にさらされ、人間の世界に入り込むこともできず危機に瀕しています。何卒、我らの願いを聞き入れていただければと思っております」

「他の獣人も!?」



 僕はその事実にさらに驚いた。

 彼らだけならいざ知らず、ほかの獣人もだなんて思ってもみなかったのだ。

 もし、それらすべての人たちの家を建てるとしたら……。



 想像しただけで眩暈がした。

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