ブックメイカー ~ゴミスキルを開花させた少年は、孤児から頂点へと成り上がる~

卯月 みつび

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第三章 スキルの力と金策と裏切り

十四

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 その後、各種族の長達は、外に待たせていたらしい皆を連れてきていた。

 その人数は合わせるとおおよそ六百人ほど。

 鼠人族が圧倒的に多いのだが、ここまで人がそろうと圧巻だ。

 一体、どうやって潜んでいたんだろう。

 想像もつかない。



 ぞろぞろとくる人々に、僕はただただ驚くばかりだった。



「こ、こんなにたくさん?」

「え、ええ……。これは私も予想外でした。鼠人族の人たちだけで三百人ですからね……」



 その六百人すべてが、僕の前を通り過ぎるときに頭を下げていく。

 それにこたえるだけでも一苦労だ。



 中に入ってくる人達は、そのまま狐人族の集落へと向かっていった。



「おい! こんなにいるんじゃ獲物が全然たりねぇぞ! 今から狩りにいくか!」

「ほら、あんたたち。あっちに木の実がたくさんなってるから取りに行くよ、ついておいで」



 そんな声がちらほら聞こえてくる。

 元々交流があったからだろう。既に、皆で協力して動き始めているようだ。



 がやがやと騒がしいまま宴は始まる。

 そんな中、各種族の長達は僕とレイカの周りに集まって色々と話し合っていた。



「うむ。今は狐人族はこのあたりに住んでいるだな」

「最初はわしらしかいなかったからのぉ。まあ、まだ家も数件しかたっとらん。ここが入り口から近すぎもなく遠すぎもなく。立地としては一等地だからの。移動するのはやぶさかではない」

「ふーん。この地図ってこれで全部?」

「ああ。わしらではあまり遠くまで行くことができなくての。このあたりまでしか地図が出来上がっておらんのじゃ」



 皆が眺めているのは、この世界の地図だ。

 それでも、十数キロの大体の地図ができているから困るものではない。

 それよりも、それでも端っこにつかないこの世界はどうなっているのだろうと驚くばかりだ。



「ならば、今の段階でしっかりと区画整理を行っていくのがよいかの」

「そうですね。一応、今狐人族の方々がいる場所はエンド様方の居住区となされたほうがいいかもしれません」

「僕らは穴を掘って住むから山のほうがいいんだな」

「僕たちもだよ。山がいい」



 それぞれ希望を出し合いながら、住む場所を決めているようだ。

 一気に村というか町のような規模になってしまったが、いきなり同じ場所に違う種族が住むのも難しいんだろう。

 僕は特に口出しをせず成り行きを任せていた。



 一通り、どのような手順で開発を進めていくのか決まったようだ。

 家は、材料だけがあれば熊人族と鼠人族が協力して作ってくれるそうだ。

 食べ物も豊富にあるし、それらもそれぞれの得意分野を駆使して皆で共有することに決まっていた。



「これだけ大所帯だと、農園や酪農もしなければならないかもしれませんね。日常的に使う道具などを作ってくれる人もいるといいかもしれません」

「なんだか、急に大変なことになってきたね」

「しかし、それはきっと彼らがうまくやってくれますよ。もともとは、一つの種族をおさめていた長なんですから」



 今だなにやら話し合っている彼らの姿を見ていると、たしかに頼りがいがある。

 僕も、自分にできることをすればいいんだよな。

 そんなことを思っていると、狐人族の村長さんが渋い顔をしながら僕の前にやってきた。



「エンド様。少しよろしいですかな?」

「うん、もちろん。何かあった?」

「他の種族の者たちが言ってたのじゃがな。ここにいる以外の種族にも実は声をかけていたんじゃが……」

「うん、ここにいるのが獣人達の全部じゃないもんね」

「うむ……実はここに来るのを断られたらしいのじゃが、少し気になることを言っていたようじゃ」

「気になること?」



 やや言いづらそうにしている狐人族の長は、重い雰囲気のまま言葉を絞り出した。



「彼らはエンド様に反感を抱いているらしい」

「反感ですか?」



 その言葉に反応したのはレイカだった。

 その目は大きく見開かれ、少し怖い。



「なんでも、人間に仕えるなど獣人の恥と。誇りはないのかと罵られたそうじゃ」

「誇りなど。エンド様は彼らの誇りを傷つけるような真似をしておりません! 心外です!」



 レイカが怒りをあらわにしているのをよそに、村長さんは言葉を続ける。



「できるだけ獣人のことはこちらで片づけましょう。ですが、お伝えすべきことかと思い……」

「うん。ありがとう。また何かあったら教えてくれると嬉しいな」

「もちろんじゃ」



 村長さんはそういうと、そのまま会合へと戻っていった。



 それにしても、どうしたものだろう。

 たしかに、憎むべき人間に従うというのはきっとあまりいい気分がしないのだろう。もちろん、ここにいる彼らの中にも同じように考えるものがいるかもしれない。

 もしそうなら少しでも彼らが安心して過ごせるように僕もがんばらないとなぁ。



「エンド様の慈悲を理解しない輩など、滅びてしまえばいいのです」

「いや、怖いよ、レイカ」



 最近、レイカは僕のことになると怒りっぽいようだ。

 疲れているのかな。



 そんなことを思いつつ、僕やレイカも皆の輪に加わった。

 笑顔でご飯を食べて楽しい時間を過ごしていると、獣人も人間も関係ないのかな、とそんなことを思った。
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