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権力者の宴
11 権力者の訪れ.1
しおりを挟むケインら政府側が訪問日に備える中、ICICLEはある計画を立てていた。
「よーし、お前ら集まれ。」
少し暗めの古びた部屋に襲撃担当の数人をよび入れた。計画の司令はイスビッシュ、彼は戦時中、イーベルから信頼を置かれていたいわゆる重鎮であった。
「計画を詳しく伝えるぞ。今回、ダグラスとマック、そしてニッチの3人が例の放送会社の社員に成り切り、当日ライアンにインタビューを行え。そして3人がインタビューをしている間にポッツとメンデスが対岸の工業地帯から狙撃する。当日はヘリや巡視船が沢山いると思われるから、狙撃後は事前に準備されたトラックに乗り現場を離脱しろ。そして爆破されたブリッジの辺りでインタビューは予定されているから、3人は不自然なく海に近づかせろ。いいな。ポッツとメンデスは工場の作業服を着て射撃しろ。終わったら銃器は海に投げ捨てて不自然なくトラックに乗り込み離れるんだ。分かったら準備だ。」
イスビッシュは伝え終わると部屋を後にして地下にある作戦室に入った。沢山のコンピューターがあり、ロレーヌ内の情勢が一目で分かるように中央に少し大きめのモニターが据え付けられていた。イスビッシュはオペレーターが操作するコンピューターを覗き込みながら話しかけた。
「どうだ?」
「順調ですよ。MOXのWebは軟弱でした。社員ファイルに潜り込んで襲撃する3人の偽記録を書き換えています。」
「よし、これで襲撃後は足がつかんな。」
「その通りです。作戦完了後は削除されるので安全です。」
「ご苦労。このまま続けてくれ。」
イスビッシュが立ち去ろうとするとオペレーターが呼び止めた。
「ついこの間送られてきた例の情報の送信主は誰だったんですか?」
「いや、それは分からんな。」
それだけ言うと部屋を後にした。
その頃屋外ではリストが調査のためにレイを呼び出し、2人きりになっていた。
「君のことは色々と聞いたよ。もと保安庁職員なんだってな。」
「知ってたんだ。」
「うん。なんで、ここに?」
「私が守っていた物が何だか、空虚に思えてきたんだ。私が守ってた物は何だったんだろうってね。」
「守ってきた物か.....」
「うん。そして私はここで戦うことで本来のセグワを取り戻せると思った。だからICICLEの一員になって戦ってる。かつて真の平和だったあの頃を取り戻す為にね。」
「結構崇高な考えなんだね。」
「まあ言うのは簡単だからさ、ちょっと盛っちゃったけど。」
「そんな事はないって。ところでICICLEには1人で入ろうと思ったの?」
「そう。私自身が決めた事よ。」
一呼吸置いてリストが聞いた。
「レイ、君が追い求めているセグワってなんだい?」
するとレイは上空を見上げて言った。
「あの鳥でさえ、悠々と翼を広げて隣の国に行けるのに、どうして私たちは今肩身の狭い思いをして暮らしているのか分からなくなる時があるんだ。戦前は真の平和が中央諸島の国にはあった。私はその生活を取り戻したいの。いつか私達があの鳥のように羽を伸ばして何ら不自由無く暮らせてたあの頃に戻るためにね。全然上手く言えないんだけど。」
終始穏やかな顔つきでレイは話した。
「そうなるといいね。」
それを聞いたリストは海の上を飛んでいる鳥を見ながら言った。
それからしばらくして1人になったリストは電話を取り出した。電話を掛けようと思ったがボタンを押す前に手が止まった。そのままリストはもう一度空を見上げ、一呼吸して電話をポッケにしまい込んだ。
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