Defense 2 完結

パンチマン

文字の大きさ
27 / 53
消えゆく存在と国家

27 キャスト交代

しおりを挟む

「ご覧ください!現在保安庁の特務警備部特殊警備課の部隊と州警の機動隊が防衛庁基地で警備活動を行なっています。防衛庁側も部隊を動員して、睨み合っている状況です。このような事態は各地で発生し、この事態を受けオーシア信任統治省始め、緊急閣議が召集されています。以上現場からでした。」


警備活動中の州警機動隊の目の前でOS社が中継していた。ケインはいつものように指揮車両にもたれかかって基地ゲートを見ていた。戦前とは変わって、オーシアと同じMARPAT迷彩の兵士たちがXM8を下げて立っていた。それに歩兵だけでなく装甲車もいた。こんな警備活動になんの意味があるのやら、ケインは内心ほくそえんで指揮車からこっそり隠し持っていたコーヒー缶を取り出してチビチビ飲み始めた。すると輸送車両内で待機していた特殊警備課の課員が声をかけて来た。


「隊長、俺たちまだ出番じゃないんですか?」


ヘルメットにバラクバラとガッツリ戦闘装備で身を固めた課員が車両の窓からひょっこり顔を出していた。


「引っ込んでろって、メディアに撮られたらまた批難されるから。」


するとすぐに奥に引っ込んでいった。全くせいせいするぜ、ケインはそう思ってコーヒーを一気に飲み干した。雪が積もって寒いのに、機動隊員達は身1つ震わせて無い事に気がついた。目栄えなんか張らなくていいのにねぇ。ケインは小馬鹿にして笑った。防衛庁の隊員でさえ普通に手を擦ったりして防寒対策をしているのに機動隊員たちは、盾を立てて、ビシッと一列に並んでいるだけだった。
 すると車両内に置いていた電話が鳴った。電話を取ってドアを閉めた。


『はいケイン。』


『ケインさん?俺だよ。テレビで見てる。召使いは大変ってとこか?』


『ああ、ビンテージさんか。まぁな。自分たちで、そうしておきながら収集がつかなくなって頭に血が昇ったのさ。馬鹿な親分の下にいると苦労するよ。』


『まぁな。それはこっちも同じだ。無能な指揮官は有能な部下を野垂れ死なせるからな。』


『それで、どうした?』


『ああ、本題に入ろう。先程20分ほど前、防衛庁の制服組トップを始め、数人の陸海空の高級職員らが一斉辞任したよ。』


『なに?本当か?』


『ああ、後数十分後にはニュースになるだろう。連中晴れてブリッジの一件をバラすつもりだ。けど、遅すぎたよ。ブリッジの後の狙撃事件や今起きてる事態、ここまで事が捻れたのなら、スカイラインが手のひら返せばそれまでだ。また1つたかが外れたよ。』


ケインはそれを聞いて黙っていた。


『おい、聞いてるのか?』


『ああ、聞きたくなくなって来たけどな。』


『聞いてもらうさ。ここからが問題だ。政府は自分たちの事は棚に上げておきながら、ここまで事態を悪化させた警察と保安庁を逆恨みしている。取るに値せずってな。そこで決まったのさ。舞台はそのまま、主役は交代って事さ。』


『おい、まさか。』


『そう、そのまさかさ。』


『今日の夜には全態勢の移行が完了するだろう。幸せじゃないか、これがオーシア国の民意だ。』


電話は切られた。ケインは車から出た。その日の空はどんより雲が永遠と続いていた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか? そのほかに外伝も綴りました。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

BL団地妻-恥じらい新妻、絶頂淫具の罠-

おととななな
BL
タイトル通りです。 楽しんでいただけたら幸いです。

上司、快楽に沈むまで

赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。 冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。 だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。 入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。 真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。 ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、 篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」 疲労で僅かに緩んだ榊の表情。 その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。 「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」 指先が榊のネクタイを掴む。 引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。 拒むことも、許すこともできないまま、 彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。 言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。 だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。 そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。 「俺、前から思ってたんです。  あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」 支配する側だったはずの男が、 支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。 上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。 秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。 快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。 ――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。

与兵衛長屋つれあい帖 お江戸ふたり暮らし

かずえ
歴史・時代
旧題:ふたり暮らし 長屋シリーズ一作目。 第八回歴史・時代小説大賞で優秀短編賞を頂きました。応援してくださった皆様、ありがとうございます。 十歳のみつは、十日前に一人親の母を亡くしたばかり。幸い、母の蓄えがあり、自分の裁縫の腕の良さもあって、何とか今まで通り長屋で暮らしていけそうだ。 頼まれた繕い物を届けた帰り、くすんだ着物で座り込んでいる男の子を拾う。 一人で寂しかったみつは、拾った男の子と二人で暮らし始めた。

彼の言いなりになってしまう私

守 秀斗
恋愛
マンションで同棲している山野井恭子(26才)と辻村弘(26才)。でも、最近、恭子は弘がやたら過激な行為をしてくると感じているのだが……。

三十年後に届いた白い手紙

RyuChoukan
ファンタジー
三十年前、帝国は一人の少年を裏切り者として処刑した。 彼は最後まで、何も語らなかった。 その罪の真相を知る者は、ただ一人の女性だけだった。 戴冠舞踏会の夜。 公爵令嬢は、一通の白い手紙を手に、皇帝の前に立つ。 それは復讐でも、告発でもない。 三十年間、辺境の郵便局で待ち続けられていた、 「渡されなかった約束」のための手紙だった。 沈黙のまま命を捨てた男と、 三十年、ただ待ち続けた女。 そして、すべてを知った上で扉を開く、次の世代。 これは、 遅れて届いた手紙が、 人生と運命を静かに書き換えていく物語。

処理中です...