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消えゆく存在と国家
27 キャスト交代
しおりを挟む「ご覧ください!現在保安庁の特務警備部特殊警備課の部隊と州警の機動隊が防衛庁基地で警備活動を行なっています。防衛庁側も部隊を動員して、睨み合っている状況です。このような事態は各地で発生し、この事態を受けオーシア信任統治省始め、緊急閣議が召集されています。以上現場からでした。」
警備活動中の州警機動隊の目の前でOS社が中継していた。ケインはいつものように指揮車両にもたれかかって基地ゲートを見ていた。戦前とは変わって、オーシアと同じMARPAT迷彩の兵士たちがXM8を下げて立っていた。それに歩兵だけでなく装甲車もいた。こんな警備活動になんの意味があるのやら、ケインは内心ほくそえんで指揮車からこっそり隠し持っていたコーヒー缶を取り出してチビチビ飲み始めた。すると輸送車両内で待機していた特殊警備課の課員が声をかけて来た。
「隊長、俺たちまだ出番じゃないんですか?」
ヘルメットにバラクバラとガッツリ戦闘装備で身を固めた課員が車両の窓からひょっこり顔を出していた。
「引っ込んでろって、メディアに撮られたらまた批難されるから。」
するとすぐに奥に引っ込んでいった。全くせいせいするぜ、ケインはそう思ってコーヒーを一気に飲み干した。雪が積もって寒いのに、機動隊員達は身1つ震わせて無い事に気がついた。目栄えなんか張らなくていいのにねぇ。ケインは小馬鹿にして笑った。防衛庁の隊員でさえ普通に手を擦ったりして防寒対策をしているのに機動隊員たちは、盾を立てて、ビシッと一列に並んでいるだけだった。
すると車両内に置いていた電話が鳴った。電話を取ってドアを閉めた。
『はいケイン。』
『ケインさん?俺だよ。テレビで見てる。召使いは大変ってとこか?』
『ああ、ビンテージさんか。まぁな。自分たちで、そうしておきながら収集がつかなくなって頭に血が昇ったのさ。馬鹿な親分の下にいると苦労するよ。』
『まぁな。それはこっちも同じだ。無能な指揮官は有能な部下を野垂れ死なせるからな。』
『それで、どうした?』
『ああ、本題に入ろう。先程20分ほど前、防衛庁の制服組トップを始め、数人の陸海空の高級職員らが一斉辞任したよ。』
『なに?本当か?』
『ああ、後数十分後にはニュースになるだろう。連中晴れてブリッジの一件をバラすつもりだ。けど、遅すぎたよ。ブリッジの後の狙撃事件や今起きてる事態、ここまで事が捻れたのなら、スカイラインが手のひら返せばそれまでだ。また1つたかが外れたよ。』
ケインはそれを聞いて黙っていた。
『おい、聞いてるのか?』
『ああ、聞きたくなくなって来たけどな。』
『聞いてもらうさ。ここからが問題だ。政府は自分たちの事は棚に上げておきながら、ここまで事態を悪化させた警察と保安庁を逆恨みしている。取るに値せずってな。そこで決まったのさ。舞台はそのまま、主役は交代って事さ。』
『おい、まさか。』
『そう、そのまさかさ。』
『今日の夜には全態勢の移行が完了するだろう。幸せじゃないか、これがオーシア国の民意だ。』
電話は切られた。ケインは車から出た。その日の空はどんより雲が永遠と続いていた。
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