28 / 53
消えゆく存在と国家
28 体制移行完了
しおりを挟む本国では、部隊が再編されオスプレイや輸送機に次々と兵士らが乗り込んだ。それらの目的地はセグワ島。本国政府はセグワ島に戒厳令を発令し本国の軍隊と防衛庁防衛軍とを治安維持のために出動させた。
その日のうちの夜、特殊警備課は本庁命令で埋立地に強制的に戻りそこで待機状態に入った。ケインは隊長室から外を眺めた。いつもの夜とはその日はちょっと違っていた。
「来たぞー!」
下の方で整備士らが興奮しながら高架の方を指差して口々に言っていた。後からぞろぞろと職員らも出てきている。ケインも整備士が指差す方を注視してみた。
あの戦争以来か
輸送車両に乗せられたM1、50口径の機関銃を乗せた車両、高架の通りはオーシア本国軍の車列が出来上がっていた。それだけでなく、暗夜の空を切り裂くようにレッドライトを点滅させながらオスプレイやブラックホークなどが飛行していった。まるで今から大戦でも始めるのかと思うほどの兵力だった。車列は延々と続き、最後尾が通り過ぎって行ったのは30分ほどたった後だった。通り過ぎると再び埋立地には静寂が訪れた。ケインは椅子に座ってシャロンに向かって言った。
「まさかこんな事になるなんてねぇ。」
「このままだと、駄目だわ。」
シャロンは机に肘をついて神妙な顔つきで言った。
「駄目って何が?」
「いいえ、何でもないわ。それより、仮眠取らなくていいの?しばらくはここから出られないと思うわよ。」
「もうそんな時間か。じゃあ先に失礼するわ。」
ケインはそう言うと隊長室を出て、仮眠室に入った。
隊長室に1人残されたシャロンの携帯電話が鳴った。
『はい。シャロンです。』
『シャロン。そっちはどうだ。』
シャロンはその声で察した。
『もうやめて....私はこれ以上は...』
『やめたければやめればいい。だがその時はどうなるかお前が1番知っているはずだ。先程こちらにイーベルから連絡が入った。明日深夜、ロレーヌ州内で接触しろ。以上だ。』
それだけ言うと電話は一方的に切られた。シャロンは携帯を机の上に置いた。下をうつむいて拳を強く握った。するとドアが開いてケインが入ってきた。シャロンは慌てて携帯をしまった。
「ごめんごめん。携帯忘れちゃってた。」
「あ、ああ、別に鳴ったら持って行ってあげるから大丈夫よ?」
携帯をとってドアのノブを握った所でケインはシャロンを見た。
「シャロンさん。顔色悪いけど大丈夫?」
「大丈夫よ。というか最近何なの?その絡みが多いわね。」
「ならいいや。んじゃ。」
ケインは部屋を出て行った。シャロンは大きく深呼吸して天井を見た。
0
あなたにおすすめの小説
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
上司、快楽に沈むまで
赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。
冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。
だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。
入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。
真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。
ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、
篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」
疲労で僅かに緩んだ榊の表情。
その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。
「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」
指先が榊のネクタイを掴む。
引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。
拒むことも、許すこともできないまま、
彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。
言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。
だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。
そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。
「俺、前から思ってたんです。
あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」
支配する側だったはずの男が、
支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。
上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。
秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。
快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。
――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。
与兵衛長屋つれあい帖 お江戸ふたり暮らし
かずえ
歴史・時代
旧題:ふたり暮らし
長屋シリーズ一作目。
第八回歴史・時代小説大賞で優秀短編賞を頂きました。応援してくださった皆様、ありがとうございます。
十歳のみつは、十日前に一人親の母を亡くしたばかり。幸い、母の蓄えがあり、自分の裁縫の腕の良さもあって、何とか今まで通り長屋で暮らしていけそうだ。
頼まれた繕い物を届けた帰り、くすんだ着物で座り込んでいる男の子を拾う。
一人で寂しかったみつは、拾った男の子と二人で暮らし始めた。
三十年後に届いた白い手紙
RyuChoukan
ファンタジー
三十年前、帝国は一人の少年を裏切り者として処刑した。
彼は最後まで、何も語らなかった。
その罪の真相を知る者は、ただ一人の女性だけだった。
戴冠舞踏会の夜。
公爵令嬢は、一通の白い手紙を手に、皇帝の前に立つ。
それは復讐でも、告発でもない。
三十年間、辺境の郵便局で待ち続けられていた、
「渡されなかった約束」のための手紙だった。
沈黙のまま命を捨てた男と、
三十年、ただ待ち続けた女。
そして、すべてを知った上で扉を開く、次の世代。
これは、
遅れて届いた手紙が、
人生と運命を静かに書き換えていく物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる