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23章 ようやく少し観光を
公爵邸
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前日は、トモエにとっては良き日であり、オユキの方でも多少なりとも収穫というのがあった。
御用商人と言えばいいのか、交渉でよくある手段として最初に無理を吹っかけてその後譲歩したように見せかけて本命をと、実にわかりやすい振る舞いを見せてくれた結果として、オユキからはただそこで購入したことがあり、今も勿論選択肢として上位に入るのだとそんな言葉だけを。銀製品は、勿論公爵夫人からの慣習が入る事にはなったが、戦と武技としての品が求められている事もある。チーズに関しては保存食でもあるため、アルノーだけでなく喜ぶものも多い為いくらあっても構いはしないだろうと、領都を後にするまでの間に以前は難しかったフレッシュチーズの類も納めてくれと話。銀製品に関しても、以前は少し難しかった装飾をきちんとした物を改めて発注して。
振り返ってみれば、オユキとしても悪い時間では無かったのだろうと、そう考える様な物。
「オユキさんは、川下りの方が楽しかったでしょうから。」
「確か、オユキの方が遠景を眺める事を好むのだったかしら。」
そして、今日は公爵夫妻に招かれて。
「その、買い物も嫌いという訳では無いのですが。やはり実物を目にしてみたいと言いますか。」
「それは、我らの立場ではなかなか難しかろう。」
オユキの思う買い物、仕事としてではない物であってもどうしてもある程度確認してからとしたいと、そんな事を考えてしまう。
「その辺りは、事前に言い含めれば良いのです。」
「流石に、予定もなかなか決まる物ではありませんでしたから。」
公爵夫人からは事前に用意させろと、仕事としてであればそうした手段もあると分かるだろうと言われる物だが、それをしようにも手が足りず連絡が行き届かない。
生前にもあったこととして、確かに立場がしたと言えばいいのか。営業としてくる者達に対しては、資料を用意してくれと願う事はままあったし、それを当然とする土壌が確かにあったのだがこちらではそれもなかなか難しい。過去、営業にかかる費用としてそれを計上できていたのは十分な者がそこにあったから。しかし、こちらでは無為に終わると知っていれば、それをどうとらえるものかと。
「それもそうかとは我も思うのだがな。」
「家を持つ相手、その家に出入りが出来た。それだけでも商いをする人間にとっては、十分すぎる程。」
「それを良しとしたくは、無いのですよね。」
仕事の話をする予定ではあったのだ。しかし、公爵を、仕事の話を進めたいと考える公爵を夫人が止めた。だから今日は、あくまでお茶会として。
「それにしても、本当に貴女方はよくわかりません。」
「さて、いよいよどういった意味合いかが。」
公爵夫人がカップを片手に、呆れたと言わんばかりにそんな事を言うのだがオユキとしては、色々と思い当たるところが多すぎる。
「知識の齟齬と言えばいいのでしょうね。これが解るのなら、知っていて当然。そう私たちが考えるものと、随分と食い違いが大きい。」
「それは、確かに我も常々感じてはいるな。」
「と、言われましても。」
そもそも、異邦人とはそのような物ではないか。オユキにとってはそう言うしかない。
余所の文化風習など、やはり聞かねば、見ねば分からぬものである。企業が変われば、社風が変わるどころでは無く、国が変われば暗黙の了解とされている事が変わるどころでは無く。世界が違うのだから、言われたところでどうにもならぬというしかない。
「一応は、なるべく合わせようと考えてはいるのですが。」
「確かにそうした様子は見られます。」
「うむ。他よりは幾分かどころでは無いというのも分かる。」
「甘やかされている、それは分かる物ですから。今後とは考えているのですが、残る期間も短いので。」
そう。オユキの決めている事として、やはり期間というものがあり、それは最早残り四年を切ろうとしている。このあたりは流石にトモエとも話はしたのだが、何処から5年かという問題もあり既に四年も無いと最初は考えていたのだが、恐らくはという事でもなく悩んでいるところを理解していたからかそっといつぞやの手紙に末尾に添えられていたのだ。トモエとオユキに伝えた時点からとそう書かれていたこともある。
「それか。」
「あまり言い訳に使って欲しくはありませんが、まぁそうなるのでしょう。」
公爵夫妻は、やはりそこは未だに変わらぬのかと。
「仕方が無いと、それも分かります。やはり私にしても、今のオユキのような状況になればなりふり構わずとそうせざるを得ないでしょう。」
「ご理解を頂けて何よりです。」
「うむ。正直な所、我も早々に後を任せてしまいたい、その欲が常にある故な。」
既に公爵夫妻も老境と呼んで差し支えない年ごろ。だからこそ、他の物たちに比べればはるかにこの二人に対して理解がある。
この夫妻にしても、許されるなら日々こうしてゆっくりと過ごしたいと考えている事だろう。それだけの事を、既に行い続けた者達でもある。見えぬ物からしてみれば、何をいまさら安穏としたいと望んでいるのか。そう言われることもあるだろうが、彼らの若き日というのは、要は今ほどでは無かったという事だ。
オユキは、会社を辞めてから殊更そうした時間を好んだ。トモエは、己の人生を懸けた物が武の道であったため、こちらは基本として変わる事は無かったが、それでも刀を置く時間がある程度は増えていた。
精神修養として、そういった部分に重きを置く者達が見た光景、良しとしている光景というのが老境に入り筋力も落ち始め、これまで確かにあった己の力が失われていくという、嘆きに襲われる境地と向き合う者達の姿ではあったのだろう。トモエは、そんな事を考えてはいなかったのは確かだ。失われていくものに心を向けたとて、先が無いとそんな事に思いを馳せるのは無駄だと切り捨てていた。それよりも、今の己に何ができるのか。既に無くなった師である父が何を修正の目標と置いたかというそうした先達がいた事もある。
「マリーア伯は難しいでしょうし、ファルコ君も、リヒャルト君もまだまだ訓練が必要でしょうからね。」
「訓練と言えばいいのか、経験と言えばよいのか。今回の事は、我もよもやとは思ったのだが。」
「甘やかしすぎ、だったのでしょうか。」
公爵夫人の言葉は、さて、己の事かそれとも。
「経験不足ばかりは、正直な所仕方が無いというしかないのでは。」
ただ、悲観的になる物の中でもトモエからは。
「今まさに鍛錬の場があり、そこできちんと身についているようですから。」
「うむ。それもそうなのだがな。」
「仮に今の状況に、こうして私達ですらかじ取りも効かぬ状況に流されたとして、それに文句を言うのであれば、それこそお前がやって見せよとそう言えばよいではありませんか。」
トモエとしては、成程、そこまで言うのであればさぞかし素晴らしい代案があるのだろうと、ならば貴様がそれを出せとトモエは平然とそう言うだろう。そして、挙げられた物が既に検討済みの事であれば、その場で挙げられた疑問、そこで起こるだろう疑問をぶつけた上で試しとする。
「そうしたいのは山々ではあるのだがな、いちいち聞く時間がただ惜しい。」
「ええ。そうしたことを考えるものたちは多くいますから。」
ただ、トモエの意見というのは、公爵その人とオユキとしては選択が出来ぬと。
「勿論、ある程度以上の地位にと言えばいいのでしょうか、相応の役職を持っている方が言い出したのであれば、ある程度の予算の枠を作った上で任せたりも出来るのですが。」
「うむ。実際に我らが領地を任せるという事は、そうした物であるしな。」
「では、こう、どう言えばいいのでしょうか。ある程度以上の支持を得ていない方、集団の代表となる事も出来ない方にというのは。」
さて、その程度も出来ぬ人間に任せる事など、正直できぬというしかない。
トモエとして見れば、何処か納得がいかぬとそうした風情ではあるため、オユキからはさらに言葉を加えて。
「人一人で出来る事など、正直限られていますから。」
「いえ、相応の資産があれば、初めから人を使ってと出来るのでは。」
「その事か。それについては、そもそも我らに許可を、予算を求めずとも己の枠の内で好きにするのでな。」
そう、そもそも誰かを、他の何かを当てにする必要も無い物たちは己の枠の内で好きにする。それが確かに届くようであれば、改めて話を聞こうと、それこそ既に基盤を持て居る者達が頭を下げてとする。それが叶わぬ者達が、他者の共感を得られる者達というのは、確かに頭抜けていれば、いよいよ誰の理解も得られぬほどの能力を持って先を見ている事があるとしても、やはりその者達が何某かを残した結果として、後世に発掘されれば良いのだ。誰にも理解が得られぬという事は、つまりはその時世に在っていないという事。それがどれほど革新的であったとして、その時代には費用が見合わぬ話。
「私から言えるのは、そういった事でしょうか。」
茶菓の友に、オユキからそうした己の哲学という程でもない美学をつらつらと話せば、トモエの方でも確かにと納得できる部分があったのだろう。今はただそれに対して頷きを。
「成程、確かにそうした物であろうな。」
「ええ。私たちの思い付きなど、過去にどれだけの者が思いついていたのか。」
「それにしても、こうして時が来れば自然と改めて開かれる。我らの行いなど、さていよいよもって何と評すればいいのか。」
天才と呼ばれる人種は、間違いなく存在する。
特に秀でた物というものは、どれほどの数存在するかも分からない。平均値などというのは、所詮は有象無象までを含めて均した数値。そこから頭一つ抜けているからと言って、同じ位置で見ればそちらも有象無象。
「天稟を持つ方というのは、本当に抜けていますからね。」
「うむ。当時の事を想えば、そんな案など現実的ではない、我らが耐えられぬとさて、どれほどが切り捨てられたのか。」
「そういった者達が、今もいたのならと、時流に合わぬ者達が今まさに、時流に合わせていてくれたならと願わずにはいられませんね。」
ただ、そうした者がまさに今いたとしたのならば、それこそトモエとオユキが振り回す事よりもよほど酷い事態が巻き起こされていたことだろう。
御用商人と言えばいいのか、交渉でよくある手段として最初に無理を吹っかけてその後譲歩したように見せかけて本命をと、実にわかりやすい振る舞いを見せてくれた結果として、オユキからはただそこで購入したことがあり、今も勿論選択肢として上位に入るのだとそんな言葉だけを。銀製品は、勿論公爵夫人からの慣習が入る事にはなったが、戦と武技としての品が求められている事もある。チーズに関しては保存食でもあるため、アルノーだけでなく喜ぶものも多い為いくらあっても構いはしないだろうと、領都を後にするまでの間に以前は難しかったフレッシュチーズの類も納めてくれと話。銀製品に関しても、以前は少し難しかった装飾をきちんとした物を改めて発注して。
振り返ってみれば、オユキとしても悪い時間では無かったのだろうと、そう考える様な物。
「オユキさんは、川下りの方が楽しかったでしょうから。」
「確か、オユキの方が遠景を眺める事を好むのだったかしら。」
そして、今日は公爵夫妻に招かれて。
「その、買い物も嫌いという訳では無いのですが。やはり実物を目にしてみたいと言いますか。」
「それは、我らの立場ではなかなか難しかろう。」
オユキの思う買い物、仕事としてではない物であってもどうしてもある程度確認してからとしたいと、そんな事を考えてしまう。
「その辺りは、事前に言い含めれば良いのです。」
「流石に、予定もなかなか決まる物ではありませんでしたから。」
公爵夫人からは事前に用意させろと、仕事としてであればそうした手段もあると分かるだろうと言われる物だが、それをしようにも手が足りず連絡が行き届かない。
生前にもあったこととして、確かに立場がしたと言えばいいのか。営業としてくる者達に対しては、資料を用意してくれと願う事はままあったし、それを当然とする土壌が確かにあったのだがこちらではそれもなかなか難しい。過去、営業にかかる費用としてそれを計上できていたのは十分な者がそこにあったから。しかし、こちらでは無為に終わると知っていれば、それをどうとらえるものかと。
「それもそうかとは我も思うのだがな。」
「家を持つ相手、その家に出入りが出来た。それだけでも商いをする人間にとっては、十分すぎる程。」
「それを良しとしたくは、無いのですよね。」
仕事の話をする予定ではあったのだ。しかし、公爵を、仕事の話を進めたいと考える公爵を夫人が止めた。だから今日は、あくまでお茶会として。
「それにしても、本当に貴女方はよくわかりません。」
「さて、いよいよどういった意味合いかが。」
公爵夫人がカップを片手に、呆れたと言わんばかりにそんな事を言うのだがオユキとしては、色々と思い当たるところが多すぎる。
「知識の齟齬と言えばいいのでしょうね。これが解るのなら、知っていて当然。そう私たちが考えるものと、随分と食い違いが大きい。」
「それは、確かに我も常々感じてはいるな。」
「と、言われましても。」
そもそも、異邦人とはそのような物ではないか。オユキにとってはそう言うしかない。
余所の文化風習など、やはり聞かねば、見ねば分からぬものである。企業が変われば、社風が変わるどころでは無く、国が変われば暗黙の了解とされている事が変わるどころでは無く。世界が違うのだから、言われたところでどうにもならぬというしかない。
「一応は、なるべく合わせようと考えてはいるのですが。」
「確かにそうした様子は見られます。」
「うむ。他よりは幾分かどころでは無いというのも分かる。」
「甘やかされている、それは分かる物ですから。今後とは考えているのですが、残る期間も短いので。」
そう。オユキの決めている事として、やはり期間というものがあり、それは最早残り四年を切ろうとしている。このあたりは流石にトモエとも話はしたのだが、何処から5年かという問題もあり既に四年も無いと最初は考えていたのだが、恐らくはという事でもなく悩んでいるところを理解していたからかそっといつぞやの手紙に末尾に添えられていたのだ。トモエとオユキに伝えた時点からとそう書かれていたこともある。
「それか。」
「あまり言い訳に使って欲しくはありませんが、まぁそうなるのでしょう。」
公爵夫妻は、やはりそこは未だに変わらぬのかと。
「仕方が無いと、それも分かります。やはり私にしても、今のオユキのような状況になればなりふり構わずとそうせざるを得ないでしょう。」
「ご理解を頂けて何よりです。」
「うむ。正直な所、我も早々に後を任せてしまいたい、その欲が常にある故な。」
既に公爵夫妻も老境と呼んで差し支えない年ごろ。だからこそ、他の物たちに比べればはるかにこの二人に対して理解がある。
この夫妻にしても、許されるなら日々こうしてゆっくりと過ごしたいと考えている事だろう。それだけの事を、既に行い続けた者達でもある。見えぬ物からしてみれば、何をいまさら安穏としたいと望んでいるのか。そう言われることもあるだろうが、彼らの若き日というのは、要は今ほどでは無かったという事だ。
オユキは、会社を辞めてから殊更そうした時間を好んだ。トモエは、己の人生を懸けた物が武の道であったため、こちらは基本として変わる事は無かったが、それでも刀を置く時間がある程度は増えていた。
精神修養として、そういった部分に重きを置く者達が見た光景、良しとしている光景というのが老境に入り筋力も落ち始め、これまで確かにあった己の力が失われていくという、嘆きに襲われる境地と向き合う者達の姿ではあったのだろう。トモエは、そんな事を考えてはいなかったのは確かだ。失われていくものに心を向けたとて、先が無いとそんな事に思いを馳せるのは無駄だと切り捨てていた。それよりも、今の己に何ができるのか。既に無くなった師である父が何を修正の目標と置いたかというそうした先達がいた事もある。
「マリーア伯は難しいでしょうし、ファルコ君も、リヒャルト君もまだまだ訓練が必要でしょうからね。」
「訓練と言えばいいのか、経験と言えばよいのか。今回の事は、我もよもやとは思ったのだが。」
「甘やかしすぎ、だったのでしょうか。」
公爵夫人の言葉は、さて、己の事かそれとも。
「経験不足ばかりは、正直な所仕方が無いというしかないのでは。」
ただ、悲観的になる物の中でもトモエからは。
「今まさに鍛錬の場があり、そこできちんと身についているようですから。」
「うむ。それもそうなのだがな。」
「仮に今の状況に、こうして私達ですらかじ取りも効かぬ状況に流されたとして、それに文句を言うのであれば、それこそお前がやって見せよとそう言えばよいではありませんか。」
トモエとしては、成程、そこまで言うのであればさぞかし素晴らしい代案があるのだろうと、ならば貴様がそれを出せとトモエは平然とそう言うだろう。そして、挙げられた物が既に検討済みの事であれば、その場で挙げられた疑問、そこで起こるだろう疑問をぶつけた上で試しとする。
「そうしたいのは山々ではあるのだがな、いちいち聞く時間がただ惜しい。」
「ええ。そうしたことを考えるものたちは多くいますから。」
ただ、トモエの意見というのは、公爵その人とオユキとしては選択が出来ぬと。
「勿論、ある程度以上の地位にと言えばいいのでしょうか、相応の役職を持っている方が言い出したのであれば、ある程度の予算の枠を作った上で任せたりも出来るのですが。」
「うむ。実際に我らが領地を任せるという事は、そうした物であるしな。」
「では、こう、どう言えばいいのでしょうか。ある程度以上の支持を得ていない方、集団の代表となる事も出来ない方にというのは。」
さて、その程度も出来ぬ人間に任せる事など、正直できぬというしかない。
トモエとして見れば、何処か納得がいかぬとそうした風情ではあるため、オユキからはさらに言葉を加えて。
「人一人で出来る事など、正直限られていますから。」
「いえ、相応の資産があれば、初めから人を使ってと出来るのでは。」
「その事か。それについては、そもそも我らに許可を、予算を求めずとも己の枠の内で好きにするのでな。」
そう、そもそも誰かを、他の何かを当てにする必要も無い物たちは己の枠の内で好きにする。それが確かに届くようであれば、改めて話を聞こうと、それこそ既に基盤を持て居る者達が頭を下げてとする。それが叶わぬ者達が、他者の共感を得られる者達というのは、確かに頭抜けていれば、いよいよ誰の理解も得られぬほどの能力を持って先を見ている事があるとしても、やはりその者達が何某かを残した結果として、後世に発掘されれば良いのだ。誰にも理解が得られぬという事は、つまりはその時世に在っていないという事。それがどれほど革新的であったとして、その時代には費用が見合わぬ話。
「私から言えるのは、そういった事でしょうか。」
茶菓の友に、オユキからそうした己の哲学という程でもない美学をつらつらと話せば、トモエの方でも確かにと納得できる部分があったのだろう。今はただそれに対して頷きを。
「成程、確かにそうした物であろうな。」
「ええ。私たちの思い付きなど、過去にどれだけの者が思いついていたのか。」
「それにしても、こうして時が来れば自然と改めて開かれる。我らの行いなど、さていよいよもって何と評すればいいのか。」
天才と呼ばれる人種は、間違いなく存在する。
特に秀でた物というものは、どれほどの数存在するかも分からない。平均値などというのは、所詮は有象無象までを含めて均した数値。そこから頭一つ抜けているからと言って、同じ位置で見ればそちらも有象無象。
「天稟を持つ方というのは、本当に抜けていますからね。」
「うむ。当時の事を想えば、そんな案など現実的ではない、我らが耐えられぬとさて、どれほどが切り捨てられたのか。」
「そういった者達が、今もいたのならと、時流に合わぬ者達が今まさに、時流に合わせていてくれたならと願わずにはいられませんね。」
ただ、そうした者がまさに今いたとしたのならば、それこそトモエとオユキが振り回す事よりもよほど酷い事態が巻き起こされていたことだろう。
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