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28章 事も無く
事も無し
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予定の確認に午前中を費やして。昼からは、いつものようにトモエは鍛錬の為に広い庭に。オユキは、それを見るためにと四阿で。時間をそれぞれに過ごす、その楽しさに。
「ユーフォリアが、と言う事は無いのですね」
「ええ。流石に、それも色々と難しいというのは理解していますから」
「では、オユキ様の期待に応えられるよう」
「その、私が直接好みを言うのも難しいので」
そのあたりは、流石にユーフォリアに尋ねるか、オユキの観察の結果としてほしい物だとシェリアに告げる。側に置く相手は、ユーフォリアになるだろうと、そう考えていたのだろう。だが、オユキとしてはやはりユーフォリアに任せてしまいたいことがはっきりとある。今も、ユーフォリアがオユキに変わり、これまで一切確認していなかった書簡の類を確認している。それと、トモエとオユキ、それぞれから頼まれている予定の調整に関しても。神殿に向かう、それを決めたのはいいのだが、持っていくものの選定もあれば、護衛の手配もある。神殿に改めて刺繍を納めに行く、それが決まっている以上は方々に連絡もしなければならないし、神殿にも当然事前に話を通す必要もある。つまりは、過去に散々に頼んでいた方々への連絡と予定の調整をユーフォリアに頼んで。これまでは、それこそカレンに任せてその下にいる者たちに、そうしていたのだが生憎と。カレンが今はいないこともあれば、流石に経験が不足しているとはっきりわかる年若い少女に任せて、後は知らぬとするのも難しい。
そのカレンについては、マリーア公爵の領都で羽を休める様にと言う話ではあったのだが何やらアマリーアにつかまって色々とこちらも難しい事になっているらしい。要は、アマリーアが商業ギルドの長を辞めるための口実に、自分がされそうだと。そんな救援要請と言えばいい物か、マリーア公爵に相談するべき事柄について。アマリーアにしても、あくまで冗談の割合が大きい物でしかないのだろう。そちらに対しても教育係、今後はそれでもカレンを上に置くには違いないのだが、オユキの側に居ても相談できる相手としてユーフォリアが来たのだと示さなければならない。結果として、ユーフォリアに対してあれこれと試すような手は打ってくるだろうが、そこはそれ。
「今後の予想と言いますか」
「ええ。ユーフォリアからも、既に相談を受けていることもあります」
「恐らく、私の知っていることと、ユフィの知識にも差がありますから。アマリーア様、領都の商業ギルドで長を務めておられる方なのですが」
ユーフォリアが相談しているのは、内向きの事だというのはよく分かる。オユキが任せたことにしても、実際にそうした向きであることも事実。だが、外から、今ユーフォリアに頼んだこと以外と言うのは間違いなく存在する。
「カレンでは、流石にまだ難しい事もあるでしょう」
「成程。そのあたりは、私よりもラズリアの領分ですね。いえ、休暇が終われば、エステールになりますか」
「エステール様が、ですか」
「子爵家の当主として、長くあった方ですよ。オユキ様の身の回り、それだけを考えて置かれるような人員ではありません」
シェリアの言葉に、オユキは思わずとばかりに数度瞬きをする。
「それは、いえ、確かにローレンツ卿の事だけとは出来ませんか」
「叔父様に配慮と言うのは、今の神国では難しいですから」
「そうでしょうとも」
よもやと言えばいいのだろうか。そうした能力があるのか、最早怪しい年齢になって。それ程に年を重ねた人物、さらにはお相手にしても第二代国王陛下の御代から使え続けてきた存在。重鎮かと言われれば本人は固辞するのだろうが、それでも近衛になるような才ある人物の教育係につけられるようなまさに一門の人物だ。そんな相手との間に、新しい子供が等と言う話が上がったのだ。今は魔国で、オユキという戦と武技の巫女の代わりにと、そうした体でどうにか時間を確保している。彼にしても、神国に誰かが戻るたびに持ち込まれる大量の手紙の処理に、随分と難儀はしているようだ。
「マリーア公爵家と」
「ええ、そちらも随分と問題に」
そして、シェリアはただただ続柄が近しい者として、困ったことだと言わんばかりにため息を。
「いっそ、フォキナ家もウニルにと、そうなりそうですね」
「それは、あまりにも過剰と言いますか。叔父様は、それが叶うならと言い出しそうですけれど」
「シェリアも、今後はあの町で務めるのでしょう」
その予定を、オユキとしても守りたい。トモエも、オユキが特にこうしてこちらで新しく見つけた、頼っても良いと考え始めている相手。その進退について、オユキの考える様にと可能な限りの配慮を行うと決めている。それこそ、ファンタズマ子爵家の家督は流石に難しいのだが、それでも財貨の大部分は、この家が今後も残ると決まらなければ、シェリア個人に向ける事を考えている。だからこそ、手を付けていない布も多くある。
「レイン家の跡取りは、確かに他にいますがウニルはレジス侯の土地となるのでは」
「一子爵家、ええ、問題とはならないでしょうから」
「ファンタズマ子爵家は、他の子爵家と比べても確かに不足している部分は多いでしょうが」
シェリアから見れば、ファンタズマ子爵家の財と言うのは、立ち位置と言うのははっきりと言って異常なのだと表情が全く隠れていない。要は、神国における貴族階級と言うのは生前に合った物とはまた仕組みが異なっている。男爵家と言うのは、あくまでそれ以上の家が任命権を持っている名ばかり、という程ではないのだが、要は歓心を買うために、統治に必要だと考える物を国からの年金として長期での分割購入などを考える時に渡すための物。空手形と言うには、はっきりと実利を持っている道具。子爵家にしても、実際のところは侯爵以上が任命権を持っている、そんな家柄。男爵に比べて、今後も長くと、家の維持を行う事を前提として、一部の責務を与えた上でこれからともに領地をと考える相手に与える位だと言う事らしい。つまりは、神国から直接その位を与えられたファンタズマ子爵家。その時点で、色々と例外があるのだと内外に宣伝していると言う訳だ。加えて、個人に対して与えられる位と言うのも未だに馴染んでいないが既に導入されている。そして、オユキの持つ物は、子爵という物を優に超えているのだ。
「あの子たちにも、多少はと考えているのですが」
「教会に、そうするのが良いのではと」
「そう、なのでしょうね」
子供たちに、少年たちに。望まないのだとしても、喜ばれないのだとしても。あって困るものではないのだからと、渡してしまっても構わないだろうと。どちらかと言えば、それを考えているのはオユキよりもトモエではある。始まりの町には、ファンタズマ子爵家の隣に、着々とあの少年たちが暮らすための屋敷が用意されている。もとより、周囲に住んでいた家もあるにはある。傭兵たちが、傭兵ギルドに登録している者たちの一部が住んでいたのだが、そのあたりは実に速やかに退去が行われて。申し訳ないと、そう考えて補填を申し出たところで、寧ろ新しい家であったり職場から離れた場所に、ようやく寝泊まりできるとばかりに各々が喜んでいたものだ。
「神は天にいまし給いて、世にはただ良きものが」
かつての世界にいた詩人。その一節を、ただオユキは己の国の言葉として。
「そうある様に、そうあれるように」
季節は既に過ぎ去って、時間もやはり既に遠い。
「オユキ様は、相変わらず、そちらはお好きなのですよね」
「好みでいえば、ええと、確かに嫌いではありませんが」
詩歌の類は、オユキにとっては老境の折に得た趣味の一つ。刀を振る時間も相応に短くなり、仕事にしてもすっかりと任せてしまってから後。ゲームにしても、やはり熱狂していたものがもはや提供されなくなったために、孫たちが、ひ孫たちが訪れたときに触ることが多くなった時に。そんなときに、暇を持て余すくらいならと手慰みに和歌から入っては見たのだ。トモエのほうは、やはり繕い物であったり、それこそ日々の食事であったりに精を出していたこともある。そうした物を、いまさらオユキが手伝ったところでと、トモエがそのような姿勢を見せていたこともある。どうにも、オユキの性分とでもいえばいいのだろうか。機能を果たせるのならば、他はどうでもよいではないかとそう考えてふるまってしまう。料理にしても、衣服の事についても。言ってしまえば、必要な栄養価の摂取が出来るのならば、全く問題が無いと考えてしまう。事実、トモエがオユキの世話を始めるまで。オユキが口にしていたのは、液体としての完全栄養食。両親が、オユキに残した財産と言うんのはかつての世界でも十分以上の物であり、それを使って通販で、定期的にそれを頼んでいたのだ。
オユキの食事量の少なさ、今抱えている健康上の問題。そうした部分が、まさに過去に起因している。ユーフォリアの言葉、オユキに必要な物と言うんのは、あくまで食べやすい物無理なく口に運べるものをただ詰め込むのが良いのだと、そうした発言にトモエが抵抗を示した原因でもある。
「こちらの形式とは、また違う物を主に」
「カリン様が、詳しい様子でしたが」
「そうですね。カリンさんの暮らしていた地、そちらから伝わってきた物も確かに手慰みにとしていましたが」
オユキが好んだのは、言ってしまえば定型詩。定められた文字数、音律。そうした物を把握して、決まった形の中で。オユキが好むものは、どうしても枠の中、そこにあることが出来る様にと。己が、己の境遇が、それからはるか遠くにあるのだと理解してしまっているからこそ。
こちらに来てからは、時間がないため仕方が無いとしてはいるのだが、やはりそれでも。
「最後の一年くらいは、そう考えてしまいますね」
トモエは、この世界を気に入ってくれている。日々を楽しんで、暮らしてくれている。オユキにとっては、それだけでも十分にうれしい事ではある。ただ、それ以上を求めるというのであれば、オユキのほうでも色々と考えなければいけない。今のまま、とにもかくにも、どうにか用意した現状以上をかんげ無ければいけない。
「各地で、門がつながれば」
そう、それを一先ずの目標としたうえで。
「ユーフォリアが、と言う事は無いのですね」
「ええ。流石に、それも色々と難しいというのは理解していますから」
「では、オユキ様の期待に応えられるよう」
「その、私が直接好みを言うのも難しいので」
そのあたりは、流石にユーフォリアに尋ねるか、オユキの観察の結果としてほしい物だとシェリアに告げる。側に置く相手は、ユーフォリアになるだろうと、そう考えていたのだろう。だが、オユキとしてはやはりユーフォリアに任せてしまいたいことがはっきりとある。今も、ユーフォリアがオユキに変わり、これまで一切確認していなかった書簡の類を確認している。それと、トモエとオユキ、それぞれから頼まれている予定の調整に関しても。神殿に向かう、それを決めたのはいいのだが、持っていくものの選定もあれば、護衛の手配もある。神殿に改めて刺繍を納めに行く、それが決まっている以上は方々に連絡もしなければならないし、神殿にも当然事前に話を通す必要もある。つまりは、過去に散々に頼んでいた方々への連絡と予定の調整をユーフォリアに頼んで。これまでは、それこそカレンに任せてその下にいる者たちに、そうしていたのだが生憎と。カレンが今はいないこともあれば、流石に経験が不足しているとはっきりわかる年若い少女に任せて、後は知らぬとするのも難しい。
そのカレンについては、マリーア公爵の領都で羽を休める様にと言う話ではあったのだが何やらアマリーアにつかまって色々とこちらも難しい事になっているらしい。要は、アマリーアが商業ギルドの長を辞めるための口実に、自分がされそうだと。そんな救援要請と言えばいい物か、マリーア公爵に相談するべき事柄について。アマリーアにしても、あくまで冗談の割合が大きい物でしかないのだろう。そちらに対しても教育係、今後はそれでもカレンを上に置くには違いないのだが、オユキの側に居ても相談できる相手としてユーフォリアが来たのだと示さなければならない。結果として、ユーフォリアに対してあれこれと試すような手は打ってくるだろうが、そこはそれ。
「今後の予想と言いますか」
「ええ。ユーフォリアからも、既に相談を受けていることもあります」
「恐らく、私の知っていることと、ユフィの知識にも差がありますから。アマリーア様、領都の商業ギルドで長を務めておられる方なのですが」
ユーフォリアが相談しているのは、内向きの事だというのはよく分かる。オユキが任せたことにしても、実際にそうした向きであることも事実。だが、外から、今ユーフォリアに頼んだこと以外と言うのは間違いなく存在する。
「カレンでは、流石にまだ難しい事もあるでしょう」
「成程。そのあたりは、私よりもラズリアの領分ですね。いえ、休暇が終われば、エステールになりますか」
「エステール様が、ですか」
「子爵家の当主として、長くあった方ですよ。オユキ様の身の回り、それだけを考えて置かれるような人員ではありません」
シェリアの言葉に、オユキは思わずとばかりに数度瞬きをする。
「それは、いえ、確かにローレンツ卿の事だけとは出来ませんか」
「叔父様に配慮と言うのは、今の神国では難しいですから」
「そうでしょうとも」
よもやと言えばいいのだろうか。そうした能力があるのか、最早怪しい年齢になって。それ程に年を重ねた人物、さらにはお相手にしても第二代国王陛下の御代から使え続けてきた存在。重鎮かと言われれば本人は固辞するのだろうが、それでも近衛になるような才ある人物の教育係につけられるようなまさに一門の人物だ。そんな相手との間に、新しい子供が等と言う話が上がったのだ。今は魔国で、オユキという戦と武技の巫女の代わりにと、そうした体でどうにか時間を確保している。彼にしても、神国に誰かが戻るたびに持ち込まれる大量の手紙の処理に、随分と難儀はしているようだ。
「マリーア公爵家と」
「ええ、そちらも随分と問題に」
そして、シェリアはただただ続柄が近しい者として、困ったことだと言わんばかりにため息を。
「いっそ、フォキナ家もウニルにと、そうなりそうですね」
「それは、あまりにも過剰と言いますか。叔父様は、それが叶うならと言い出しそうですけれど」
「シェリアも、今後はあの町で務めるのでしょう」
その予定を、オユキとしても守りたい。トモエも、オユキが特にこうしてこちらで新しく見つけた、頼っても良いと考え始めている相手。その進退について、オユキの考える様にと可能な限りの配慮を行うと決めている。それこそ、ファンタズマ子爵家の家督は流石に難しいのだが、それでも財貨の大部分は、この家が今後も残ると決まらなければ、シェリア個人に向ける事を考えている。だからこそ、手を付けていない布も多くある。
「レイン家の跡取りは、確かに他にいますがウニルはレジス侯の土地となるのでは」
「一子爵家、ええ、問題とはならないでしょうから」
「ファンタズマ子爵家は、他の子爵家と比べても確かに不足している部分は多いでしょうが」
シェリアから見れば、ファンタズマ子爵家の財と言うのは、立ち位置と言うのははっきりと言って異常なのだと表情が全く隠れていない。要は、神国における貴族階級と言うのは生前に合った物とはまた仕組みが異なっている。男爵家と言うのは、あくまでそれ以上の家が任命権を持っている名ばかり、という程ではないのだが、要は歓心を買うために、統治に必要だと考える物を国からの年金として長期での分割購入などを考える時に渡すための物。空手形と言うには、はっきりと実利を持っている道具。子爵家にしても、実際のところは侯爵以上が任命権を持っている、そんな家柄。男爵に比べて、今後も長くと、家の維持を行う事を前提として、一部の責務を与えた上でこれからともに領地をと考える相手に与える位だと言う事らしい。つまりは、神国から直接その位を与えられたファンタズマ子爵家。その時点で、色々と例外があるのだと内外に宣伝していると言う訳だ。加えて、個人に対して与えられる位と言うのも未だに馴染んでいないが既に導入されている。そして、オユキの持つ物は、子爵という物を優に超えているのだ。
「あの子たちにも、多少はと考えているのですが」
「教会に、そうするのが良いのではと」
「そう、なのでしょうね」
子供たちに、少年たちに。望まないのだとしても、喜ばれないのだとしても。あって困るものではないのだからと、渡してしまっても構わないだろうと。どちらかと言えば、それを考えているのはオユキよりもトモエではある。始まりの町には、ファンタズマ子爵家の隣に、着々とあの少年たちが暮らすための屋敷が用意されている。もとより、周囲に住んでいた家もあるにはある。傭兵たちが、傭兵ギルドに登録している者たちの一部が住んでいたのだが、そのあたりは実に速やかに退去が行われて。申し訳ないと、そう考えて補填を申し出たところで、寧ろ新しい家であったり職場から離れた場所に、ようやく寝泊まりできるとばかりに各々が喜んでいたものだ。
「神は天にいまし給いて、世にはただ良きものが」
かつての世界にいた詩人。その一節を、ただオユキは己の国の言葉として。
「そうある様に、そうあれるように」
季節は既に過ぎ去って、時間もやはり既に遠い。
「オユキ様は、相変わらず、そちらはお好きなのですよね」
「好みでいえば、ええと、確かに嫌いではありませんが」
詩歌の類は、オユキにとっては老境の折に得た趣味の一つ。刀を振る時間も相応に短くなり、仕事にしてもすっかりと任せてしまってから後。ゲームにしても、やはり熱狂していたものがもはや提供されなくなったために、孫たちが、ひ孫たちが訪れたときに触ることが多くなった時に。そんなときに、暇を持て余すくらいならと手慰みに和歌から入っては見たのだ。トモエのほうは、やはり繕い物であったり、それこそ日々の食事であったりに精を出していたこともある。そうした物を、いまさらオユキが手伝ったところでと、トモエがそのような姿勢を見せていたこともある。どうにも、オユキの性分とでもいえばいいのだろうか。機能を果たせるのならば、他はどうでもよいではないかとそう考えてふるまってしまう。料理にしても、衣服の事についても。言ってしまえば、必要な栄養価の摂取が出来るのならば、全く問題が無いと考えてしまう。事実、トモエがオユキの世話を始めるまで。オユキが口にしていたのは、液体としての完全栄養食。両親が、オユキに残した財産と言うんのはかつての世界でも十分以上の物であり、それを使って通販で、定期的にそれを頼んでいたのだ。
オユキの食事量の少なさ、今抱えている健康上の問題。そうした部分が、まさに過去に起因している。ユーフォリアの言葉、オユキに必要な物と言うんのは、あくまで食べやすい物無理なく口に運べるものをただ詰め込むのが良いのだと、そうした発言にトモエが抵抗を示した原因でもある。
「こちらの形式とは、また違う物を主に」
「カリン様が、詳しい様子でしたが」
「そうですね。カリンさんの暮らしていた地、そちらから伝わってきた物も確かに手慰みにとしていましたが」
オユキが好んだのは、言ってしまえば定型詩。定められた文字数、音律。そうした物を把握して、決まった形の中で。オユキが好むものは、どうしても枠の中、そこにあることが出来る様にと。己が、己の境遇が、それからはるか遠くにあるのだと理解してしまっているからこそ。
こちらに来てからは、時間がないため仕方が無いとしてはいるのだが、やはりそれでも。
「最後の一年くらいは、そう考えてしまいますね」
トモエは、この世界を気に入ってくれている。日々を楽しんで、暮らしてくれている。オユキにとっては、それだけでも十分にうれしい事ではある。ただ、それ以上を求めるというのであれば、オユキのほうでも色々と考えなければいけない。今のまま、とにもかくにも、どうにか用意した現状以上をかんげ無ければいけない。
「各地で、門がつながれば」
そう、それを一先ずの目標としたうえで。
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