キミと僕との7日間

五味

文字の大きさ
40 / 66

4-11

しおりを挟む
言われてみれば、そうかなと、納得しそうにはなるけれど。
でも実際、どうだんだろうかと、そんなことを考える。
昔、少し前にも話したけど、それこそ紀元前から、いろんな人が観測を行ってきた、当然、道具に対する改良も色々あっただろうけど。
そんなことをあれこれと考えながら、指を動かす。

「えっと、今持ってきてるこれ、百年も前だったら、ほとんど最新鋭機種だよ。」
「そうなんだ。」
「うん。えっと、日本の最初の天文台、1800、えっと、後半ほとんど900年に近かったと思うけど、その時に使ってた望遠鏡、その口径が20cmだから。」

そう言われても、ぱっとその長さの区別がつかない。

「いま、私が持ってるのが200mmだから、口径だけで言えば、同じなんだよ。」

言われて、改めて驚く。それなら確かに、当時であれば、とても個人が持てるような物では無いだろう。

「えっと、すごいんだね。」
「うん。今は確か記念品として、保管されてたと思うけど、重さが1トン以上あるんだったかな。」

告げられた重量に、まじまじと天体望遠鏡を見てしまうが、それは笑いながら手を振って否定される。

「流石に、これはそんなに重くないよ。付属品とか全部入れても、20キロないくらい。」
「えっと、比べたらそうでもないけど、重いよね。それ。」
「まぁ、ね。」

そっか、そんなに重い物を持ち運んでいたのか、道も悪い、暗い山道を。
それは祖父も心配するだろう。レンズを使っている以上、落とせば壊れるだろうし、それこそ、自分の上に落ちてきても怪我をするだろう。

「そっか。だから、祖父、心配したんだ。」
「えっと、まぁ、そうなのかも。うん。」

彼女はそれに対して、歯切れ悪く答える。望遠鏡の大きさなんかは話してないけど、まぁそれでも、大きくないといっても、それなりの重量だと、そう考えたのだろうか。
それとも、こんなところまで来るくらいだから、それなりに拘ったものを持っていると判断したのか。

「そういえば、今日は曲の練習じゃないんだね。」
「指が動くようになる、それが先だから。」

急に変わった話題に、簡単に応える。
思い通りに音を鳴らせないと、流石に適当な曲のメロディーラインを弾くのも難しい。
ペースを落として弾いてはいるけど、それでも。

「そっか。えっと、最初にひいてた曲とか。」

言われて、少し記憶を漁って、それを軽く弾いてみる。

「これだっけ。」
「あ、うん、それ。」

最初に弾いただけあって、僕も好きな曲だ。

「えっと、何となく聞いた覚えもあるけど。」
「え、そうなんだ。」

言われてみれば、ありそうな、そんな曲にも聞こえるけど。どうなんだろう。

「フィンランドの曲だけど。」
「え。」

そんな疑問をぶつけたら、彼女が驚く。
という事は、どうやら思い当たった物とは、まったく違うのかもしれない。

「その、言葉、分かったり。」
「流石に無理だよ。聞いた時は英語だったから、何となく。」
「そっか、そうだよね。」

彼女に指摘され、間違えた部分は英語。そんな僕に語学力を期待されても困る。

「でも、そっか、フィンランドか。」
「えっと、興味、あるの。」
「うん。その白夜とかって、聞いたことあるかな。」
「太陽が位置に沈まないとか、そんなのだっけ。」
「そうそう。やっぱり極に近いから、色々と日本では見れない物も見えたりとかして。
 ヘルシンキに有名な天文台もあるし、雑誌も出してるんだ。」

どうにも、彼女は国内だけでなく、あちこちのそう言った情報も積極的に見ているらしい。
それをするほど、情熱を持っているのだろう。星を見ることに。
僕は、どうだろう、しいて言うなら、今も続けている植物の手入れだろうか。正直今やめる気はないし、既に二つほど祖父のところから、引き取ってもいる。
最初は全部、なんて話もしたけど、その時どこか祖父が寂しそうな顔をしたから、こっちにもたくさん残っているけど。
僕だって、種から育てている鉢植え、それはずっと見ていたいし。

「へー。ああ、そっか、なんか南半球と、北半球で星座も違うとか。北天と南天とか、そんなこと聞いた覚えくらいはあるかも。」
「北極、南極だと、地面の事を指すから、言葉を分けたのかな。大体、意味は同じだよ。」
「地面と空は結構違うと思うけど。」

そういって、ふと気になって聞いてみる。

「南極、って大陸だし、天文台とかあるの。」
「あるよ。地球上で、一番天体観測に向いてるって、そんな話もあるくらい。
 でも、確か反射式は無くて、電波式だけだったと思うけど。でも、赤外線も作る予定、何だったっけ。」
「ごめん、聞かれても、分からないかな。」
「あ、うん、そうだよね。」

そうして謝る彼女に、そんな事じゃないよ、そう応えてからギターをしまう。
そろそろいい時間かなと、そんな事を思っていたけれど、ちょっと確認した時間は、既に結構遅い時間、それこそ昨夜に迫るくらいの時間になっていた。

「あ、もう、戻るんだ。」
「うん、流石に、そろそろね、遅い時間だし。」

そういってはみる者の、彼女にとっては、まさにこれからと、そんな時間なのだろうけれど。
手紙も祖母に渡さなきゃいけないし、戻らなければ、それが当たり前と、起きて待っていてくれそうだし。
そうして、改めて荷物を抱えて、彼女にまたねと告げて去ろうとすると、彼女から声がかかる。

「えっと、また、明日。その、明日は見てみたいものとかあるかな。」
「それこそさっき話した、星雲とか、かな。」
「うん、わかった。それじゃ、また明日。」
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?

母の下着 タンスと洗濯籠の秘密

MisakiNonagase
青春
この物語は、思春期という複雑で繊細な時期を生きる少年の内面と、彼を取り巻く家族の静かなる絆を描いた作品です。 颯真(そうま)という一人の高校生の、ある「秘密」を通して、私たちは成長の過程で誰もが抱くかもしれない戸惑い、罪悪感、そしてそれらを包み込む家族の無言の理解に触れます。 物語は、現在の颯真と恋人・彩花との関係から、中学時代にさかのぼる形で展開されます。そこで明らかになるのは、彼がかつて母親の下着に対して抱いた抑えがたい好奇心と、それに伴う一連の行為です。それは彼自身が「歪んだ」と感じる過去の断片であり、深い恥ずかしさと自己嫌悪を伴う記憶です。 しかし、この物語の核心は、単なる過去の告白にはありません。むしろ、その行為に「気づいていたはず」の母親が、なぜ一言も問い詰めず、誰にも告げず、ただ静かに見守り続けたのか——という問いにこそあります。そこには、親子という関係を超えた、深い人間理解と、言葉にされない優しさが横たわっています。 センシティブな題材を、露骨な描写や扇情的な表現に頼ることなく、あくまで颯真の内省的な視点から丁寧に紡ぎ出しています。読者は、主人公の痛みと恥ずかしさを共有しながら、同時に、彼を破綻から救った「沈黙の救済」の重みと温かさを感じ取ることでしょう。 これは、一つの過ちと、その赦しについての物語です。また、成長とは時に恥ずかしい過去を背負いながら、他者の無償の寛容さによって初めて前を向けるようになる過程であること、そして家族の愛が最も深く現れるのは、時に何も言わない瞬間であることを、静かにしかし確かに伝える物語です。 どうか、登場人物たちの静かなる心の襞に寄り添いながら、ページをめくってください。

キャバ嬢(ハイスペック)との同棲が、僕の高校生活を色々と変えていく。

たかなしポン太
青春
   僕のアパートの前で、巨乳美人のお姉さんが倒れていた。  助けたそのお姉さんは一流大卒だが内定取り消しとなり、就職浪人中のキャバ嬢だった。  でもまさかそのお姉さんと、同棲することになるとは…。 「今日のパンツってどんなんだっけ? ああ、これか。」 「ちょっと、確認しなくていいですから!」 「これ、可愛いでしょ? 色違いでピンクもあるんだけどね。綿なんだけど生地がサラサラで、この上の部分のリボンが」 「もういいです! いいですから、パンツの説明は!」    天然高学歴キャバ嬢と、心優しいDT高校生。  異色の2人が繰り広げる、水色パンツから始まる日常系ラブコメディー! ※小説家になろうとカクヨムにも同時掲載中です。 ※本作品はフィクションであり、実在の人物や団体、製品とは一切関係ありません。

久々に幼なじみの家に遊びに行ったら、寝ている間に…

しゅうじつ
BL
俺の隣の家に住んでいる有沢は幼なじみだ。 高校に入ってからは、学校で話したり遊んだりするくらいの仲だったが、今日数人の友達と彼の家に遊びに行くことになった。 数年ぶりの幼なじみの家を懐かしんでいる中、いつの間にか友人たちは帰っており、幼なじみと2人きりに。 そこで俺は彼の部屋であるものを見つけてしまい、部屋に来た有沢に咄嗟に寝たフリをするが…

学園のアイドルに、俺の部屋のギャル地縛霊がちょっかいを出すから話がややこしくなる。

たかなしポン太
青春
【第1回ノベルピアWEB小説コンテスト中間選考通過作品】 『み、見えるの?』 「見えるかと言われると……ギリ見えない……」 『ふぇっ? ちょっ、ちょっと! どこ見てんのよ!』  ◆◆◆  仏教系学園の高校に通う霊能者、尚也。  劣悪な環境での寮生活を1年間終えたあと、2年生から念願のアパート暮らしを始めることになった。  ところが入居予定のアパートの部屋に行ってみると……そこにはセーラー服を着たギャル地縛霊、りんが住み着いていた。  後悔の念が強すぎて、この世に魂が残ってしまったりん。  尚也はそんなりんを無事に成仏させるため、りんと共同生活をすることを決意する。    また新学期の学校では、尚也は学園のアイドルこと花宮琴葉と同じクラスで席も近くなった。  尚也は1年生の時、たまたま琴葉が困っていた時に助けてあげたことがあるのだが……    霊能者の尚也、ギャル地縛霊のりん、学園のアイドル琴葉。  3人とその仲間たちが繰り広げる、ちょっと不思議な日常。  愉快で甘くて、ちょっと切ない、ライトファンタジーなラブコメディー! ※本作品はフィクションであり、実在の人物や団体、製品とは一切関係ありません。

美人生徒会長は、俺の料理の虜です!~二人きりで過ごす美味しい時間~

root-M
青春
高校一年生の三ツ瀬豪は、入学早々ぼっちになってしまい、昼休みは空き教室で一人寂しく弁当を食べる日々を過ごしていた。 そんなある日、豪の前に目を見張るほどの美人生徒が現れる。彼女は、生徒会長の巴あきら。豪のぼっちを察したあきらは、「一緒に昼食を食べよう」と豪を生徒会室へ誘う。 すると、あきらは豪の手作り弁当に強い興味を示し、卵焼きを食べたことで豪の料理にハマってしまう。一方の豪も、自分の料理を絶賛してもらえたことが嬉しくて仕方ない。 それから二人は、毎日生徒会室でお昼ご飯を食べながら、互いのことを語り合い、ゆっくり親交を深めていく。家庭の味に飢えているあきらは、豪の作るおかずを実に幸せそうに食べてくれるのだった。 やがて、あきらの要求はどんどん過激(?)になっていく。「わたしにもお弁当を作って欲しい」「お弁当以外の料理も食べてみたい」「ゴウくんのおうちに行ってもいい?」 美人生徒会長の頼み、断れるわけがない! でも、この生徒会、なにかちょっとおかしいような……。 ※時代設定は2018年頃。お米も卵も今よりずっと安価です。 ※他のサイトにも投稿しています。 イラスト:siroma様

むっつり金持ち高校生、巨乳美少女たちに囲まれて学園ハーレム

ピコサイクス
青春
顔は普通、性格も地味。 けれど実は金持ちな高校一年生――俺、朝倉健斗。 学校では埋もれキャラのはずなのに、なぜか周りは巨乳美女ばかり!? 大学生の家庭教師、年上メイド、同級生ギャルに清楚系美少女……。 真面目な御曹司を演じつつ、内心はむっつりスケベ。

小学生をもう一度

廣瀬純七
青春
大学生の松岡翔太が小学生の女の子の松岡翔子になって二度目の人生を始める話

処理中です...